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保育施設等の利用状況および利用意向に関する調査を実施

~保育の充足に対する利用者側と供給側の認識に開きがある限り、「待機児童問題」の終息は困難~

2017/09/28

株式会社野村総合研究所

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株式会社野村総合研究所(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:此本 臣吾、以下NRI)は、全国の未就学児(以下、子ども)を持つ女性3,708人に対して、保育施設・サービス(以下、保育施設等)に関するアンケート調査を実施しました。居住地、子どもの年齢、母親の就労有無別に、保育施設等の利用状況、利用意向、2017年4月(以下、今年4月)時点での申し込み状況などを分析しています。 主な調査結果は、以下の通りです。

 

訂正とお詫び

今年4月から保育施設等を利用したかったができなかった子どもの割合は、母親が就労の場合20人に1人、母親が非就労の場合4人に1人。地方圏にも存在

今年4月から保育施設等の利用を希望していた子どものうち、利用できなかった子ども(以下、今年4月からの保育利用希望がかなわなかった子ども)の割合は、母親が就労の場合5.0%、母親が非就労の場合24.8%でした。
今年4月からの保育利用希望がかなわなかった子どもは、東京圏、名古屋・大阪圏に比べると割合は小さいものの、地方圏においても存在しました(母親が就労の場合:3.7%、母親が非就労の場合:18.6%)。(図1)

 

図1 今年4月から保育施設等の利用を希望していた子どもの利用状況
(母親の就業有無別)

図1 今年4月から保育施設等の利用を希望していた子どもの利用状況(母親の就業有無別)

(出所)NRI「保育サービスに関するアンケート調査」 (2017年7月)

本調査結果と、地域別・年齢別人口推計や女性の就労率などをもとに、今年4月からの保育利用希望がかなわなかった子どもの人数を推計すると、全国で約34.6万人となりました。

今年4月からの保育利用希望がかなわなかった理由の4割強が、「申し込んだいずれの保育施設等にも入園できなかった」

今年4月からの保育利用希望がかなわなかった子どもの保護者に対し、その理由を尋ねたところ、「申し込みを行ったいずれの保育施設等にも入園できなかったため」が4割強(42.5%)で最多でした。さらに、「申し込みを行ったいずれの保育施設等にも入園できなかった」と回答した人のうち、約7割(71.8%)は3カ所以上の保育施設等に申し込みを行っています。(図2)

図2 今年4月からの保育利用希望がかなわなかった理由と申し込み施設数

図2 今年4月からの保育利用希望がかなわなかった理由と申し込み施設数

(出所)NRI「保育サービスに関するアンケート調査」 (2017年7月)

利用希望がありながら申し込まなかった人の4割が、「どうせ無理だろうと諦めた」

一方、今年4月からの保育利用希望がかなわなかった子どもの保護者の約4割(40.2%)が、「そもそも申し込みを行わなかった」と回答しています。利用を希望していたにも関わらず、申し込みを行わなかった理由を自由回答形式で尋ねたところ、「自分の条件では申し込みをしてもどうせ利用できないだろうと思った」、「保育課に相談したところ利用できる可能性は低いと言われた」など、「申し込んでもどうせ無理であろうと諦めた」という趣旨の回答が、70名のうち28名と最も多くなりました。(図3)

図3 今年4月から保育施設等の利用を希望していたが申し込まなかった理由

図3 今年4月から保育施設等の利用を希望していたが申し込まなかった理由

(注)「申し込みを行わなかった理由」は、自由回答をNRIが上記カテゴリー別に集計
(出所)NRI「保育サービスに関するアンケート調査」 (2017年7月)

利用者側と供給側の認識に開きがあるままでは「待機児童問題」の終息は困難

供給側(主に自治体)の定義では「待機児童」に含まれないが、利用者側(保護者)は利用を希望している、いわゆる「潜在待機児童」が少なくないことなど、供給側の認識と利用者側の認識には開きがあることが指摘されています。本調査の結果からも、利用したくても利用できていない子どもは都市部のみならず地方にも存在していることや、利用できていない子どものうち多くは特定施設のみに申し込んでいるのではないこと、「どうせ無理であろう」と申し込むこと自体を諦めているケースも少なくないことなど、供給側の認識と利用者側の認識には開きがあることがうかがえました。
利用者側である保護者の背景(家庭環境、就労状況や就労意欲の高さ、など)はさまざまであり、保育の利用意向に関する保護者の認識を客観的に捉えることが難しいことも事実です。ただし、供給側の論理で、保育の必要性の有無のボーダーライン決めを続けても、いわゆる「待機児童問題」の終息は困難だと考えます。
NRIは、今後整備すべき保育の受け皿の量を、従来とは異なる視点で可視化することが、保育の充足に向けた検討を前進させる上で必要と考えています。例えば、労働力不足に対する有力な施策として、女性の労働市場への参加を掲げるのであれば、期待する労働力量から考えて、必要な保育量を議論する方法が有効と考えます※。

  • 第253回NRIメディアフォーラム「政府の女性就業率目標を達成するためにはどの程度の保育の受け皿が必要か」(2017年5月29日)にて、政府の女性就業率目標を達成するために、2020年までに新たに整備が必要な保育の受け皿は88.6万人分と推計しました。詳細は、下記をご参照ください。
    https://www.nri.com/jp/knowledge/report/lst/2017/cc/mediaforum/forum253/

「保育サービスに関するアンケート調査」の実施概要

対象および回収サンプル数

全国の未就学児を持つ女性 3,708人
東京圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県):1,236人
名古屋・大阪圏(愛知県、岐阜県、三重県、大阪府、兵庫県、京都府、奈良県):1,236人
地方圏(上記以外の道県):1,236人

  • 居住地別、子どもの年齢別、母親の就労(パートタイム等を含む)有無別に一定の回答数を集めた上で、全国値の集計の際には、平成27年国勢調査における人口構成比を基にウェイトバックを行った。

調査方法

インターネット調査

実施時期

2017年7月5日~6日

主な調査項目

お子さんについて

  • 保育の必要性等の認定の有無と種類
  • 保育施設等の利用状況
  • 転園希望の有無と理由
  • 今年4月からの保育施設等の利用希望の有無
  • 利用希望があるにもかかわらず利用できなかった理由

あなたについて

  • 就労状況と就労意向
  • 保育の充足があなたの就労にもたらす影響
  • 保育の充足がもう一人子どもを持つことにもたらす影響

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お問い合わせ

ニュースリリースに関するお問い合わせ

株式会社野村総合研究所 コーポレートコミュニケーション部 坂、潘

TEL:03-5877-7100
E-mail: kouhou@nri.co.jp

 

本調査の担当


株式会社野村総合研究所
グローバルインフラコンサルティング部 武田