NRIのビジネスIT「不動産クラウドファンディング」
  • ビジネスIT
  • 経営
  • イノベーション

2017年12月21日

NRIのビジネスIT「不動産クラウドファンディング」――顧客と共に創るイノベーション 執行役員 立松 博史

世界的な「カネ余り」と企業のビジネスチャンス

今、各国中央銀行の金融緩和政策を受け、世界的に空前の「カネ余り」が続いている。日本においても、次なる投資に備えて資金を蓄えているのか、投資機会を逸しているだけなのか分からないが、多くの企業の余剰資金は自社株買いなどを通じて、結局は金融市場に戻る傾向にある。日本の個人金融資産も1800兆円に膨れ上がり、その大半は現預金のまま眠っており、投資にお金が回っていない状況にある。

このように、企業も個人も有望な投資領域を見出せないでいるが、それは逆に、長期目線で考えれば、余ったお金を新規事業領域に投資する可能性が高いとは言えないだろうか。つまり、ポジティブに捉えると、魅力的な新規事業の投資対象が目の前に出てくれば、お金は動き出す可能性があると考えたい。その有望な投資対象は、デジタル革命が進展するなかで新たな価値が生み出されている領域ではないだろうか。IoT、AIの普及により、モノとコトが連携して新しい価値を生み出し始めている、そこに投資家の金が集まるので、事業者は、このチャンスを逃す手はない。

そうしたなかでの不動産クラウドファンディング

革新的なテクノロジーは、短期間で、さまざまなイノベーションを造ってきた。VR(仮想現実)・AR(拡張現実)やブロックチェーン、ドローン、コグニティブ、コネクテッドカー/ホーム、等々。こうした技術的革新はFinTech(フィンテック)、HRテック、不動産テックなど、社会システムの変革につながってくる。テクノロジーの変化によって、社会の仕組みが劇的に変わりつつあるのだ。
また、企業や個人がインターネットを通じて、不特定多数の人々や組織から資金を調達、あるいは提供する「クラウドファンディング」という手法が拡がっている。このクラウドファンディングも、社会システムの革新の一つであり、日本の不動産業界にも、この波がやってくることになった。

2017年8月、ケネディクスとNRIは不動産クラウドファンディング事業での協業を発表した。これまで、不動産投資の担い手は、機関投資家や一部のプロ並みの個人投資家に偏っていた。一般の消費者と不動産業者の間にある情報格差が、投資家の裾野を拡大することを阻害していたからだ。この状況がテクノロジーによって打破され、多くの消費者に間口を広げることができるようになったのである。
東日本大震災の復興のために、多くの寄付金がクラウドファンディングで集められたように、志のある個人投資家は非常に多く存在していることが確認されている。ある程度のリターンが得られて、しかも投資する対象が物件として明確になっている、あるいは投資によって地域に貢献できるなど、不動産クラウドファンディングの市場が拡大することが期待されている。

見えてくる共創

革新的なサービスは、徐々にではなく一気に普遍化していく可能性が高い。特に、デジタルの世界では、こうした例が多く見受けられる。その流れに乗るためには、一社単独で自社のリソースだけで考えるのではなく、オープンイノベーションの発想で、多くの企業と協業していくスタンスが重要である。

今回の不動産クラウドファンディング事業への取り組みにおいては、 クラウドファンディングだけで終わるのではなく、ビッグデータ分析、ブロックチェーン技術の活用、AIを活用したロボアドバイザーなど、様々なテクノロジーを活用した不動産関連ビジネスを展開していきたいと考えている。NRIは、この業界にイノベーションを引き起こそうと企図している多くの企業と共に、新しい価値を創造していく予定である。 NRIがデジタル革命を主導して、自らも大きく変わる試金石として是非、成功させたい。

関連記事

■ケネディクスとNRIが不動産テック分野での協業に向けた基本事項に合意
~ 不動産の投資型クラウドファンディング事業会社「ビットリアルティ」を設立 ~

■金融ITフォーカス12月号
拡大するオルタナティブ ・ ファイナンス市場 (ビットリアルティ株式会社 谷山智彦)
(924KB)

NRIジャーナルの更新情報はFacebookページでもお知らせしています

この記事に関するお問い合わせ先

株式会社野村総合研究所 コーポレートコミュニケーション部
E-mail:kouhou@nri.co.jp