株式会社野村総合研究所(本社:東京都千代田区、社長:嶋本 正、以下「NRI」)は、2015年度までのソーシャルメディア※1の進展と、それが企業のCRM(顧客関係管理)に及ぼすインパクトを予測した「ITロードマップ」※2をとりまとめました。

140文字の“つぶやき”を無数の人々が交換する「Twitter(ツイッター)」は、2009年末から日本でも急激に利用者数が拡大しつつあります。Twitterは、人々が日々の出来事やニュースに対する感想などを気軽に世界に発信することを可能にしました。人々のつぶやきは、“フォロー関係”と呼ばれるユーザ同士のネットワークの中で共有・転送されることにより急速に広がり、Webサイトにユーザが集まるSNSとは異なる形で、“人々の関心のネットワーク”が生まれています。

また、世界最大のSNSである「Facebook(フェイスブック)」は、外部のWebページであっても同サービスの利用者が関心を持ったページを他の利用者に薦められる機能「Like」を提供し始めるなど、インターネット上の人々の関心そのものを集めて共有する方向性を打ち出しています。

こうした新しいソーシャルメディアの登場によって、インターネット利用者が情報を発信・発見し、さらに口コミとして広めるなど、情報伝達の経路や情報を入手した人々の行動パターンに変化が生じ始めています。これは、従来のWebページを起点とするインターネット利用者とは異なる新しい流れであり、それに伴って、企業もこれらのソーシャルメディアに対応したマーケティングや営業、顧客サポートのあり方を模索し始めています。新しいソーシャルメディアは、企業にとっては新たな顧客接点の一つとなり、さらには、マーケティングから営業、顧客サポートという企業の顧客関係管理(CRM)のあり方である「ソーシャルCRM」※3に変革を迫る可能性を秘めています。

<ソーシャルCRMのロードマップ>
■2010~2011年度:ソーシャルメディアの黎明期

ソーシャルメディアの利用の拡大とともに、企業が消費者の声に耳を傾ける“リスニング・プラットフォーム”が登場

日本国内でも、すでに先進的な企業がTwitterを利用したマーケティングに取り組み、ソーシャルメディアの活用を模索し始めています。現在のところは、広報やマーケティング部門の担当者の属人的なノウハウに頼るケースが多く、既存の顧客チャネルとは有機的に連携されずに、限定的な利用にとどまっています。今後、日本でもTwitterなどのソーシャルメディアの利用がさらに拡大すると、企業でもこのメディアに対する組織的な対応が求められることが予想されます。その第一歩は、ソーシャルメディアに溢れる人々の声を集め、人々がどのような話題に反応し、口コミ情報が拡散していくのかを分析することです。このようなソーシャルメディアの分析サービスは、“リスニング・プラットフォーム”と呼ばれ、すでにソーシャルメディアの利用が拡大している欧米では利用が始まっています。

■2012~2013年度:ソーシャルメディアの発展期

ソーシャルメディアがメッセージ伝達のインフラとして発展するとともに、主に顧客サポート分野での利用が始まる

iPhoneやAndroid(アンドロイド)携帯をはじめとするスマートフォンなどの普及が拡大するに伴って、ソーシャルメディアが電子メールと並んで、コミュニケーションチャネルとして利用されるようになります。2009年後半から登場したスマートフォンの中には、テキストメッセージを送る際にTwitter、Facebook、電子メールのなかから最適なメディアを選んで利用できるようなユーザインターフェースを備えているものもあり、ソーシャルメディアをいつでもどこでも、メールと同じような気軽さで利用できる方向に向かっています。

企業のコンタクトセンターは、電話でのコミュニケーションに始まり、電子メール、ライブチャットなど、顧客からの問い合わせに対応する統合的なコンタクトセンターとして発展してきました。今後は、消費者が企業に向けて問い合わせや苦情を伝える際に、ソーシャルメディアを利用する機会が増えることが想定されます。そのため、企業としても、このようなソーシャルメディアを介した消費者からのコンタクトに組織的に対応することが求められるようになると考えられます。先進的なコンタクトセンターを持つ企業から、徐々にソーシャルメディアを介した消費者の問い合わせや苦情への対応が始まると予測されます。

■2014~2015年度:ソーシャルメディアの普及期

ソーシャルインテリジェンス※4による消費者理解の深化とクロスメディア※5での最適化のはじまり

この時期になると、ソーシャルメディアのなかで消費者が共有するデータの種類がさらに増えます。企業にとっては、消費者の位置情報や企業やメディアが提供するコンテンツの視聴履歴、他の消費者とのコンテンツの共有状況など、より多くのデータが分析対象として獲得可能になると予想されます。その結果、消費者の行動や意図をより深く理解した上で、ソーシャルメディアをマーケティングキャンペーンや販売機会の拡大に利用することが可能になります。

最終的には、早い段階からソーシャルメディアをマーケティングや販売に活用し始めた先進的な企業から、ソーシャルメディアと既存のチャネル(マス広告や電子メールマーケティング、Webサイトでのキャンペーン、コールセンターへの問い合わせなど)とを組み合わせる、マーケティングキャンペーンや販売機会の管理を実現し始める時期に至ると考えられます。

※1 ソーシャルメディア: 企業などからの一方的な情報発信ではなく、利用者が作成したコンテンツや意見(コメント)、評価(レビュー)などが利用者同士で共有され、利用者間のつながり(ソーシャルネットワーク)の中で広がることを前提として設計されたメディア
※2 ITロードマップ: NRI技術調査部が半期ごとに公表している、5年先までの情報技術の動向を予測した技術見通し
※3 ソーシャルCRM: 従来のCRMに使われてきたコミュニケーションのチャネル(電話、電子メール、Webサイトなど)に、ソーシャルメディアをも加えて顧客・生活者との関係を管理、最適化できる次世代のCRMの概念
※4 ソーシャルインテリジェンス: ソーシャルメディアの中での生活者の行動やその意図、社会的なトレンドなどを分析・理解することができる能力
※5 クロスメディア: コンテンツや広告キャンペーンなどの対象として、単一のメディアだけではなく、複数のメディアを組み合わせて全体としてひとつのメディアと見る考え方

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