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デジタルによって変わる食のスタイル

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女性の社会進出、共働きの広がりなどに伴い、食事づくりの時短、負荷軽減は、日本だけでなく、各国それぞれに調理家電やインスタントなどの加工食品の発展とともに進んできました。
1900年代初頭、夕食の準備に要する時間は33時間(後片付けに追加1時間)近かったと推定されています。現在、1時間未満が半数(2時間超は1%以下、出所『Lee』2018年7月)であることを考えると、劇的な時短がなしとげられました。それでも、共働きや子育ての中での調理時間の負担は大きく、調理ロボットに対する期待は、依然として大きいでしょう。
ですが、「口にいれるもの」としての安全性確保、「食品・メニューの多様さ」への対応など、掃除や洗濯などに比較すると、複雑さからして完全自動化の難度は高いと思われます。調理ロボットは、人の形をしたロボットとしての完成形の前に、食材、メニュー、調理アシストなどの複数分野からのアプローチが完成度を上げていき、その最終形として登場してくると考えられます。

個々のニーズに応じた食材デリバリーへ

第1のアプローチは、前処理・加工済みの食材デリバリーからの発展です。
すでに減塩等の生活習慣病対策、地方の多様な食材の利用等を対象とし、プレカットなどの前処理と推奨メニューを組み合わせたデリバリーサービスは、市場に登場しています。今後は、サブスク形式で、よりメニューの多様性と加工度が高く、調理負担が小さく、健康等に配慮したメニューの開発とあわせてサービスが進展するでしょう。

バーチャル映像(VR)を利用した調理アシスト

食事づくりの重要課題の一つがメニュー開拓です。すでに日本の家庭、特に中年世代以下の家庭においてクックパットに代表されるレシピサイトが圧倒的な存在感を有しています。この分野が提供するものは家庭のニーズに対応した多様なメニューや、コミュニティ形成による一体感だけではありません。現在、動画等を通じた調理アシストに、その機能を強化しつつあります。
現在はスマホがほぼ唯一のデバイスですが、大手家具メーカー、家電メーカーはキッチンテーブル上でのVR投影(野菜、肉のカット線、加熱等調理時間進捗を直接投影)を開発しています。VRが作り方をわかりやすく解説、指導する調理アシスト機能が予想されており、スマホを覗き込みながら調理を行う必要はもうなくなるでしょう。

個人の健康状態を考慮したメニューの自動調理の可能性

冷凍食品やインスタント食品、栄養サプリメントなど、食品側を時短に適したものとするアプローチも、依然として進化を続けています。これまでの課題とされていた画一的なメニュー、栄養の偏りへの懸念を解消するため、個人の健康状態をスマホ等で確認・連携しつつ、複数の食材パーツ、主に流動性の高いものを組み合わせて提供するアプローチが注目されています。離乳食におけるペーストの自動最適化、食事制限や宇宙パイロット向けの栄養管理を想定したペーストプリンター(健康状態に対応した栄養素等をペースト状で一体化して提供)など、栄養、味に配慮した食品(当面はペースト等にとどまる)の自動調理も視野に入りつつあります。

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