フリーワード検索


タグ検索

注目キーワード
業種
目的・課題
専門家
国・地域

NRI トップ NRI JOURNAL パラダイムシフト対応への覚悟

NRI JOURNAL

未来へのヒントが見つかるイノベーションマガジン

パラダイムシフト対応への覚悟

執行役員 大野 庄一

2018/04/09

  • Facebook
  • Twitter
  • LinkedIn

2018年に入り、平昌オリンピックまであと数週間となった。毎年オリンピックでは選手の技術進歩もさることながら、FAX、衛星通信、ハイビジョンなど「通信・IT・放送技術」の進歩が著しい。平昌またその先の2020年の東京オリンピックで、どのような最新技術が出てくるのか今から楽しみである。

技術進化がもたらすAI・ロボットによる労働人口の代替

2017年は「AI(人工知能)元年」とも呼ばれ、「AI」「IoT(Internet of Things: モノのインターネット)」「ロボット」という言葉を見ない日がないくらい世間をにぎわせた1年であった。画像・センサーの発達、ネットワークの高度化によりIoTが現実のものとなり、クラウドの出現によりビッグデータを利用できる環境が整った。
これらの技術進化により、AIへの注目度が一気に高まった。こういった技術進化が、産業界にもたらしたものも大きく、自動車業界ではAIによる自動運転の進展、さらにはEV(電気自動車)への転換など複数の技術進化が一挙に押し寄せ、パラダイムシフトへの対応を迫られている。また、最近のニュースでは「AIによる資産運用」「人工知能の弁護士が誕生」など、人間の仕事がAIやロボットにより侵食され始めている。
野村総合研究所(NRI)でも2015年12月2日に、「日本の労働人口の49%が人工知能やロボット等で代替可能に」と試算し、調査結果を公表している。
技術の進展に伴い、経営や人間がパラダイムシフトに直面し脅威を感じることが多くなっている。 AIやロボットなど技術進化とどう付き合っていくべきなのか、身近なスポーツを例にとり見てみたい。

スポーツの競技ルールの判定で公平性を高める

最近スポーツを観戦していると、ビデオ判定の利用や、タブレットを持った監督、コーチを目にすることが多くなった。競技場のあらゆるところに映像装置やセンサーが設置され、ネットワークが張り巡らされ、リアルタイムに情報が飛び交っている。野球、サッカー、バレーボール、テニスなどにビデオ判定が導入され、結果が出るまでのタイムラグやその結果が選手の精神状態にもかかわり、試合の流れが変わってしまうこともある。観ている方としてもストレスを感じる人が多いのではないだろうか。

トップクラスのテニス選手のサーブは、最速で時速200kmを超えており、選手・道具の進化により高速化が年々、進んでいる。審判は、この高速のボールが太さ5cmのラインに接したかどうかを瞬時に判断しなければならない。野球でもピッチャーが投げるボールは時速160kmを超え、バッターによって異なるストライクゾーンを0.4秒の間に判断しなければならない。これは人間の能力を超えていると言わざるを得ない。
現在、テニスの国際大会では、英国のホーク・アイ・イノベーションズ社の「ホークアイ」というシステムが利用されている。このシステムは、試合場のさまざまな場所に設置された複数のカメラが捉えた映像からボールの最も妥当な軌道を再構築し、コンピューターグラフィックスで瞬時に再現し判定をするというものである。もともとミサイル追跡に使用されている技術を利用した映像・ネットワーク・ITの技術進化がもたらした賜物である。野球でも2015年の米国独立リーグにて、ストライク判定ロボットが試されたようだ。このように、人間がルール化したにもかかわらず人間の能力を超えるような判断を求められるところには、IT、ロボットなど技術進化を積極的に適用すべきであると考える。
一方、現時点では「判定に時間がかかる」「コストが高い」といった課題があるため、完全なロボット審判の採用までにはまだまだ時間がかかるだろう。しかし当面は従来の人間による判定の補助的道具として利用することにより、少しでも課題をクリアにし本来あるべきゲームの公平性を高めることができるのではないだろうか。

ITの飛躍的な進化を取り入れ、事業環境の変化に立ち向かう覚悟を

今後数年間で、ITの進展(特にAIによるものが大きい)によりすべての業界が何らかの影響を受けるといわれている。経営者、さらには個人にもパラダイムシフトへの対応が迫られることになるだろう。人間の能力を見極め、必要なところにはITを積極的に活用していく覚悟が必要である。これを乗り越えることにより、飛躍的な生産性向上や技術の適用を前提とした新たなビジネスチャンスを享受することが可能となる。
今号の特集である「経営インテリジェンス」とは、自社に与えるさまざまな情報を「収集」「蓄積」「分析」して、経営上の意思決定に役立てる手法や技術である。目まぐるしく変わる事業環境の変化に立ち向っている皆様のヒントに、少しでもなれればと思う。効率向上につながる部分は当然のこと、人間の能力を見極め、必要なところにはITを積極的に活用していく覚悟が必要である。

(知的資産創造2018年2月号 MESSAGE)

ナレッジ・インサイト 知的資産創造

特集:経営インテリジェンス

  • Facebook
  • Twitter
  • LinkedIn
NRIジャーナルの更新情報はFacebookページでもお知らせしています

お問い合わせ

株式会社野村総合研究所
コーポレートコミュニケーション部
E-mail: kouhou@nri.co.jp

ACCESS RANKING