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未来へのヒントが見つかるイノベーションマガジン

クラウドの潮流――進化するクラウド・サービスと変化する企業の意識

情熱と忍耐のDX

執行役員 サービス・産業ソリューション事業本部 副本部長 中丸 泰樹

DX

2020/04/15

グローバルレベルでのマーケットや競合の変化により、いずれの企業も持続的成長に危機感を抱き、新たな戦略を示す必要に迫られている。そのような中、メディアでは連日のようにデジタル関連の話題が報じられ、デジタルトランスフォーメーション(DX)は取り組むことの先進性よりも、むしろ取り組まないことのリスクを感じるほどである。2019年中に実施された各種調査結果によると、DXに取り組んでいる日本企業の割合は既に5〜7割に達しているが、多くは従来の延長のデジタル化されたデータ活用の範囲であり、変革レベルといえる業務プロセス改革の例は数少ない。またDXの本来意味するデジタルを使った「ビジネスモデル変革」は、ごく限られた先進企業での取り組みにとどまっている。

DXの実現には「モノ」から「サービス」への視点の変換が重要

デジタル化の先進事例といえば、米国の自動車メーカー・テスラが有名である。自動車がネットワークとつながり、満載したセンサーから得る情報を駆使し、非常に高いレベルの自動運転機能と安全性能を得ている。そして、たとえばステアリングフィールなど、乗り味までも手元のコントロールパネルで好みに合わせてカスタマイズできる。またネットワークを通したソフトウエアアップデートで最新の状態を維持し、使いながらにして機能レベルはもとより走行性能さえも上がっていく。これは徹底した「モノのデジタル化」である。
トヨタはさらに一歩進め、自動車を作る会社から世界中の人々の移動にかかわるあらゆるサービスを提供する会社に変わる宣言をした。コネクテッドカーを軸に新たなビジネスプラットフォームを構築する「ビジネスモデル変革」である。
DX実現には、徹底した顧客志向・顧客起点で物事を見ることが重要であり、「どのようなモノを作るか」から「どのような価値・どのようなサービスを提供するか」が論点となる。その結果、顧客との関係構築のあり方やプレイヤーが変わり、ビジネスモデルも大きく変化する。業界や取引関係を超えたエコシステムを作るなど、これまでとは違う価値を高め、従来のビジネスアセットの質を高めつつも、新しい価値やプロセスをゼロから作ることで大きな成果を出せる。そしてDXでは、デジタルテクノロジーが欠かせない。これまでITは多くの日本企業でコスト扱いであったが、本格的に成長エンジンの位置づけに変化してきているといえる。

企業がDXを進める上で超えるべき4つのハードル

企業がDXによるビジネス変革を進めるには、次の4つのハードルをクリアする必要がある。

①推進力ある体制作り

多くの企業は成功体験に基づいた事業や業務の単位で組織を作り、予算や責任を持たせている。新たに変革のミッションを持つ組織を作って取り組む場合、既存事業とのコンフリクトにより、お手並み拝見もしくは抵抗勢力化もあり得る。だがDXは従来の顧客接点、業務理解の中に多くのヒントがある。変革を牽引する熱意あるビジネスリーダーシップ人材の選出に加え、現場を巻き込む要素も織り込んだ体制を作ることが成功の鍵となる。

②利益を出すビジネスデザイン

既存事業のアセットに目を凝らし、そこに斬新な発想やアイデアを加えて構想を練るわけだが、単に目新しさだけでは実現に向けて会社は動かない。競争力があり、スケールし、かつ利益を出すビジネスに仕立て上げるビジネスデザイン力が重要である。

③アジリティーの高い事業開発スキーム

新しいサービスやビジネスモデルへの投資は実現性や市場性を証明できず、意思決定のファクトが存在しない場合もあり、見極めの裏付けが絶対ではない。一定の顧客や規模を獲得するまでは赤字になるケースも多い。その中で意思決定をし、スピード感を持って市場へ送り出し、利用者の反応を捉えながら次の舵を切る事業開発スキームが必要となる。

④ITの制約排除

ビジネスとITが今まで以上に一体化する中で、基幹系をはじめとした従来のITを、ビジネスの制約にならない柔軟な形「DXレディ」状態にしておく必要がある。具体的にはクラウド化やマイクロサービス化である。
このような高いハードルを乗り越えるには、現場の努力と気合いだけでは難しい。「変革もいいが、まずは足元の数字だろう」という反対意見が想定される中にあっては、経営トップ自身がビジネス変革の意志と構想を持ち、号令をかけることが極めて重要となる。また、現業を捨てるような20年に一度の大変革などと構えず、たとえば「AIによりビジネスインパクトのあるインサイトを発見し部分的に事業に応用していく」もしくは「業務に関する自動化や最適化・予測に取り組む」など、小さな変革をコツコツと積み上げ、常にどこかで変革が起きている状態を作り上げる。これによりビジネス変革の下地を作り、社内人材の発掘にもつなげる。変革には情熱と忍耐が必要なのである。
野村総合研究所(NRI)グループでは、コンサルとITが一体となった戦略パートナーとしてDX活動の経験と知見を積み上げてきた。伝統的に情熱と忍耐も十分に持ち合わせている。

知的資産創造2月号 MESSAGE

NRIオピニオン 知的資産創造

特集:CX戦略起点のサービス革新


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