東北地方太平洋沖地震で被災された皆様に心よりお見舞い申し上げますとともに、一日も早い復興をお祈り申し上げます。

株式会社野村総合研究所(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:嶋本 正、以下「NRI」)は、2011年3月15日に、社長直轄の「震災復興支援プロジェクト」を発足させ、3月30日以降、提言や調査結果を発表してまいりました。震災復興に向けたNRIグループのこれまでの取り組みにつきましては、こちらをご覧ください。

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このたび同プロジェクトでは、東北地域の振興と産業の再生に向けた提言として、「第11回提言 産業復興の考え方 先導的新産業拠点の形成をめざして」を取りまとめました。主な内容は以下のとおりです。

■提言

1.産業復興の基本的考え方

東北地方太平洋沖地震の被災地域では、水産業や農林業などの第一次産業とその関連産業が地域経済の重要な担い手であったため、地域経済に深刻な影響がでています。また、この地域の製造業は、リーマンショックの影響を大きく受けていた上に震災に見舞われたため、東アジアに広がる「ものづくり」のグローバルネットワークから取り残されかねない状況にあります。

そのため再興できない企業や事業所が残ることが懸念され、雇用機会が減少する恐れがあります。そこで、この地域の産業復興では、新たな雇用の創出も視野に入れて、従来からの産業の再生とともに、新産業の創出を目指すことも必要です。

2.5つの新産業クラスター ※1の提案

新産業の創出に際しては、東北地域が有する様々な地域資源や、これまでの産業創出に向けた取り組みを活用し、(1)シーフード産業、(2)超ものづくり産業、(3)環境関連産業、(4)新資源産業、(5)健康医療産業、の5つの産業クラスターを重点的に構築することが望まれます。

「シーフード産業」クラスターは、水産業を集積し付加価値を向上させるために、第一次産業である漁業に続く、川下産業の集積・高度化に努めていくことが望まれます。既存の水産加工品はもとより、水産資源を活用した健康食品やサプリメント等の“医食農連携”を推進することによって、「健康医療産業」クラスターの強化も可能になります。

また、「超ものづくり産業」クラスターは、ものづくりの省力化・自動化を推進することで、アジア諸国の低コストでのものづくりに対抗する競争力をつけることを目指し、関連する技術やノウハウを東北地域から作り出していくことを狙います。その立地を図るために、超ものづくり促進地域(図表)を設置し、最先端のFA/ロボット導入による省力化・無人化工場の立地促進を強化します。

※1
クラスター:地域の企業が大学、研究機関等と連携して、競争優位を持つ事業が次々と創出されるような産業集積
図表 超ものづくり促進地域のイメージ
図表 超ものづくり促進地域のイメージ

拡大図

「環境関連産業」クラスターは、地球環境問題や電力不足問題を背景に、バイオマス、太陽光、地熱などの再生可能エネルギーに関わる機器・システム分野の産業振興の実現を目指します。

「新資源産業」クラスターは、近年、希少資源の重要性が高まっていることを背景に、港湾輸送と連携した精製工場など、臨海立地型の産業としての立地を図ります。なお、将来は海底熱水鉱床やメタンハイドレートなどの深海底資源の利活用に関する産業の立地も図るべきと考えます。

「健康医療産業」クラスターは、大学等と連携したこれまでの取り組みをもとに、健康医療分野での産業創出をめざします。地域の強みである農産品、水産品の加工産業との連携による“医農食連携”や、東北地域に集積する機械系製造業との間での“医工連携”など、東北地域の潜在力を生かした産業創出が望まれます。

3.今後の産業復興に向けて

これらの産業復興を推進していく上では、以下の点に留意していくべきと考えます。

まず、被災企業の早急な復旧を図ることは、従業員の生活維持のためにも、産業活動におけるサプライチェーン障害の解決のためにも極めて重要です。そして、早い段階で復興のあり方を決定し、それに向けた事業を開始する必要があります。

被災企業は、これまでの設備投資に伴う借入に加えて、復旧・復興に伴う設備投資により二重債務に陥る可能性が高まっています。この二重債務の発生を防止する方策として、国内他地域の企業が有する中古産業機械を被災企業に譲渡する「中古産業機械のマッチング事業」を提案します。

産業復興を進める際には、被災した地域が有する地域資源や、被災した企業・市民のニーズを勘案し、可能な限り地域主導で取り組むことが重要です。そのため、国・県・市町村の垣根を越えて迅速な意思決定ができる推進主体づくりを早急に進めるべきです。

また、復興の取り組みを円滑に進めるためには、財政・金融面の支援だけでなく、事業を進めていく上で障害となる各種規制の緩和も必要であり、政府が検討中の「復興特区」などの制度を活用し、税制優遇や規制緩和など、復興のための環境を早期に実現することが重要です。

最後に、日本の今後の産業活動の高度化を先導する先端的な産業システムの構築のために、国内外との繋がりを強化するための空港・港湾機能や、産学協同の共同研究施設など、産業活動のステップアップに対応した新しい産業インフラ整備も重要と考えます。

なお、今回の提言の詳細は、以下をご覧ください。

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【ニュースリリースに関するお問い合わせ】

株式会社野村総合研究所 コーポレートコミュニケーション部 中山、小沼
TEL:03-6270-8100 E-mail:

【提言内容に関するお問い合わせ】

株式会社野村総合研究所 震災復興支援プロジェクト 高田
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