NEWS RELEASE
NPOジャパン・ウェルネス、京都大学、明海大学、NRI、
インターネットを使ったがん患者への心のケアの実証実験を開始

2003年12月25日

特定非営利活動法人ジャパン・ウェルネス
京都大学
明海大学
株式会社野村総合研究所

 特定非営利活動法人(NPO)ジャパン・ウェルネス(本部:東京都港区、代表:竹中文良)と京都大学(京都府京都市:総長:尾池和夫)、明海大学(千葉県浦安市、学長:高倉翔)、株式会社野村総合研究所(本社:東京都千代田区、社長:藤沼彰久、以下「NRI」)は共同でインターネットを使ったがん患者への心のケアの基本モデル形成を目的とした「3Dオンラインメディカルフォローアップ実証実験」を開始したことを発表致します。本実証実験はジャパン・ウェルネスが主催し、あけぼの会(本部:東京都目黒区、会長:ワット隆子)が共催、日本対がん協会と厚生労働省(申請中)の後援、京都大学と明海大学とNRIの協力により実施されます。

 本実証実験は、がん患者とその家族に対する精神・心理的支援を行う環境の構築を目的としています。QOL(生命の質)や、免疫力向上がどのような過程を得て実現されたのか心理学的検証を行い、より有効なサポート手法の確立について検証します。将来的にはがん患者だけでなく、多くの精神医療へ波及できるオンラインケアの基本モデル形成を目指します。
 なお、本実証実験では、ジャパン・ウェルネスの会員(がん患者又はその家族)を対象として行います。PCとインターネットを利用し、遠隔地にいながらにして多くの医療機関、ファシリテータによるサポートを可能とします。また、チャットやメールに加えて、実世界に近い3Dの仮想空間を構築し、自身も代理人キャラクターとして3D空間に入ることで、視覚的に相手を認識また物理的距離を保ち、かつ気軽に相談できる環境を提供します。さらに、身振り、手振り、表情などの感情、意志伝達により安心感、そして信頼関係形成を可能とします。

 今や、日本人の2人に1人ががんにかかると言われており、自分自身や家族・友人など、すべての人ががんと関わり合う時代となりました。
 医学の進歩により、がんの治療成績は着実に向上しており、がん患者の5年生存率は60%を超えているとの報告もあります。しかし、日本人の死因第1位は依然としてがんであり、がん患者や家族が長期にわたり多くのストレスを抱えて生活しているのも事実です。これまでの「がん治療」は、身体医学的には非常に発展してきましたが、「がんを病む人間」という視座に立つ「全人的医療」が十分行われてきたとは言えません。
 このような中で、近年特に、「がん患者に対する心のケア(メディカルフォローアップ)」の重要性が認識されるようになってきました。最近提唱された精神神経免疫学(PNI)では、人間の心の動きは身体に影響し、心理的援助を行うことにより、がん患者のQOLや免疫力が向上することが明らかにされつつあります。

 米国では、心のケア分野におけるIT(情報技術)を用いた様々な取り組みが進んでおり、特にチャットやメールといったバーチャルコミュニケーション環境を用いたオンラインシステムが効果を上げております。しかしながら、こういったテキストだけによるコミュニケーションは、カウンセリングにおいて重要である相互の信頼関係形成までには難しいといった問題があります。

 本実証実験はジャパン・ウェルネスが主催し、あけぼの会が共催、日本対がん協会と厚生労働省(申請中)の後援、京都大学と明海大学とNRIの協力により実施されます。


【実証実験の内容】
実験名称:「3Dオンラインメディカルフォローアップ実証実験」
実験は以下の3件を実施いたします。
(1) サポートグループ実験
  実験は週1回、60分とし1グループ6名、5グループで行います。
(2) 個別面談(セカンドオピニオン)実験
  1名の患者へ対し3名のファシリテータ、医師による面談を行います。
上記、2件の実験を6セッション実施し、データ分析を行います。
(3) 同病者間コミュニティ実験
  同病者同士のコミュニティ形成の場として環境を公開しQOLの向上分析を行います。

ファシリテータ、医師、臨床心理士、看護師による以下の評価、検証を行います。
・ ファシリテータ、医師、臨床心理士、看護師による評価分析
・ QOL測定(患者の気分、QOLに及ぼす効果-事前事後、統制群との比較)
・ 唾液中免疫グロブリン測定分析
・ ログ高度分析による精神分析
・ 仮想世界での会話の特質の検討
・ 診断精度:正確な患者診断と診断に有効な情報提供
・ 治療への有効性検証
・ 患者への利益:患者の健康、QOL向上


実験環境は、以下の特徴があります。
本実証実験は、2000年よりNRIが研究開発を進め、教育機関での実証実験を進めているネットワーク上での3次元仮想環境を用いた双方向コミュニケーションシステム「3D-IES」をベースとして開始します。
「3D-IES」はネットワーク上で、3次元仮想空間を利用したマルチユーザーによるテキストおよび音声による、一対多、多対多のリアルタイム双方向コミュニケーション環境を実現するシステムです。
3D環境を利用することで対面と同様、ノンバーバルコミュニケーションの伝達によるカウンセリング効果を引き出すことが可能です。
汎用的なPCのみでクライアント環境を構築できるため、多くの患者、また医療機関への普及が可能です。


【実験期間】
(フェーズI)2003/12~2004/3
  サポートグループ実験
  QOL(生命の質)、免疫力向上の過程分析(京都大学)
(フェーズII)2004/4~2005/3
  がん患者支援団体、各医療機関によるサポートグループ形成
  セカンドオピニオン実験



【各団体・企業の役割】
 本実証実験は、NPO、大学、シンクタンク・システムインテグレーターという異なる領域の知識を互いに活用し、柔軟かつ機動的な新たな医療環境の実現を目的とした共同実験プロジェクトです。それぞれの役割分担は以下の通りです。
○ジャパン・ウェルネス …実験運用及びサポート
○あけぼの会 …同病者間コミュニティ実験への参加
○京都大学 …アンケート分析、ログ分析による実験検証ならびに効果測定
○明海大学 …唾液中免疫グロブリンによる化学検証
○NRI …システム開発及び運用


※ジャパン・ウェルネスについて
「財団法人日本対がん協会」の後援、および米国の「The Wellness Community」(以下TWCと略す)の協力を得て、がん患者と家族に対する精神・心理的支援を行うことを目的とする特定非営利活動法人(NPO)。TWCは、1982年創設、全米20カ所でがん患者と家族に対する支援活動を行っている米国でも有数の団体で、「アクティブな(能動的・主体的に活動する)患者」をコンセプトとしています。

※あけぼの会について
乳がん患者の自助(セルフ・サポート)グループです。1978年10月に活動開始。 会の目的は大きく分けて二つ。一つは、乳がん手術のあと、速やかな社会復帰ができるように、体験者同士が励まし合うこと。あと一つは、体験者の立場から<乳がんで命を落とす人が一人でも少なくなるように>訴える啓発活動です。


参考資料:「3Dオンラインメディカルフォローアップ実証実験」 (358KB)

【お問い合わせ先】
特定非営利活動法人ジャパン・ウェルネス 大井賢一 TEL:03-5545-1805

野村総合研究所 広報部 井筒、徳重 TEL:03-6270-8100 E-mail: kouhou@nri.co.jp

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