株式会社野村総合研究所(本社:東京都千代田区、社長:嶋本 正、以下「NRI」)は、日本企業におけるIT活用の実態を把握するためのアンケート調査を、2003年から毎年継続して実施しています。2009年11月に7回目の調査を実施し、全業種にわたる527社の企業から回答を得ました。今回の調査結果に見られる特徴は、以下のとおりです。

【企業のIT投資は2009年度が底、2010年度はやや回復へ】

自社のIT投資額について、前年度からの増減を毎年聞いています。2003年度から2007年度までは、概ね毎年、IT投資を増やす傾向が見られました(図1)。しかし、リーマンショックがあった2008年度には、「増やす」企業の割合が減少に転じ、2009年度はさらにそれが顕著となりました。2010年度の予想では、「増やす」と回答する企業がやや増加に転じており、回復の兆しが見え始めました。

【どうしても必要となるIT活用テーマだけに絞る】

IT投資の対象とするテーマについても、2008年に起きた大きな変化が、2009年も続いています。従来は、ITによる「業務プロセス標準化支援」と「業務効率化支援」を重視する企業の割合が年々高まり、効率化や、コスト削減目的のIT投資が中心でした(図2)。一方、ITによる「事業・サービス創造支援」や「情報活用支援」といった、ビジネス価値を高めるためのIT投資は、年々低下しており、2009年もその傾向が続きました。これに対して、「経営管理機能強化支援」のみが、2008年に引き続き2009年も高い水準を示しています。

【自社のシステム提供人材も絞り、外部活用もコスト重視】

有効なIT活用を推進できる「IT企画人材」について、自社で拡充が必要と考える企業の割合は、引き続き高くなっています(特に、「全社IT戦略立案者」)。一方、アプリケーションエンジニアなど、システム構築や運用にあたる「システム提供側の人材」については、自社で抱える意向はやや弱まっています(図3)。そして、外部委託するベンダの選択については、従来重視する割合が高かった「信頼性」や「サービス品質」に加えて、「コスト競争力」をあげる企業の割合が、2009年に大きく伸びています(図4)。

また、適正なITの運営が重要視されるようになったことも反映して、IT部門の自己評価だけで終わらせず、経営者への報告を実施する企業の割合が増えています。また、2009年はやや下がったものの、他部門からの第三者評価を求める企業の割合も長期的には増加傾向にあります(図5)。しかしながら、評価を外部に委託する企業は、2007年まで増加したあと減少に転じています。

【短期的にはコスト削減、しかし、中期的には俊敏な変化への対応を目指す】

ITにおける喫緊の実現課題は何か、という問いに対して、「徹底したコスト削減」をあげる企業が56.2%と最も多くなっています(図6)。しかし、「柔軟な業務プロセスの形成」をあげる企業が2番目に多く、「守りを固めるためのシステム整備」という消極派を上回っています。

【ITによる俊敏(アジャイル)な経営をめざして4つの方策を実施すべき】

2009年度における企業のIT運営は、外部流出を減らしコストの削減を図る”我慢の運営”が特徴と言えますが、その次には、俊敏(アジャイル)な経営への備えが重視されています。そのためには、ガバナンスの整備、メソッドの活用、アーキテクチャの最適化、改革実行能力(ケイパビリティ)の向上という、4つの方策が必要と考えています。この4つの方策いずれについても、実施できている企業は現時点では多くありませんが、「個別最適型」のシステム構造から、「統合型」や「モジュール化(共有部品型)」 へとIT活用の成熟段階が高まるにつれて、各方策の実施度合いが高まると考えられます。企業は、自社のIT活用の成熟度に応じて、アジャイル経営にむけた各方策を実施に移す時に来ていると考えます。


【ニュースリリースに関するお問い合わせ先】

株式会社野村総合研究所 コーポレートコミュニケーション部 中山、松野
TEL:03-6270-8100 E-mail:

【ご参考】

■調査概要

調査名:
「ユーザ企業のIT活用実態調査(2009年)」
実施時期:
2009年11月12日~11月30日
調査対象:
日本国内に本社を持つ、売上高上位の企業2,970社 (情報システム担当の役員(CIO)に相当する方、もしくはそれに準ずる方に回答を依頼)
調査方法:
発送・回収とも郵送による
有効回答:
527社(回収率17.7%)
調査担当:
野村総合研究所 研究理事 淀川、プロセス・ITマネジメント研究室 有賀
図1:IT投資額の増減(前年比)の推移
図1:IT投資額の増減(前年比)の推移
図2:重視するIT活用テーマの推移(複数回答) ※「最重視」と「重視」との回答割合を合計
図2:重視するIT活用テーマの推移(複数回答)
図3:自社のIT運営に必要とされる人材の推移(複数回答)
図3:自社のIT運営に必要とされる人材の推移(複数回答)
図4:主力ベンダの選定基準で重視する項目の推移(複数回答) ※「最重視」と「重視」の回答割合を合計
図4:主力ベンダの選定基準で重視する項目の推移(複数回答)
図5:自社のITに係わる評価の実施状況の推移(複数回答)
図5:自社のITに係わる評価の実施状況の推移(複数回答)
図6:ITに関する喫緊の実現課題(n=527)(複数回答)
図6:ITに関する喫緊の実現課題(n=527)(複数回答)

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