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NRI トップ NRI JOURNAL 大規模プロジェクトのPMに求められるもの(後編)――求められるコミュニケーションのあり方とは

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大規模プロジェクトのPMに求められるもの(後編)――求められるコミュニケーションのあり方とは

理事 室脇 慶彦

#経営

2018/02/07

大規模プロジェクトでは立場の異なる多くの人が関わるだけに、コミュニケーションのあり方が問われます。野村総合研究所(NRI)で数々の大規模システム開発に携わってきた室脇慶彦理事に、対顧客、対メンバー、対パートナー、それぞれのコミュニケーションのポイントについて聞きました。

 

前のページ:大規模プロジェクトのPMに求められるもの(前編)

 

顧客の信頼を得るには、顧客の顧客を見ることが重要

 

――顧客とのコミュニケーションで大切なこととはどのようなことでしょうか。

 

まずは顧客とは何かが重要です。顧客とは、必ずしも窓口に立つ人のことを指しません。窓口の人が大切にしていることは、プロジェクトの成否ではなく、もしかするとその人自身のことかもしれません。こうした顧客を優先してしまうと、仕事量やリスクが増える場合があります。顧客とは、法人格としての顧客です。さらに、法人格としての顧客の信頼を得るには、顧客の先にいる顧客を見ることが重要です。顧客の横にいて、顧客と同じ方向を見て、一緒に目標を達成すること。それが、本来の顧客のニーズです。これを間違えるとプロジェクトが間違った方向に進んでしまいます。

 

――顧客の先の顧客を見ることのメリットは何でしょう。

 

「お客様の信頼を得て、お客様とともに栄える」というのはNRIの企業理念の使命です。顧客の抱える課題を解決するために、良い物を作るという気持ちが心の中心にあって、それを徹底することが顧客とのコミュニケーションの基本姿勢です。

顧客の顧客を見ることで、何をやっていかなければならないのかが客観的に見えてきます。それによって、やるべきことの優先順位が明確になります。

 

メンバーの成長を意識して、生産性を強化する

 

――メンバーとのコミュニケーションのポイントは。

 

プロジェクトの成功は、顧客のさまざまな課題を解決するということです。その過程では、新たな課題が発生したり、リスクが発生したり、問題が顕在化したりします。それを1つずつ克服していかなければなりません。

そのためには、プロジェクトメンバー一人ひとりが成長し、課題に対して強く向き合えるようになる必要があります。それを意識したメンバーとのコミュニケーションがポイントです。メンバーが成長すれば、その力は積分で効いてきます。畑の面積が広がるようなものですから、その分収穫量も増えます。そういったことを心がけていくことが肝要です。

 

――どうすればメンバーは成長できますか。

 

NRIには、先輩から伝えられている「美点凝視」という言葉があります。その人の良いところを成長という観点から見ていけば、一人ひとりに対して言うことが変わってきます。よく観察して適切な言葉をかけられれば、人は成長します。私は、どちらかというと評価の低い人をメンバーに選ぶようにしています。プロジェクトを通して成長する喜びを体感することでさらに頑張り、生産性がグッと上がります。そうなれば、プロジェクトの経過とともにどんどんチームの力が強化されていくのです。

 

顧客とパートナー会社は鏡の関係

 

――パートナー会社とのコミュニケーションの特徴について教えていただけますか。

 

NRIはパートナー制度をとっています。パートナーというくらいですから、私たちが顧客の横にいるように、パートナー会社も私たちの横にいます。

顧客とうまくいかないPMは、パートナー会社ともうまくいかないと思います。PMとパートナー会社との関係性をよく見ていくと、PMと顧客の関係が見えてきます。顧客とパートナー会社は鏡の関係のようです。

 

――パートナー会社と良好な関係を作るにはどうしたら良いのでしょう。

 

顧客と良好な関係が作れていれば、パートナー会社ともうまくいきます。パートナー会社と上下関係が生まれているとしたら、私たちと顧客の間にも上下関係が生まれているということです。私たちとパートナー会社は、横に並んで同じ価値観を共有する立場にあります。
パートナー会社と良い関係が作れていれば、何かあったときに最大の協力をしていただけますから、それがリスクヘッジにもなります。

自分のすべきことから逃げない、基本に忠実に仕事を行う、そして、まわりに愛情を持って仕事をする。これができて初めてプロと言えると思いますし、これが、良好なコミュニケーションの大前提だと思います。

 

室脇慶彦の近著

失敗しないITマネジャーが語る プロフェショナルPMの神髄

プロジェクトマネジメントの根幹は「品質」であり、品質の原点は「人」にある。

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