NRIメディアフォーラム
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※講演者の役職・所属は講演当時のものです。
『2015年のメディア・コンテンツ産業』
~消費者調査結果とクリエイティブ産業への変革シナリオ~
2008年2月5日開催
情報・通信コンサルティング部 上級コンサルタント  中村 博之
情報・通信コンサルティング部 主任コンサルタント  北林 謙 
『2015年のメディア・コンテンツ産業』~消費者調査結果とクリエイティブ産業への変革シナリオ~  
本シナリオを映像形式で表現したflash(日本語版)
本シナリオを映像形式で表現したflash(英語版)
概要
 
1990年代後半に携帯電話・インターネット・iPod・ハードディスクレコーダなどが相次いで登場し、人々の生活スタイルを大きく変えてきた。そうした1995年以降に多感な時期を過ごしてきた、“デジタルが当たり前の層”、いわゆる『デジタルネイティブ』を中心としたコンテンツ消費行動の把握を目的とし、NRIは「コンテンツ消費に関する調査」を実施。2007年9月、個別訪問型の全国調査を行い、15~79歳の男女1,200人よりアンケートを回収した。
【メディア・コンテンツ産業の現状】
日本のメディア・コンテンツ産業は世界第2位の規模を誇ってきたが、国内市場はすでに成熟しつつある。
パッケージからインターネットへのシフトが全体の趨勢だが、その規模は未だ限定的。
国民のメディア・コンテンツへの接触には顕著な減少傾向がみられる。
メディアの王様であるテレビの接触時間が減少傾向にある一方、ユーザ投稿型動画サイトについては利用経験者が増加傾向。
【2010年代に向けたメディア・コンテンツ産業の課題】
インターネット・デジタル技術への対応と、軟着陸地点の模索。
海外市場への進出。
コンテンツ販売・広告に続く、新たなビジネスモデルの模索。
コンシューマー・ジェネレーテッド・コンテンツ(CGC)やニッチコンテンツが増える中、EC連動やツール販売などで新たな活路を見いだせるか。
いずれにしても、各課題の解決にはメディアのビジネスモデルと本質的に相反する要素が内包されており、長期的な業界成長シナリオは現在の業界構造の延長上では描きづらい。
【コンテンツ消費に関する調査結果と考察】
「日常のコンテンツの消費の実態や考え方」に対する31の質問回答により、傾向の異なる5つのグループを抽出。
  メディア・コンテンツの実態に基づくユーザ分類
(1)デジタル自由人 18%
(2)トレンドフォロワー 18%
(3)こだわりなきコンテンツリッチ 21%
(4)安さ徹底追求層 15%
(5)保守層 15%
(6)その他 13%
特にコンテンツに敏感な2つのグループ“デジタル自由人”と“トレンドフォロワー”は『デジタルネイティブ』に相当する先進層とみられる。
この2つの層が今後のメディア産業の発展の鍵を握っていると推察される。
メディアの最初の担い手がデジタル自由人であり、メディアの定着のためにトレンドフォロワーの確保が重要となる。
【クリエイティブ産業への変革シナリオ】
『2015年のメディア・コンテンツ産業』~消費者調査結果とクリエイティブ産業への変革シナリオ~  
本シナリオを映像形式で表現したflash(日本語版)
本シナリオを映像形式で表現したflash(英語版)
この映像は「未来予測」ではなく、産業全体としての新たな成長というゴールに向かうための、一つの「シナリオ」である。
デジタル自由人やトレンドフォロワーのコンテンツ消費を促進するためのメディアとして、TVがネットサービスの良さを取り込み進化したNGTV(Next Generation TV)を想定した。
NGTVには、現在のネットサービスで効果が実証されている下記のような機能がシームレスに装備されるものとする。
 
(1)ナビゲーション(検索・レコメンデーション)
(2)オンデマンド視聴(タイムシフト・ロケーションシフト)
(3)メタ情報の共有(時刻情報付きレビュー・レーティングなど)
(4)評価(評価のフィードバックと、それに基づく代金・広告費の配分)
NGTVの提供者として、米国ではCATVが有力候補と考えられるが、CATVの普及環境の異なる日本ではアクトビラの進化形に期待している。
部分的に機能を提供しているサービスはすでに存在するが、シームレスかつ端末配布コストを抑えながら提供することに意義がある。
これまでは、付加価値配分のゆがみにより、コンテンツ製作機能に十分な資金がまわっていなかった。
ボトルネック資源のメディアを掌握することの勝負から、コンテンツの質で勝負するクリエイティブ産業へ変革することが望ましい。
日本ではコンテンツ製作者がメディア別に囲い込まれており、優秀な製作者はテレビ局周辺に集中する傾向にある。付加価値配分の改善を行うことにより、コンテンツ軸での再編が進むことを期待したい。
コングロマリット化やブティック化の方向で再編成されたコンテンツ産業は、投資に対するリスクテイク能力・品質に対する目利き能力が向上し、国際競争力のあるコンテンツ製作機能を獲得できる可能性がある。
【脱ガラパゴス】
コンテンツ産業の国内市場の大幅な成長は望めないことから、成長戦略として海外進出が大きな柱となる。
日本のコンテンツ産業には総合力の強みが十分にあると思われる。
14兆円という市場の大きさ
コンテンツの製作ツール・再生端末、通信インフラなどでの高い技術力
マルチメディア展開上の要となるキャラクター・世界観の構築力
一般投資家も含めた資金力
お問い合わせ先
株式会社野村総合研究所 コーポレートコミュニケーション部
E-mail:kouhou@nri.co.jp