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NRIの出版物から読み解く「平成時代」とその先

取締役会長 嶋本 正

2019/01/04

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いよいよ平成最後の年を迎えた。次の時代への糧とすべく、あちらこちらで平成時代の約30年間を振り返る試みがなされている。当社は、平成が始まるちょうど1 年前の昭和63(1988)年1 月に、旧野村総合研究所と野村コンピュータシステムが合併することにより発足した。その意味で平成時代とは、新生野村総合研究所(NRI)の歩みと軌を一にしており、合併の成果を結実させるための時期といえる。
ここでは、平成時代に当社の社員が執筆してきた書籍を振り返ることで、平成時代を読み解き、その先に向けてのヒントを探りたい。

 

平成と共に、NRIは指標となるキーワード・企業戦略を発表してきた

当社で書籍を執筆してきた中核的な人材はコンサルタントであり、社会課題や経営課題を洞察し、将来に資する予測や提案を試みてきたことが出版物からもよく分かる。一方、当社の事業や人材の大多数を占めるのはITソリューション分野であるため、ITの進展を分析し、将来に向けての賢明な活用施策をナビゲートすることにも力を注いできた。
平成初期の頃は、バブル経済が崩壊し、従来の秩序や価値観が崩れていく中で、新生NRIが発足した高揚感と使命感から、新たな道標を求めようとの努力が見られる。『創造の戦略』(平成2 年)、『共感の戦略』(平成3 年)、『共生の戦略』(平成4 年)と、立て続けに新機軸の企業戦略を提言した。まさに現在にもそのまま通じるキーワードである。
そして20世紀が終わり、新世紀に入る頃にも、熱く議論した形跡が見られる。『日本の優先課題2000 産業創発』(平成11年)で、初めて「創発」というキーワードを使い出したが、複雑系の理論における用語を社会や産業にも適用しようと試みたのである。これは、2000年に制定された当社の企業理念を表す「未来創発」にもつながっている。
ほぼ同時期に、「いつでもどこでもだれとでもつながる」社会を『ユビキタス・ネットワーク』(平成12年)と表現して、情報通信の世界で注目を浴びた。これはまさに、昨今のデジタル化時代を先取りしたものともいえる。当社の創立以来、標榜してきた「時代先取りの精神」をいかんなく発揮できた時期であったように感じる。

デジタルトランスフォーメーション(DX)時代を生き抜く提言を続けていく

一方、21世紀が進み出すと、切れ味の良い「キーワード」だけで、その時代の特徴やトレンドを表現することが簡単ではなくなってきた。さまざまな分野において、特にIT分野においては、変化が激しくなり、キーワードが瞬く間に「バズワード」になりかねない状況になってきた。それを横目で見ながら、時間軸を設定して、特定の分野の変遷を把握する、つまり、「定点観測」型の情報分析や予測・提言が、より時代を的確に読み解く鍵になるのではないかとみて、出版の傾向に変化が見られることになる。
具体的には、全国1万人の生活者にアンケートをとることにより、日本人の消費スタイルを把握し、整理・分析して、『変わりゆく日本人』(平成10年)を出版した。調査は、1997年より3 年ごとに継続しており、直近では、『なぜ、日本人は考えずにモノを買いたいのか?』(平成28年)につなげて、消費者の動向に敏感な企業の関心を呼んだ。
また、ITの進展に関しては、ITの活用度合いの観点から『IT市場ナビゲーター』(平成12年より。のちに書名を『ITナビゲーター』に変更)を、ITの技術トレンドについては『ITロードマップ』(平成17年より)を、ともに毎年執筆・発行し続けている。この両書籍は、社内外から事業戦略や技術戦略立案の参考になると重宝されている。
さらに、当社の主要事業であるITソリューションの実績を通じて、情報システムの運営についての知見をまとめた『CIOハンドブック』(平成12年より)も、改訂5 版まで発刊することになった。今世紀になってからの当社における出版は、平成時代のITのダイナミックな変化とそれが及ぼす生活者の消費スタイルの変遷を追いかけてきたと言っても過言ではない。

 

 

そして、いよいよ平成から次の新たな時代に入ろうとしている現在、当社が最も注目しているのは、デジタル化時代を生き抜くための「デジタルトランスフォーメーション(DX)」である。昨年、『デジタル資本主義』(平成30年)を出版したが、「デジタルが拓く近未来」というテーマに焦点を当てて、デジタル化時代の光と影をしっかりと見据え、新たな経済、産業の姿を明らかにした。これからも、当社の企業理念の一つである「新しい社会のパラダイムを洞察し、その実現を担う」にふさわしい提言をしていきたい。
グローバル化がますます進展する中で、より質の高い情報発信を続けるために、従来以上に、多様なステークホルダーの方々とのコミュニケーションを通して視野を拡大することが欠かせないと考える。読者の皆さまから忌憚ないご意見をいただければ幸いである。

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E-mail: kouhou@nri.co.jp

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