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「真の働き方改革」とは

コーポレートイノベーションコンサルティング部 プリンシパル 黒崎 浩

#経営

2018/03/19

2016年に政府が「働き方改革」の取り組みを提唱したのを機に、企業の「働き方改革」は活発化しています。その内容としては、長時間労働の解消、AI等の最新技術を活用した定型的作業の自動化といった、時間短縮や業務の効率化に関する取り組みが注目されていますが、「成果を出す『真の働き方改革』は、時間だけではなく、業務の質の向上が重要である」と野村総合研究所(NRI)は考えます。企業の経営管理制度の構築や人材開発プログラムの設計・運用を支援する黒崎浩に、業務の付加価値を高める働き方改革のポイントについて聞きました。

 

労働時間短縮に終わらない、真の働き方改革を目指して

 

――現在、各企業の働き方改革はどのような状況でしょうか?

 

多くの企業が当面の目標として取り組んでいるのは、長時間労働の解消です。社内の無駄な残業削減の呼びかけ、オフィス電気の消灯・PC制限など、様々な取り組みが行われています。さらに、RPA(Robotic Process Automation)を活用した業務改革などにより、多くの企業で残業時間の削減が進みました。しかし、「本当に必要な時間まで削ってしまっていないか?」「重要な仕事が終わっていないのに無理に帰っていないか?」という新たな課題に直面する企業も出てきています。単に働く時間を短くするだけでは働き方改革の一里塚にしかならず、真の働き方改革には「仕事の価値」そのものを上げる必要があります。

 

――真の働き方改革に求められるものとは何でしょうか?

 

働き方改革は、労働生産性の向上がゴールです。労働生産性は「仕事の成果」と「時間」の割り算なので、長時間労働の改善が進んだ今、考えるべきは分子となる「仕事」の質をいかに上げていくかだと思います。言い換えると、「個人の仕事の価値や意味を考え直すこと」が求められているのです。AI技術などの進歩により、10年後には人間が担わなくてもよい仕事も多く出てくるといわれています。その10年後に備えるためには、会社も働くわれわれも今から準備をしておく必要があると考えています。同じ時間の中で、より質の高い、付加価値の高い業務を個人が行える組織を作っていく必要があるのです。

 

 

パフォーマンスマネジメント改革という考え方

 

――そのような状況で、今働き方改革としてできることはどんなことがありますか?

 

NRIでは「パフォーマンスマネジメント改革」を提案しています。「パフォーマンスマネジメント」とは、社員の能力・モチベーションを引き出し、成果へと結びつける人材マネジメント手法です。短期的には、部下・チームのパフォーマンスの向上、中・長期的には、人材育成を通じた組織力の強化につながります。多様な経験値を積み上げ、個人としての価値を高めていくことができるように社員の働き方を上司や会社が支援していき、会社全体としても良くなっていくことを目指すのです。

 

「パフォーマンスマネジメント改革」を行う上では3つのことが重要です。1つ目は「ありたい働き方の設定」、特に「個人の業務価値の再定義」です。その際、設定した目標の実現に向けて従業員が奮い立つような仕掛けや、具体的なプロセス改革の方法論を用意することが求められます。2つ目は、「管理職・マネジメント層の変革」です。管理職・マネジメント層がこの活動の中での自身の役割の重要性を認識し、さらに必要なスキルセットを保有してもらうことです。ワークショップなどを通じた意識改革や研修などによるコミュニケーション力の向上を目指す必要があります。最後は、「個人の活動や実績を管理・指導するためのツールの整備」です。個人の定量的、定性的な活動をタイムリーに見える化し、相談や指導を適宜できる体制を整えることで、個人に最適な形で成長するための仕組みが出来上がるのです。

 

――真の働き方改革に向け、従業員にとって必要なことはどんなことでしょうか?

 

一人ひとりが自分の仕事について一度振り返って考えてみることです。「誰がお客さまで、どういう価値を提供しているか」「その手順に欠かせないものは何か」を見直してください。企業が今後求めるのは、「仕事」の質の向上です。自らがどのように付加価値を出していくのかを継続的に考え、自己研鑽や自己投資など必要に応じた対策を採っていくことが求められます。

 

 

 

NRIのプリンシパルとは

特定の業界やソリューションで高い専門性を備え、コンサルタントの第一人者として、社会やクライアントの変革をリードする役割を担っています。

新たなビジネスを作り出し、プロジェクトにも深くコミットし、課題解決に導く責任も有しています。

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