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NRIニュースレター

2016年8月号 | Vol.166

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特集 「日本の革新者たち」100人との対話

革新者が持つ思考、スキルに学ぶ

  1. 1.目的は、日本の社会課題解決に向けた、新たなアプローチ探し
  2. 2.ビジネスモデル事例ではなく、革新者たちの思考や行動原理に迫る
  3. 3.従来とは異なる革新者たち、キラースキル
  4. 4.次の革新者を育てる「イノベーションプログラム」を展開

齊藤 義明

齊藤 義明

未来創発センター 2030年研究室室長

2016年6月にNRIは『日本の革新者たち―100人の未来創造と地方創生への挑戦』を刊行しました。本書は、2012年9月からNRI未来創発センター 2030年研究室が進めてきた「革新者プロジェクト」の成果をまとめたものです。本プロジェクトを立ち上げた齊藤義明は、革新者のアプローチを日本社会の課題解決に役立てようと取り組んでいます。

目的は、日本の社会課題解決に向けた、新たなアプローチ探し

農業、医療、教育、金融、ものづくり、観光、行政など、日本のさまざまな領域において、従来とは異なるユニークな経営方法やビジネスモデルを創りだしている「革新者」100人を探し出し、対話し、協力関係を築いていく。これが「革新者プロジェクト」です。

何のために始めたかというと、一つは、日本の社会課題を、民間主導型のアプローチで解決していくパターン探しです。これから増えていく日本の社会課題に対し、有識者が検討し国が予算をつけて対策を講じるという、これまでの方法だけに頼っていると、税金や社会保障に跳ね返り、私たちの負荷はますます大きくなる。そこで、従来とは異なる、民間主導型で、ビジネスによって社会課題を解決するアプローチを探ろうとしたのです。

そしてもう一つが、革新者を日本に増やすとういこと。社会課題をも機会ととらえて新しいビジネスを起こし、仕事を生み出す人を増やしていきたいと思っています。

齊藤 義明

ビジネスモデル事例ではなく、革新者たちの思考や行動原理に迫る

新しいビジネスモデルを創造する革新者たち100人に会って話を聞く。それって、雑誌によくある起業家100人インタビューと同じでは?と思われるかもしれません。似ているようで、実は前提が異なるのです。私たちが彼らに会う目的は、ネタを集めて記事にするためではなく、何年もかけて深く対話し、ビジネス上の友人として一緒に手を組める関係をつくることにあります。

ですから本書は、彼らの事業事例や、ビジネスモデルをパターン化して紹介する内容ではありません。革新者たちと対話を重ねるなかで、彼らに共通する思考パターンやスキル、行動原理に迫り、私たちはどんな考え方をすれば彼らに近づけるのかをまとめています。

従来とは異なる革新者たち、キラースキル

そのエッセンスは、本書のChapter3「革新者が持つキラー・スキル」にふんだんに盛り込まれています。ここに書いた7つのスキルは、従来の経営管理者が持つスキルとは決定的に異なります。例えば、この中の一つに「Needs(必要なもの)を探すのではなく、Wants(欲しくてしょうがないもの)を創造する」があります。従来の企業や組織では、Needsを満たす考え方でものごとが回っていますから、Wants発想はなかなか受け入れ難いかもしれません。

Needs と Wants の違い

  • 従来の発想
    Needs
    必要なもの
    表面的なもの
    多くの人が共通に求める要素・条件
    コモディティ化する世界
    コスト・パフォーマンスの競争
  • 革新者の発想
    Wants
    欲しくてしょうがないもの
    人の心の奥底に眠っている願望
    (ユーザーに聞いてみてもWantsはわからない)
    個人の能動的な欲求から始まり、他者へも拡散
    新しいライフスタイルを創り出す世界
    高い価値を生み出す

そもそも、革新者はゼロからバージョン1を創り出す世界にいます。一方、大企業などの成熟した企業は、バージョンで表せば100くらいの世界にいるかもしれません。大企業の場合は、順次バージョンアップを繰り返すことが必要です。革新者と大企業の経営者とでは拠って立つバージョンがそれぞれ異なるため、保有するスキルや価値観が異なるのは当たり前です。

しかし大企業は、順次バージョンアップを繰り返すでだけでは生き残れない時代を迎えています。大きな事業変革に臨んだり、商品ラインナップを大幅に変えたりしなければならないときには、大企業の経営者は、革新者と同様のスキルが求められると思います。

次の革新者を育てる「イノベーションプログラム」を展開

「革新者プロジェクト」は今後、地方創生のフィールドで、革新者を増やすための「イノベーションプログラム」を日本各地で展開していく予定です。各地の銀行や市と協力して、新しく事業を起こそうとする地元の「火の玉人材」50~70人くらいを集め、そこに革新者を連れていって刺激的交流を促し、次の革新者を育てていきます。

こういう活動をしていると、「あなた自身、NRIを離れて事業を起こしたくならないか」と聞かれます。しかし私自身はNRIのブランドと信用力があるからこそ、革新者と会い、革新者を増やす活動を円滑に推進できるるのだと思っています。この立場を活かして自分の役割を果たすことで、地方創生、ひいては日本の社会課題解決に少しでも役立てればと考えています。

  • デロリアン1
  • デロリアン2

映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」に登場する車「デロリアン」を「ごみ」から精製したエネルギーで動かすプロジェクトを立ち上げた日本環境設計株式会社。会長の岩本美智彦氏はエンターテインメントをリサイクル取り組んだ「革新者」の一人。

プロフィール

齊藤 義明(さいとう・よしあき)

NRIアメリカ ワシントン支店長、コンサルティング事業本部戦略企画部長などを経て、2012年9月より未来創発センター 2030年研究室室長となり「革新者プロジェクト」を開始。専門は、ビジョン、イノベーション、モチベーション、人材開発など。

【活動内容】
NRI未来創発キャンパス2013「未来をつくる「革新者」たちの着眼点 -2030年プロジェクトからの報告-」(Youtube)

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【活動内容】
ダイヤモンド・オンラインの「2030年のビジネスモデル」(連載コラム)

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