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NRIはなぜ熊本の震災復興支援を行うのか

コンサルティング事業本部公共プロジェクト室 中村 哲

2017/08/09

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NRIは熊本県および益城町の復興支援を行っています。益城町では、NRIの社員2名が2016年6月から役場に常駐し12月まで復興計画の策定を支援。その後も益城町に残り、現在は計画の実現に向けた支援を行っています。そのうちの一人である中村哲に、益城町の復興支援を通じて感じたことを聞きました。(TOP写真、左から益城町復興課の吉川氏、社会システムコンサルティング部大沼健太郎、公共プロジェクト室中村哲 所属は撮影当時)

 

具体的な支援内容は決まらないままの支援開始

 

2016年4月14日と16日、熊本県を最大震度7という大きな地震が2度も襲いました。NRIは地震が起こった直後に、熊本県および県内市町村の震災復興支援を行うことを決定し、此本臣吾社長自らが熊本に赴き、被災状況の確認や支援に対するヒアリングを行いました。そして、阪神大震災や東日本大震災の際に復興計画の策定を支援した経験を持つNRIの知見が熊本の復興にも役立つと確信し、県内で最も被害が大きかった益城町に対し支援を申し出ました。

 

「NRIの九州出身者として、益城町の復興に向けて何かできることがあれば」という純粋な気持ちから益城町復興支援のメンバーに名乗りを上げた中村哲が、今も一緒に益城町で活動する大沼健太郎と共に初めて益城町を訪れたのは、地震発生から約2カ月後の6月11日。町内のほとんどの住宅が被害を受け、多くの方が避難生活を送られている中、急ピッチで道路や橋梁といった社会インフラの応急復旧が進められている状況でした。

益城町役場に訪問した中村たちは、立ち上がったばかりの復興課の課長から、「12月末までに復興計画を作りたいが、それに向けた支援をいただくことは可能ですか」と問われます。その問いに対して、「可能です。是非やりましょう」と回答したところから中村たちの支援は始まりました。

当時を振り返り、「まだまだ町役場も混乱した状況の中、NRIが何を支援できるのか具体的に示せないままでお伺いした状態でした。それでも私たちに協力を要請いただいたことに本当に感謝しています」と中村は語ります。

 

「町の人たちの想いを『復興計画』というカタチにする」ことを支援

 

当然のことながら、益城町にとって初めての復興計画策定になるため、復興計画の策定は全くの白紙からのスタートでした。しかし、「混乱の中、復興計画基本方針を町職員の方が自らの言葉で書き起こされていた。これが何よりも大きかった」と中村は言います。「『復興の主体は住民。住民の意見を何よりも大事にしながら復興計画を策定する。』という方針が掲げられていた。我々はこの方針に沿った復興計画づくりが円滑に進むように支援しただけです」

益城町では、7月から11月まで、住民意見交換会を合計で21回実施。また、全世帯向けアンケートや小中学校向けアンケート、商工会などの団体へのヒアリングなども行い、徹底して住民の意見を聞きながら、復興計画の策定に向かいました。中村たちは、これまでのコンサルティング業務の経験や、それを通じて培ってきた知見をフルに活用しながら、意見の収集、その整理・分析、そしてその意見を計画に取りまとめていく過程を、現地に常駐しながら全面的に支援していきました。

「益城町は人口3万人の小さな町です。復興計画は住民一人ひとりの生活に深く関係する。だからこそ、町の人たちの気持ちや考えに沿いながら、町全体が『自分たちの』計画を作り上げる。そのプロセスがとても大事だったと思います」と中村は振り返ります。

 

住民意見交換会の様子

 

支援に来ながら「できません」と言ってどうする

 

中村たちは、「頭から『できません』とは絶対に言わない」「言いっぱなしにしたりはしない」「やれることはすべてやるという気持ちで臨む」といった姿勢を基本として、支援を行ってきました。

復興計画を策定する過程において発生する業務には全て関わるようにするのはもちろんのこと、必要と思われる業務についても、時として自ら提案しながら、積極的に取り組んできました。

例えば、町職員と応援部隊(NRIや他のコンサルタント等)のコミュニケーションを円滑にするために、ファイルやスケジュールを共有する仕組みを導入しました。また、応援部隊がお互いに効率的に支援を行えるよう、応援部隊同士の役割分担を可視化し、それぞれの動きを定期的に確認するための会議体の設定や資料の作成も行いました。その他、情報発信のための新聞の作成、外部から視察に来られる方向けの案内資料の作成や実際の案内、さらには、役場に来られる町の方への案内等も行っています。

「『町役場の方だけでは厳しい』という状況だからこそ支援を要請いただいたのだと思います。その状況で支援に伺うのであれば、支援する側は、『それはできません』とは絶対に言えません。自らが普段仕事している領域にとらわれることなく、復興という目的に向けて必要なことを全て支援する、というのがプロフェッショナルとしての姿勢だと思います」と中村は語ります。

 

「町の人たちが自信を持って復興に向かい続けられること」が復興支援の目的

 

町の人たちの意見を第一に置いた復興計画は昨年の12月22日に完成しました。現在は、計画を具体的に推進していく段階に入っており、中村たちの支援内容もそこにシフトしていっています。「復興に向けた取り組みはここからが始まり」と中村は言います。

復興支援を通じて実感しているのは、「どこにでも当てはまるような復興支援のパッケージ」は存在しないということでした。もちろん、大きな流れや復興計画の項目立て等は、地域が違っても共通で当てはまる部分もあるかと思います。しかし、被害の状況や復興に向けた想いはそれぞれ異なるため、復興計画もまた、地域によって変わってくることになります。それでも、「復興支援の最終的なゴールは『地域の人たちが自信を持って復興に向かい続けられるような状況に持っていく』ということ。地域の目指す姿を地域の人と一緒に考えることが何より大事であり、それはどんな時も変わらないのではないか」と中村は言います。これは、中村たちが今回の復興支援に携わって強く感じていることです。

 

「振り返れば、『とにかく何とかしなければ』という気持ちを原動力に、NRIでの経験や、そこで得てきたスキルを何とか活かせないか…と思いながら、一心に頑張ってきた1年でした。NRIとしての活動を益城町に受け入れていただき、ここまで頑張って来られたことは大変嬉しく思っています。でも、復興への道のりはまだ始まったばかり。これからも自らの力を全て使いながら益城町の復興を支援できれば、と思っています」と中村は語ります。

 

益城町HP

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