株式会社野村総合研究所(本社:東京都千代田区、会長兼社長:藤沼彰久、以下「NRI」)は、2008年における全国約17万の町丁目*1ごとの世帯あたりの所得*2、ならびに金融資産*3を推計しました。その結果、三大都市圏*4の主要私鉄*5沿線別*6に集計すると、総所得では江ノ島電鉄線沿線(1世帯あたり800万円)、金融資産では京王井の頭線(1世帯あたり4,576万円;年末時点)が最も多いことがわかりました。(推計方法は参考資料)

表1:総所得ランキング/表2:金融資産ランキング/表3:金融資産減少額ランキング
【総所得ランキング:鎌倉や宝塚などの高級住宅街に高所得者が集まる構造】
世帯あたり総所得のランキングは、1位江ノ島電鉄線、2位阪急甲陽線、3位京王井の頭線となりました(表1)。江ノ島電鉄線、阪急甲陽線のいずれも、前回(2008年10月)の集計では対象外としておりましたが、3位(前回1位)の京王井の頭線と同様に高級住宅街を中心としたごく短い営業区間の路線であり、当該エリアの所得水準が相対的に高いことなどから上位にランクインする結果になりました。4位~6位まで東京急行電鉄が名前を連ねますが、これは所得水準の高い現役世代が比較的多いこと、沿線ブランドが周辺物件の不動産相場を押し上げ高所得者が多く集まってきていることが要因として考えられます。
【金融資産ランキング:地価の高い首都圏山の手エリアに資産家が集中】
世帯あたり金融資産のランキングは、1位京王井の頭線、2位東急大井町線、3位東急東横線となり、京王井の頭線が前回に引き続き1位となりました(表2)。総所得上位の江ノ島電鉄線や阪急甲陽線が上位に入っていない理由としては、地価の違いによる影響が大きいと考えられます。本推計における金融資産には不動産は含んでいませんが、相続価値や不動産所得といった形で長期的に資産水準に影響することを考えれば、地価の高いエリアほど動資産としての金融資産も高くなる傾向にあるといえます。
【資産減少額ランキング】リーマン・ショックは地方の高齢者に深刻なダメージ

金融資産の減少額(2007年末→2008年末)のランキングでは、1位近鉄長野線、2位神戸電鉄粟生線、3位近鉄田原本線となり、近畿圏で特に減少幅が大きいことがわかりました(表3)。また同じ都市圏内でも郊外ほど減少幅が高い傾向にあり、内訳としては特に貯蓄性保険や有価証券の減少額が大きい傾向にあります。

この理由として、上位路線では特に高齢者の居住者が多く、時間が経過することで貯蓄性保険(=受取額の期待値で評価)の金額が減少したことがあげられます。さらにリーマン・ショックを受けて、リスク性商品への投資を手控える傾向が強くなり※7、その後のリバウンド局面(日経平均が2008年末に9,000円程度まで回復する局面)での恩恵が相対的に小さかったことなどが考えられます。逆に金融資産水準上位の沿線では、預貯金額は減っているものの有価証券の額はそれほど大きく減っておらず、リーマン・ショック後も相対的に高い投資性向を持っていることがわかりました。

NRIは、今回の調査結果を、各種調査やマーケティング活動支援などに活用していく予定です。

※1:
「東京都千代田区霞が関1丁目」のように丁目もしくは地方における大字のエリア単位。
※2:
課税所得額ならびに総所得額の推計を実施。本文中の数字は全て総所得額ベース。
※3:
金融資産は日本国内の金融機関への預貯金、貯蓄性の保険ならびに年金(貯蓄性生命保険・公的年金・個人年金)、有価証券(上場株式・公社債・投資信託)を対象とし、未上場企業への投資(出資金や不動産は含まないものとする。貯蓄性保険もしくは年金は受給金額の期待値で計算している。また、推計結果は、最終的に日本銀行「資金循環統計・年計(2008)」の家計部門の年末時点での金融資産総額に合うように微調整している。
※4:
首都圏(埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県)、中京圏(愛知県、三重県、岐阜県)、近畿圏(大阪府、京都府、奈良県、兵庫県、滋賀県、和歌山県)の総称。
※5:
三大都市圏内に少なくとも1つ以上の駅を持つ、JR線・地下鉄線・モノレール・ライナーを除く私鉄各線で、沿線住民世帯数が2万世帯以上の129路線。
※6:
当該路線に属する各駅から1km以内に面積重心を持つ町丁目の集合と定義している。
※7:
NRI「生活者1万人アンケート(2009年)」の分析結果。

【ニュースリリースに関するお問い合わせ先】

株式会社野村総合研究所 コーポレートコミュニケーション部 馬場、海藤
TEL:03-6270-8100 E-mail:

【ご参考】

推計方法

推計はNRI独自のモデル式を作成して実施しました。

所得は総務省「市町村税課税状況等の調」を基に、市町村別課税所得額の推計モデル式を作成し、それを町丁目に適用しました。さらに、就業形態別人口や職業別人口を考慮した平均所得控除額(社会保険料等)を上乗せすることで総所得推計値としました。

一方、金融資産は、NRI「生活者1万人アンケート(2009年)」、日本銀行「資金循環統計(2008年・年計)」、総務省「家計調査年報(2008年)」「全国消費実態調査(2004)」を用い、年代・所得水準別の金融資産水準モデルを構築し、これを用いてエリア別の金融資産水準を推計しています。

なお、所得については事業所得者(個人事業主)を考慮する推計モデルに変更したこと、金融資産については金融機関外の預金(いわゆるタンス預金等)を推計対象に含めたことの2点において、前回発表時(2008年10月)の2007年版データとは基準が異なっています。


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