NEWS RELEASE

障がい者を雇用する上場企業のうち2018年度の法定雇用率2.2%を達成している割合は31.8%

~障がい者雇用及び特例子会社の経営に関する実態調査を実施~

2017年12月01日
株式会社野村総合研究所
NRIみらい株式会社

株式会社野村総合研究所(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:此本 臣吾、以下「NRI」)と、NRIみらい株式会社(本社:神奈川県横浜市、代表取締役社長:足立興治、以下「NRIみらい」)は、2017年8月から9月にかけて、上場企業を対象とする「障害者雇用に関する実態調査」(以下、「上場企業向け調査」)と、特例子会社※1を対象とする「障害者雇用及び特例子会社の経営に関する実態調査」(以下、「特例子会社向け調査」)を実施しました。これらの調査は、2015年度から毎年実施しており、今回が3回目となります。
厚生労働省は、民間企業における障がい者の法定雇用率※22.0%を2018年度から2.2%に引き上げ、2020年度末までに2.3%に引き上げることを2017年5月に決定しました。また、2018年度には、法定雇用率の算定基礎に精神障がい者が新たに加わります。そこで今回は、(1)法定雇用率の引き上げに関する対応状況、(2)精神障がい者の雇用実態、(3)精神障がい者雇用の課題と対応策、などを中心に調査を行いました。
主な調査・分析結果は、以下のとおりです。詳細は【ご参考】をご参照ください。

  • (1)2018年度の法定雇用率2.2%を達成している上場企業は、31.8%にとどまっています。精神障がい者が法定雇用率の算定基礎に加えられることから、法定雇用率2.2%の達成に向けて、精神障がい者の雇用拡大に取り組む企業が増すと考えられます。(図1
  • (2)障がい者を雇用する上場企業のうち、6割以上の企業が、すでに精神障がい者を雇用しており、雇用後には、精神障がい者の雇用に関して、雇用前に抱いていたイメージよりも前向きな認識を持つ傾向があることが分かりました。(図2
  • (3)精神障がい者の雇用には、特別支援学校、民間の職業紹介会社等の外部の支援機関等との連携を深めていくことが特に効果的であることも分かりました。(図3

NRIとNRIみらいでは、これからも障がい者雇用に関して、継続的な調査を実施し、結果を公表していきます。

ご参考

<調査概要>

<主な調査・分析結果>

  • (1)障がい者を雇用する上場企業のうち、2018年度の法定雇用率を達成している割合は31.8%

「上場企業向け調査」に回答した158社のうち、障がい者を雇用する上場企業134社(うち5社無回答)について見ると、「現時点で引き上げ後の法定雇用率(2.2%)を達成している」割合は、31.8%にとどまっています(図1)。「現時点では、引き上げ後の法定雇用率(2.2%)を達成しておらず、達成の見通しも立っていない」割合は、37.2%であり、その達成に向けて、各社のさらなる対応が求められます。

  • 図12018年度の法定雇用率の達成状況と今後の見通し(障がい者を雇用する上場企業)

出所)NRI、NRIみらい「障害者雇用に関する実態調査(「上場企業向け調査」)」(2017年)

  • (2)雇用前は、54.0%の企業が「精神障害者は、一般企業で働くのは難しい」と考えていたが、雇用後は前向きな認識に変化した

障がい者を雇用する上場企業134社(うち3社無回答)において、精神障がい者を雇用している割合は、64.1%であり、同じく特例子会社182社(うち1社無回答)においては、75.1%に達しています。
上記の上場企業134社の中で、精神障がい者を雇用している企業、または、以前は精神障がい者を雇用していたが、現在は雇用していない企業87社において、雇用する前は「精神障害者は、一般企業で働くのは難しい」と考えていたとの回答が、54.0%(そう思う:10.3%、どちらかといえばそう思う:43.7%)と過半数でした。
しかし、精神障がい者を雇用した後、その回答は、39.1%(そう思う:11.5%、どちらかといえばそう思う:27.6%)に減少します。つまり、精神障がい者を雇用した後には、雇用前に抱いていたイメージよりも、精神障がい者の雇用に関して、前向きに捉える傾向が見られます。「精神障害者の雇用により、組織の生産性が下がる」、「既存の働く障害者に悪影響を与える」についても、同様の傾向があります(図2)。
なお、「特例子会社向け調査」で、精神障がい者を雇用している特例子会社(以前雇用していた場合を含む)142社においても、同様の傾向が見られました。雇用する前は「精神障害者は、一般企業で働くのは難しい」と考えていたとの回答が、50.0%(そう思う:8.5%、どちらかといえばそう思う:41.5%)でしたが、精神障がい者を雇用した後、その回答は、38.7%(そう思う:4.2%、どちらかといえばそう思う:34.5%)に減少します。

  • 図2精神障がい者を雇用する以前のイメージと雇用した後の認識(障がい者を雇用する上場企業のうち、精神障がい者を雇用している企業(以前雇用していた場合を含む))

出所)NRI、NRIみらい「障害者雇用に関する実態調査(「上場企業向け調査」)」(2017年)

  • (3)精神障がい者の雇用と生産性の維持・向上の両立には「支援機関等、外部機関との関係性強化」が最も効果的

上記の特例子会社142社(うち32社無回答)において、精神障がい者の雇用に際して、組織の生産性の維持・向上および管理コストを抑えるために新たに実施した取り組みのうち、最も効果的だった取り組みは、「支援機関等、外部機関との関係性を強化した」が67.3%と最も多く、次いで「業務以外の生活面での相談・面談の機会を設けた(44.5%)」、「新たな業務を切り出した(27.3%)」でした(複数回答、図3)。

  • 図3精神障がい者雇用に際して、組織の生産性維持・向上および管理コスト抑制のための取り組みのうち、特に効果的だったもの(上位3つを複数回答)(特例子会社のうち、精神障がい者を雇用している企業(以前雇用していた場合を含む))

出所)NRI、NRIみらい「障害者雇用及び特例子会社の経営に関する実態調査
(「特例子会社向け調査」)」(2017年)

「上場企業向け調査」においても、回答サンプル数は42社と少ないものの、「支援機関等、外部機関との関係性を強化した」が50.0%と最も多く、次いで、「新たな業務を切り出した(38.1%)」、「業務以外の生活面での相談・面談の機会を設けた(35.7%)」となりました。つまり、「特例子会社向け調査」と「上場企業向け調査」のいずれにおいても、「支援機関等、外部機関との関係性を強化した」ことが最も効果的と評価された取り組みでした。
精神障がい者の雇用に際しては、体調管理や業務以外の自己管理といった点に留意する必要があり、新たな業務を切り出す、生活面での相談・面談の機会を設けるといった企業内部での取り組みとともに、外部機関との連携が必要になると考えられます。精神障がい者の円滑な雇用に向けて、特別支援学校や民間の職業紹介会社といった外部の支援機関等との連携を深めていくことが、最も効果的であると考えられます。

  • ※1特例子会社:

    障がい者の雇用に特別な配慮をし、法律が定める一定の要件を満たした上で、障害者雇用率の算定の際に、親会社の一事業所と見なされるような「特例」の認可を受けた子会社を指します。特例子会社は別法人のため、障がい者のニーズやスキルに応じた環境整備や制度設計が可能です。特例子会社は増加を続けており、2016年6月1日時点で448社となっています。2011年6月1日と比較すると、特例子会社は129社増加しました(厚生労働省「特例子会社一覧」、「「特例子会社」制度の概要」)。
  • ※2法定雇用率:

    「障害者の雇用の促進等に関する法律」に基づいて、民間企業、国、地方公共団体は常用雇用者数に対して一定以上の割合で、障がい者を雇用することが義務付けられており、それぞれの事業主が、義務として障がい者を雇用する比率を法定雇用率といいます。2017年12月現在、一般の民間企業の法定雇用率が2.0%、都道府県等の教育委員会が2.2%、国及び地方自治体、特殊法人等が2.3%となっています。法定雇用率を達成している企業の比率は、2013年以降上昇し続けており、2016年6月には一般の民間企業48.8%が法定雇用率を達成しています(内閣府「平成29年版 障害者白書」)。

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コーポレートコミュニケーション部 水谷、坂

TEL:03-5877-7100

E-mail:kouhou@nri.co.jp

本調査の担当

株式会社野村総合研究所

社会システムコンサルティング部 水之浦、石原

金融コンサルティング部 寺下

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