スマートグリッドって何?――電力メーターが賢くなります(下)

米オバマ政権が打ち出したグリーン・ニューディール政策が注目を集めています。グリーン・ニューディール政策は「環境」を柱としつつ、様々な分野での技術革新、市場開拓、雇用創造を促す政策です。現在、グリーン・ニューディール政策の中でも「スマートグリッド」という技術・考え方が目玉となっています。

スマートグリッドとはどんなものですか?

スマートグリッドの「スマート」は「賢い」という意味で「グリッド」は「電力供給網」を指します。つまり“賢い電力供給網”ということですね。“賢い電力供給網”というものをイメージするのは難しいのですが、整理してみると、“発電施設から家庭やオフィス等に電気を送る仕組み全体にさまざまな新技術を導入することで、需要と供給のバランスを電力会社と利用者が協調して実現することで、電力供給の安定性を維持したり、今後導入が急速に進む太陽光発電や燃料電池など需要家側の自家発電設備との協調を図ったりすることを可能とする電力供給網”ということになります。さまざまな技術にはセンサーや情報技術、蓄電技術や超電導などの送電技術などが含まれ、「スマートメーターって何?――電力メーターが賢くなります(上)」に登場したスマートメーターも、スマートグリッドのひとつの構成要素となります。

スマートグリッド=賢い電力網

●スマートグリッドで何が変わるのでしょうか?

まず、電気を作るところと使うところとの情報連携が進み、利用効率が向上することで、電力利用の最適化が図られると期待されています。昼と夜の電力利用の格差解消やコスト削減・省エネにも効果がありそうですね。太陽光発電や風力発電などの出力が安定しない新エネルギーに対しても、電力出力の変動をカバーすることで効率的に利用できるようになるでしょう。また、新エネルギーが普及してくると小規模で分散型(1カ所の大規模発電所だけで電気を作るのではなく、各家庭で太陽光発電を行うような、色々な場所で発電を行うような形態)の仕組みが増えてくると考えられますが、そのような形態にも適切に対応できるようになると思われます。

大きな停電がしばしば発生する米国では電力供給網の老朽化が社会的な問題となっていますので、スマートグリッドによる電力供給網の効率化・高度化に対しては大きな期待が掛けられています。日本の電力供給網は、既に世界でも類を見ない程高度に管理されており、停電時間は世界で最も短くなっているため、充分“賢い電力供給網”であると胸を張ることができる状態です。そのため、日本の電力供給網にとっては、スマートグリッドは、今後急速に進むと見られる太陽光発電などの新エネルギーや電気自動車の普及に合わせた、需要家のエネルギー利用と協調したより高度な電力供給網の実現が目標になると考えられます。

いずれ、そうした日本の進んだ次世代の電力供給システムが新興国をはじめ、世界の手本となる時代が来るといいですね。

参考:野村総合研究所 「NRI Management Review」Vol.20 2008
「電力メーターによる顧客接点の変革と新たなビジネスチャンス」
掲載日:2009/09/24
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