NEWS RELEASE
BtoC ECが10兆円市場に、ブログ・SNSは年平均30%超の成長
~ 2012年までの国内IT主要市場の規模とトレンドを展望(2) ~

2007年12月19日
株式会社野村総合研究所

 株式会社野村総合研究所(本社:東京都千代田区、社長:藤沼彰久、以下NRI)は、2012年までの国内IT主要5市場の分析と規模予測を行いました。2007年12月17日に発表した、ブロードバンド市場、ハード市場に続く第二弾として、今回は、ネットビジネス市場5分野、携帯電話市場3分野、放送・コンテンツ市場8分野の市場規模予測を発表します。

●市場規模予測(各市場の定義は参考資料) (単位:億円)
市場・分野 2007年度 2008年度 2012年度
ネットビジネス市場 BtoC EC(消費者向け電子商取引) 49,387 58,814 103,234
インターネット広告※1 4,737 5,752 7,844
ブログ・SNS 443 730 1,758
オンライン決済 1,800 2,145 3,924
情報セキュリティ※1 3,169 3,497 4,822
携帯電話市場 モバイルキャリア(携帯電話事業収入)※2 71,726
70,247
72,049
69,108
68,221
60,204
モバイルソリューション 2,323 3,069 7,060
モバイルコンテンツ 3,530 3,655 3,909
放送・コンテンツ市場 地上デジタル放送 12,135 15,702 25,116
BS・CSデジタル放送 4,492 5,037 7,449
ケーブルテレビ 3,068 3,254 3,628
IP放送※1 150 279 672
移動体向け放送サービス※3 14,453 23,208 40,081
音楽配信 406 562 880
オンラインゲーム 1,850 2,190 4,580
VOD(ビデオオンデマンド) 526 656 978

※1: インターネット広告、情報セキュリティ、IP放送の予測は、「年度」ではなく「年」単位
※2: 予測値の上段は、携帯電話事業者各社のARPU(1契約当たりの平均利用料)が、2007年度から毎年3%ずつ下落し続けた場合の予測。下段は、各社のARPUが、07年度から毎年5%ずつ下落し続けた場合の予測
※3: 移動体向け放送サービスの数値は、サービス対応携帯電話端末の普及台数で、単位は千台

【ネットビジネス市場は順調に拡大】

 ネットビジネス市場は、パソコン向けよりも携帯電話向けの割合を高めつつ、全体として順調に拡大することが期待できます。中でも最も大きな割合を占めるのは BtoC EC(消費者向け電子商取引)の市場で、2012年度には10兆円を超える見込みです。これからの5年間、市場拡大を牽引するのはモバイル(携帯電話向け)ECであり、2007年度の14%から2012年度末には全体の2割となり、金額規模で2兆円を突破すると見られます。

 インターネット広告市場は、次第に成長速度を緩めるものの、2007年の約4,700億円から2012年には約7,800億円にまで拡大すると予測されます。そのうち携帯電話向け広告の市場は、2012年には約1,800億円となり、全体の2割以上を占める規模に拡大すると見込まれます。

 ネットビジネス市場のうち、2007年度から2012年度までの成長率が最も高いのは、ブログ・SNS市場で、その年平均成長率は31.7%に及ぶと見られます。ブログサイト数は2012年度末に約2,200万サイト、SNS登録者数は約4,900万登録にまで拡大すると予測されます。特にSNSは、携帯電話向けサイトの充実、動画投稿サイトやECサイトなどとの連携によって拡大が見込まれます。

 オンライン決済市場は、EC市場の拡大にともなって、2007年度の1,800億円から、2012年度には3,924億円へと拡大すると予測されます。このうち、携帯電話向けECにおける決済市場は、2007年度の265億円から急拡大し、2012年度に761億円となる見込みです。

 情報セキュリティ市場は、企業の内部統制対応や、企業再編・合併によるシステム統合、IPネットワークとTCP/IPによる通信をベースとした重要インフラ関連システムの再構築、在宅勤務の普及によるセキュリティ需要の高まりなどを背景に、今後も拡大する見通しです。2012年度には、情報セキュリティツール市場が約2,700億円、情報セキュリティサービス市場が約2,100億円に達するものと予測されます。


【携帯電話向けソリューション、コンテンツ市場が拡大】

 高齢者および子供の携帯電話保有率増加や、格安料金プランに後押しされた2台目需要が要因となり、携帯電話の契約回線数は2008年初頭に1億回線を超え、2012年度末には1億1,200万回線まで増加すると予測しています。それでも携帯電話事業者の収入については、現在生じているARPU(1契約あたりの平均利用料)の下落傾向が続けば、縮小に向かうことになります。下落傾向が改善され年率-3%となる場合は、2008年度の7兆2,000億円を頂点として収入が減少し始めます。現在の値下げ合戦が継続し年率-5%となる場合は、2007年度から減少が始まると見ています。

 モバイルソリューション市場は、2006年から2012年にかけて年率約26%のペースで成長し、7,000億円規模の市場になると予測されます。携帯電話事業者のサービスの充実、端末の進化、システム技術の高度化、アーキテクチャーの変化により、企業がモバイルソリューションを使いやすくなっているためです。

 モバイルコンテンツ市場は、2007年の3,530億円から2012年には3,909億円に拡大すると見られます。高速ダウンロードが可能な携帯電話端末とデータ通信定額料金制の普及に伴い、音楽、ゲーム、書籍といったエンターテインメント系コンテンツの利用がますます広がることで、市場が牽引されます。

【地上デジタル放送は約4,600万世帯に普及、約2兆5,000億円の市場に】

 地上デジタル放送は、2012年時点で約4,600万世帯に普及し、市場規模は2兆5,000億円程度に達すると予想されます。受信エリアは順調に拡大しており、今後は、衛星放送による難視聴対策や、受信機普及のための対策を打つべき段階に来ています。
 BS・CSデジタル放送は、2012年度末に視聴世帯数は約3,500万世帯、市場規模は約7,449億円(NHK受信料を含む)に達すると見られます。地上デジタル放送、BSデジタル放送、CSデジタル放送のすべてが受信できるテレビへの買い替えが、BSデジタル放送の普及を後押しすると予測しています。
 一方、業界再編が進んできたケーブルテレビは、普及世帯数、市場規模ともに成長が鈍化していくものと見られます。
 また、IP放送市場は、番組内容の充実、高画質化、接続性の向上に伴い順調に拡大し、2012年度末時点で普及世帯数は約140万世帯、市場規模は約670億円に達すると予測されます。

 ワンセグなどの移動体向け放送サービス市場は、認知の向上、対応端末の増加、新たなサービスの展開によって、今後急速に立ち上がると考えられます。2012年度末における受信機器の普及台数は、携帯電話端末だけで約4,000万台になると見られます。

 音楽配信市場においては、携帯電話端末の「着うたフル」対応率の上昇を受けて、配信サービスの利用者は増加すると考えられます。しかし、無料で楽曲を取得するユーザーも増加しつつあるため、金額で見た市場規模の伸びは、今後やや鈍化すると見られます。

 パソコンや携帯電話向けを中心に成長してきたオンラインゲーム市場は、今後、据置型ゲーム機や携帯型ゲーム機の分野でも成長を続け、2012年度には約4,580億円まで拡大すると予測されます。

 有料のVOD(ビデオオンデマンド)市場規模はサービスの進化とともに急速に成長し、2007年度の約530億円から、2010年度には約890億円に成長すると見られます。ただし、2010年度以降は大きなサービスの進化がなくなることで、徐々に市場の成長速度が緩やかになり、2012年度の市場規模は約980億円になると予想されます。市場拡大のためには、コンテンツ製作者自身が事業主体となった有料VODサービスの開始が望まれます。

 今回のIT市場予測は、2000年、01年、03年、04年、05、06年に次いで7回目です。今回の予測の詳細は、単行本「これから情報・通信市場で何が起こるのか ~IT市場ナビゲーター 2008年版~」として、東洋経済新報社より12月20日に発売される予定です。

【ニュースリリースに関するお問い合わせ先】
野村総合研究所 広報部 瀬戸、野村 TEL:03-6270-8100 E-mail:  



【ご参考:各市場・分野の定義】

●ネットビジネス市場

BtoC EC
(消費者向け商取引)
インターネットを経由した、一般生活者向けの商品・サービス販売の市場。携帯電話、スマートフォン、PDAを用いたインターネット経由の商品・サービスの販売(モバイルEC)も含まれる。実際の決済が実店舗で行われ、ネット上では完結しない予約販売もこの市場に含む。ただし、自動車や不動産などで見られるインターネットを介しての見積りや各種申し込みのように、最終意思決定や契約がネットによって完結しないものは含めない。また、オンライントレードやオンラインバンキングなどの金融サービス市場、デジタルコンテンツ市場(音楽、映像、eラーニングなど)および公営競技やオークションも含んでいない。
インターネット広告 Webサイトや携帯端末向け情報サイトにおける広告掲載、および電子メールによる広告配信など、インターネットおよび携帯電話を利用した通信回線上のサービスにおいて掲載される広告に関連する市場を範囲とする。なお、広告表現としては、テキスト、画像、映像、音声(音楽やナレーション)を使用するもの全般を対象とするが、広告コンテンツの制作費は含めない。
ブログ・SNS ブログ市場規模は、ブログサービスを提供するポータル事業者がそのサービスで得られる次の収入の総計を指す:(1)各ブログにおけるインターネット広告、(2)有料ブログ利用料、(3)法人向けブログ利用料、(4)ブログを活用した出版による収入、(5)ブログを通して得られるEC手数料、(6)ブログの分析にもとづいて企業向けに提供するマーケティングサービス料。なお、ブログ上で利用される有料のデジタルコンテンツについては含めていない。
SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)市場規模は、SNSを提供する事業者がサービスの提供によって得られる次の収入の総計を指す:(1)SNSにおけるインターネット広告、(2)有料SNSの利用料、(3)SNSを通して得られるEC手数料およびSNS上で利用される有料のデジタルコンテンツ(アバターを含む)の利用料。その他、上記想定外の収入項目は含まれていない。
オンライン決済 企業対個人(BtoC)で行われる電子商取引(EC)において、課金・決済に伴って生じるサービスの市場と定義する。インターネットなどを通じて商品などの購入が行われる際に、第三者である決済機関が、手数料などの形で取引参加者から取得する金額の合計である。ただし、運送会社による代金引換サービスの手数料や、エスクローサービス(売り手と買い手の間に入り、金銭や物品の授受を仲介するサービス)の利用料金などは含まない。
情報セキュリティ 家庭やオフィスで使用されるコンピューターやネットワークにおいて、情報セキュリティ確保のために利用される、情報セキュリティツール市場と情報セキュリティサービス市場の総額を表す。情報セキュリティツール市場には、ウイルス対策ソフトや不正アクセス検知対策ツール、クライアント管理ツール、認証関連商品などが含まれる。情報セキュリティサービス市場のには、ウィルス等監視サービス、ファイアウォール運用監視サービス、セキュリティ検査・監査サービス、セキュリティ教育・トレーニングサービスが含まれる。

●携帯電話市場

モバイルキャリア 既存の国内の携帯電話事業者の総電気通信事業収入。新規事業者の収入は含めていない。各年の年央における契約回線数×年平均ARPU(1契約あたりの平均利用料)から算出している。
モバイルソリューション 下に示すモバイルソリューションシステム(携帯電話を利用した、企業内情報システム)に関連し、ユーザー企業が支払う情報化投資金額全体(ソリューション提供ベンダーに支払う金額だけではなく、ユーザーの社内システムエンジニアにかかる費用なども含む)を対象としている。
モバイルセントレックス
基幹系:ERP(基幹業務システム)とモバイル端末の連携
情報系:グループウェア、SFA(営業支援システム)、CRM(顧客関係管理)システムなどとモバイル端末の連携
業務系:在庫管理システム、生産管理システムとモバイル端末の連携
モバイルコンテンツ 携帯電話を使用して有料コンテンツを配信するサービスの売上で構成されており、無料コンテンツの配信サービスで生じる広告収入などは含まない。この市場は、着信メロディ(着うた、着うたフル、着声)、ゲーム、壁紙ダウンロードなどの「エンターテインメント系市場」と、ニュースや天気予報などの「情報サービス系市場」に分類される。

●放送・コンテンツ市場

地上デジタル放送 2003年12月に開始された地上デジタル放送は、現行の地上アナログ放送と同様の広告料収入およびNHK受信料収入によるビジネスモデルであるため、予測市場は「広告収入」およびNHK受信料を対象とする。なお移動体受信端末向けの1セグメント放送(ワンセグ)、およびラジオ放送は対象としていない。
BS・CSデジタル放送 BSデジタル放送市場は、広告料収入、NHK受信料、視聴料金(民放の有料事業者の場合)から構成される。なお、将来的には電子商取引などからの手数料収入も考えられるが、今回の予測では除いている。
CSデジタル放送市場は、視聴者からの視聴料収入(初期加入料金、月額基本料金、月額有料番組視聴料金(パッケージ、プレミアムチャンネル)、PPV視聴料金)、広告料収入(主として委託放送事業者)から構成される。将来的には、電子商取引による手数料収入や、音楽配信、有料データ放送などからの収入も新たに加わることが想定されるが、今回の予測にはこれらの市場は含んでいない。
ケーブルテレビ市場 広告料収入、視聴料収入(初期加入料金、有料番組視聴料金(パッケージおよび個別選択時の料金)、ホームターミナルのレンタル料金)で構成される。なお、ケーブルテレビシステムのデジタル化後には、PPV(ペイ・パー・ビュー:視聴ごとに課金する方式)やVOD、双方向サービスなどからの収益が新たに発生することが期待されるが、ここでは市場に含まない。また、難視聴解消対策による収入やケーブルインターネット市場は含まない。
IP放送 閉域のIPネットワーク網を通じ、STB(セットトップボックス)などの受信機を通して、多チャンネル放送や地上波放送の再送信などの映像を配信する放送サービスに対して支払われる、初期加入料金および視聴料金で構成される市場。ただし、本サービスを利用する際に必要となるSTBなどの機器は、主にレンタルで提供されていることが多いが、そのレンタル料は市場に含まない。なお、オープンなインターネット上で提供される放送サービスやVOD(ビデオオンデマンド)などの市場およびPC向けの放送サービスは含まない。
移動体向け放送サービス 移動体向け地上デジタル放送「ワンセグ」や衛星モバイル放送などの携帯電話機および車載情報端末のような移動機器向けに行われる放送(音声および画像)サービスの市場と定義する。従来型のテレビ・ラジオ放送のようなアナログ放送サービスは除く。現在のワンセグは無料放送モデルで提供されているものの、この市場はビジネスモデルがいまだ確立しておらず、また放送開始前のサービスも含まれている。そのため、当該サービスの市場規模は算出せず、ワンセグなどの移動体向け放送サービスを受信することのできる携帯電話端末の普及台数のみを算出する。
音楽配信 「音楽配信」とは、インターネットや携帯電話通信網を用い、楽曲全体をダウンロードするサービスと定義する。カラオケ用データの配信や「着メロ」、「着うた」などの楽曲の一部のみを配信するサービスは含めない。音楽配信市場は、「インターネット音楽配信市場」と「携帯電話音楽配信市場」の2つの市場からなる。「インターネット音楽配信市場」とは、インターネットを経由してPCやオーディオ機器に楽曲をダウンロードするサービスに対して消費者が支払う金額の総額である。「携帯電話音楽配信市場」とは、携帯電話での視聴を目的として携帯電話通信網やインターネットを用いて楽曲を購入、ダウンロードするサービスに対して消費者が支払う金額の総額とする。
オンラインゲーム 日本国内で、携帯型を含む家庭用ゲーム機や、携帯電話などを利用して行う、ネットワークを介したゲームサービスの売上を、オンラインゲームの市場と定義する。ただし、家庭用ゲーム機やPCなどのハードウェア上に、ゲームソフト自体をダウンロードし、機器内において独立で利用するゲームソフト(オンラインによるゲームソフトのノンパッケージ販売)の市場、また「セカンドライフ」などのコミュニティは対象から除外している。
VOD(ビデオオンデマンド) 映画やアニメ、海外ドラマ、アダルトビデオなど、従来パッケージメディア(DVD、ビデオカセット)に収録されることが多かった短時間の映像コンテンツ(30分から3時間程度)を、消費者がインターネットやケーブルテレビなどのネットワークを用いて、家庭で視聴する権利に払う金額の総額をVOD市場と定義する。ただし、VODサービスには、一定期間(1週間程度)のみ権利を保有することができるサービスと映像コンテンツをダウンロードし、期間の制限がなくそのまま消費者が保持可能であるサービス(ダウンロード販売)が存在するが、今回の算出は両方とも対象とする。GyaO、Yahoo!動画などの無料VODサービスにおいてスポンサーとなる企業が映像配信メディアに対して支払う広告・宣伝・販促費用は含まない。




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