NEWS RELEASE
がん患者向け心のケアの仮想空間、「気楽でリラックス」と好評
~実証実験第二段階は全国規模へ展開~

2004年8月26日
株式会社野村総合研究所

 特定非営利活動法人(NPO)ジャパン・ウェルネス(本部:東京都港区、代表:竹中文良)と京都大学(京都府京都市:総長:尾池和夫)、明海大学(千葉県浦安市、学長:高倉翔)、株式会社野村総合研究所(本社:東京都千代田区、社長:藤沼彰久、以下「NRI」)は、インターネットを使った、『がん患者への心のケア基本モデル』形成を目的とした「3Dオンラインメディカルフォローアップ実証実験 ※注1」第一段階の結果と、対象を全国に広げ参加人数を拡大した実験を行うことを発表いたします。

 本実証実験は、がん患者とその家族に対する精神的・心理的支援を行う環境の構築を目的としています。QOL(生活の質)や免疫力向上がどのような過程を得て実現されるのかを、心理学的検証によって行い、より有効なサポート手法の確立を目指しております。
  この実験で利用する支援環境は、コンピュータとインターネットを活用したチャットやメールで構成されています。また、患者自身を擬人化した分身(アバター)をコンピュータの画面に登場させ、アバター同士がコンピュータの画面上で対話する三次元の仮想空間を提供しています。アバターは、身振り、手振り、表情などの感情を表現することができるので、他人との意思伝達がチャットなどの言葉以上にスムーズになり、医師や仲間との信頼関係をつくることを容易にします。

 第一段階の実証実験は既に対面によるケアを受けている患者7名と外科医や歯科医、臨床医師の間でおこない、以下のような結果が得られました。
仮想空間でチャットによる会話のグループに参加することに対して、「気楽でリラックスする」「積極的に参加できた」とする傾向が患者に強く現れた。
「仮想空間での会話は楽しい」という傾向が顕著に患者に現れ、チャットや分身の感情表現の操作が面倒であるという意識を上回った。
「自分の分身を使うと、積極的に話ができる」とする傾向が患者に強く現れた。


 第二段階の実証実験は、2004年10月より全国規模で開始いたします。第二段階では、第一段階にくらべて実証実験規模を拡大し、仮想空間におけるサポートとQOLの向上の関係の明確化、オンラインケア手法の検討を目的といたします。この実証実験には、PCとネットワークが装備された環境があれば、全国どこからでも参加が可能です。対象は、患者をはじめジャパン・ウェルネス会員、そして関係する医師となります。
  本実証実験は、NPO、大学、シンクタンク・システムインテグレーターという異なる領域の知識を互いに活用し、柔軟かつ機動的な新たな医療環境の実現を目的とした共同実験プロジェクトです。第一段階と第二段階の結果を踏まえ、情報技術を活用した仮想空間における「心のケア」支援システムの実現とサービスの具現化を目指してまいります。


※注1 本実証実験はジャパン・ウェルネス※注2が主催し、あけぼの会※注3(本部:東京都目黒区、会長:ワット隆子)が共催、日本対がん協会と厚生労働省(申請中)の後援、京都大学と明海大学とNRIの協力により実施しています。また、本実証実験は、ジャパン・ウェルネスの会員(がん患者又はその家族)を対象として行なっております。
※注2 ジャパン・ウェルネス
「財団法人日本対がん協会」の後援、および米国の「The Wellness Community」(以下TWCと略す)の協力を得て、がん患者と家族に対する精神・心理的支援を行うことを目的とする特定非営利活動法人(NPO)。TWCは、1982年創設、全米20カ所でがん患者と家族に対する支援活動を行っている米国でも有数の団体で、「アクティブな(能動的・主体的に活動する)患者」をコンセプトとしています。
※注3 あけぼの会
乳がん患者の自助(セルフ・サポート)グループです。1978年10月に活動開始。 会の目的は大きく分けて二つあり、一つは、乳がん手術のあと、速やかな社会復帰ができるように、体験者同士が励まし合うこと、他の一つは、体験者の立場から<乳がんで命を落とす人が一人でも少なくなるように>訴える啓発活動です。




【ニュースリリースのお問い合わせ先】
特定非営利活動法人ジャパン・ウェルネス 大井賢一 TEL:03-5545-1805
野村総合研究所 広報部 横井、野村 TEL:03-6270-8100 E-mail: kouhou@nri.co.jp


【実施環境】

実験環境


実験環境は、以下の特徴があります

本実証実験は、2000年よりNRIが研究開発を進め、教育機関での実証実験を進めているネットワーク上での3次元仮想環境を用いた双方向コミュニケーションシステム「3D-IES」をベースとして開始します。
「3D-IES」はネットワーク上で、3次元仮想空間を利用したマルチユーザーによるテキストおよび音声による、一対多、多対多のリアルタイム双方向コミュニケーション環境を実現するシステムです。
3D環境を利用することで対面と同様、ノンバーバルコミュニケーションの伝達によるカウンセリング効果を引き出すことが可能です。



汎用的なPCのみでクライアント環境を構築できるため、多くの患者、また医療機関への普及が可能です。


【3Dオンラインメディカルフォローアップ実証実験第一段階の内容】
期間: 2003年12月~2004年5月
目的: 対面によるサポートグループに参加している患者を対象として、オンラインサポートを実施し、アンケート及びログ分析からQOLの変化測定、また有効性検証を行う。
実験内容
(1) サポートグループ実験
対面とオンラインサポートグループを各週1回60分、1グループ患者4名+ファシリテータ2名とし2グループ実施した。
(2) 分析、評価
アンケート(事前、事後、統制群との比較)とログ分析、またファシリテータ、医師、臨床心理士、看護師による対面との評価検証を実施。



【3Dオンラインメディカルフォローアップ実証実験第二段階の内容】
期間: 2004年10月~2005年3月
目的: がん患者支援団体、各医療機関によるサポートグループを形成し全国規模での展開を行い、以下の分析から治療への有効性検証を行う。
ファシリテータ、医師、臨床心理士、看護師による評価分析
QOL測定(患者の気分、QOLに及ぼす効果-事前事後、統制群との比較)
唾液中免疫グロブリン測定分析
ログ高度分析による精神分析
仮想世界での会話の特質の検討
実験内容
(1) サポートグループ実験
実験は週1回、60分とし1グループ6名、5グループで行います。
(2) 分析、評価
1名の患者へ対し2名の医師による面談を行います。
上記、2件の実験を6セッション実施し、データ分析を行います。
(3) 同病者間コミュニティ実験
同病者同士のコミュニティ形成の場として環境を公開しアンケート及びログからQOLの向上分析を行います。



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