NEWS RELEASE 成果主義の定着には、「人の絆」の改革が必須
~人事制度改革に関する意識調査結果から人事部の新たな役割を提示~

2005年4月8日
株式会社野村総合研究所

 株式会社野村総合研究所(本社:東京都千代田区、社長:藤沼彰久、以下「NRI」)は2004年11月に、国内主要上場企業1,000社(一部未上場企業含む)に対し、「人事制度改革のプロセス等に関する実態調査」を行いました(回収率13.5%)。また同時期に、過去2~5年内に人事制度改革を行っている上場企業に勤務する役職員(以下社員)に対し、NRIのネットリサーチにより「会社の人事制度に関するアンケート(回収サンプル数1,000)」を実施しました。
 その結果、人事部と社員との間に人事制度改革の目的とその成果に対する大きな認識のギャップがあることが明らかになりました。また、人事制度の対象者である社員にとって、新しい人事制度は「個人の意識改革」には好影響を及ぼす一方、「職場の人の絆」に問題を起している姿が浮かび上がってきました。新しい人事制度を成功に導くためには、「人の絆」の部分に関する手厚い取り組みを継続的に実施していくことが極めて重要であると言えます。

 近年、多くの企業で成果主義型の人事制度への改革が行われています。過去2~5年に実施された人事制度改革を対象とした今回の調査でも、制度改革の目的として「成果に応じた適正な原資配分を行うため」という回答が90%を超えています。また、「やる気のある社員のモラールアップを図るため」(76%)、「会社業績向上のため」(53%)等を挙げる企業も多くありました。
 一方社員は、上記の3項目への回答が多い点では人事部と認識が一致していますが、「人件費管理を容易にするため」(35.6%)、「リストラのため」(16.6%)などに人事部の回答比率を上回る回答も見られます。逆に上記の「モラールアップ」や「自主的・自律的人材育成のため」への回答は、人事部の回答が社員のそれを20%以上上回っています(図1)。
 以上を見ると、近年の成果主義人事制度が掲げる教条的な目的に人事部の回答が多い反面、社員は人件費削減やリストラなど、やや冷めた見方もしていることが判ります。

 次に、その人事制度改革の目的に照らして、その達成状況に満足している人事部が全体の66.4%を占める一方、社員は46.5%と人事部との間で認識のギャップは小さくありません(図2)。人事部、社員の人事制度改革の達成状況に「満足」と回答した人が認識している“効果”としては、「成果・貢献と処遇が整合した」についてはそれぞれ75.9%(人事部)、40.6%(社員)となっており、ここでもギャップの大きさが目につきます。逆に、「チャレンジングで前向きな組織になった」(人事部17.2%<社員25.6%)、「自主的・自律的人材が育った」(26.4%<31.0%)、「仕事のやりがいが高まった」(14.9%<16.1%)では、社員が人事部を上回っています(図3)。

 また、人事制度改革に満足していない社員のうち65.2%の人が「評価への納得感が得難くなった」と回答しています。一方で、制度改革に満足している社員においても「評価への納得感が向上した」との回答は24.7%にとどまっており、社員から見た場合、“評価の仕組み”が制度改革において最も大きな課題となっていることが明確となりました。

 NRIでは、これらのアンケート調査結果も踏まえ、新人事制度の定着を図り・成功に導くためには制度の運用段階も含めた「職場の人の絆」に関わる取り組みが必須であると考えています。そして、NRIのコンサルティングの経験から、これらの解決のための具体的アプローチとして、
(1) 経営層が企業ビジョン、人作りの「あるべき姿」を管理職層に繰り返し啓蒙
  (2) 実例に基づく評価者研修の教材開発や定期的な実施、評価フィードバック調査の実施
  (3) 納得度モニター調査や、自律的なキャリア形成の支援
  (4) 経営目標・計画との連動性を高めたり、可視化したりする工夫
  (5) 事業や組織集団単位でのローカル・ルール設計への支援
などの新たな組織コミュニケーションの仕組み構築が極めて重要であると考えています。このことは、新人事制度を設計し導入することで、人事部の役割が「終わる」のではなく、逆に新たに重要な役割が「始まる」、といえるでしょう。

 NRIは、これまで企業の人事改革を数多く支援してきたノウハウを生かし、今後も制度内容そのものだけではなく、改革プロセスを通じて社内に関与することで、真に企業が求める人材・風土作りを支援するコンサルティングサービスを提供していきます。



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野村総合研究所 広報部 瀬戸、野村 TEL:03-6270-8100 E-mail: kouhou@nri.co.jp



(参考資料)

「人事制度改革のプロセス等に関する実態調査」
2004年11月中旬に、主要上場企業(一部未上場企業含む)1,000社の人事担当者を対象に実施。回答数135社(回収率13.5%)。

「会社の人事制度に関するアンケート」
2004年11月中旬に、NRIのネットリサーチにより過去2~5年内に人事制度改革を行っている上場企業勤務者(22~59歳、会社員・役員)を対象に実施。回答数1,000人。




図1「近年の人事制度改革の目的」に関する人事部と社員の認識
「近年の人事制度改革の目的」に関する人事部と社員の認識



図2 人事部と社員の「新人事制度に対する評価」
人事部と社員の「新人事制度に対する評価」



図3 人事部と社員の「人事制度改革による効果」に関する認識
(人事制度改革の達成状況に「満足」の回答者)
人事部と社員の「人事制度改革による効果」に関する認識



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