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なぜ「実質的失業者」に支援の手が届かないのか、その課題と対策

未来創発センター 梅屋 真一郎 武田 佳奈

2021/04/20

野村総合研究所(NRI)では2021年2月、全国のパート・アルバイト就業者64,943人と、そのうち新型コロナウイルス感染拡大の影響で勤務時間が減少している6,232人を対象に、インターネットでのアンケート調査を実施しました。
勤務時間が減り、手当を受けていない「実質的失業者」の実態、そこに公的支援が行き届かない背景、求められる雇用政策について、継続的に「実質的失業者」の調査・分析に携わり、今回のアンケートを実施した梅屋真一郎と武田佳奈に聞きました。

パート・アルバイトの「実質的失業者」は女性103万人、男性43万人

今回の調査結果と総務省「労働力調査」のデータを用いて推計したところ、2021年2月時点で、パート・アルバイト勤務の女性の3割が新型コロナウイルス感染拡大の影響でシフトが減少し、そのうちの4割強がコロナ前と比べて5割以上シフトが減少していたことがわかりました。一方、パート・アルバイト勤務の男性の3割強がシフト減少し、うち約5割がコロナ前と比べて5割以上シフトが減少していました。

また、シフトが減少したパート・アルバイト女性の7割強が休業手当を受け取っていない状況は2020年12月調査の時点から変わっておらず、シフトが減少したパート・アルバイト男性も、8割は休業手当を受け取っていない実態が今回、新たに明らかになりました。

パート・アルバイトのうち「実質的失業者」※1は、2021年2月で女性103.1万人、男性43.4万人と推計。2020年12月時点のパート・アルバイト女性における「実質的失業者」は90.0万人であったため、約2か月の間に1割以上「実質的失業者」が増加したことがわかりました。

  • 1 実質的失業者:「シフト5割以上減」で「休業手当なし」の人を「実質的失業者」と定義

「実質的失業者」の約半数が「休業手当」や「休業支援金」のことを知らない

調査では、パート・アルバイトの中の「実質的失業者」の約5割が、「シフト減でも休業手当を受け取れる」ことや「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」のことを全く知らない現状もわかりました。

「実質的失業者」で休業支援金を知らなかった人のうち、女性4割、男性5割近くが「今すぐにでも休業支援金の支給を受けたい」と回答しました。

「支援制度の利用促進に最も有効だと思う対策は」という質問に対し、最も多かったのは、女性では「申請しなくても、条件を満たす人や世帯に対して適する支援が提供される」プッシュ型の支援が有効と回答した人が2割強、男性では「国や自治体が、利用できる支援制度があることについてもっと積極的に広報すること」という回答が2割強でした。

また、支援制度周知には「テレビのニュース」、「テレビの情報番組・ワイドショー」、「ネットニュース」が有効だとする人が多い中で、女性は「勤め先からの案内・お知らせ」が有効だとする人も約5割いました。

シフトが減少しているパート・アルバイト勤務者の約半数が転職を希望

コロナでシフトの減少したパート・アルバイトの2人に1人は、休業手当や休業支援金よりも実際に働いて賃金を得ることを希望しています。その理由として最も多かったのは「いつまで休業手当や休業支援金がもらえるかわからないから」で、男女とも5割強の人が回答しています。

パート・アルバイトのうち、「新しい仕事を探したい」と回答した人は、女性で5割、男性で6割にのぼりました。そのうち、「現在と異なる職種の仕事に転職したい」人は、女性で2割強、男性で2割でした。「どちらでもよい」と「できれば現在と同じがよいが、異なる職種の仕事でもよい」という回答を加えると、現在と異なる職種への転職を希望または許容する人は、女性で8割、男性で8割弱と高い割合でした。

課題は支援策の認知、利用促進による経済支援と労働移動支援

今回の調査から、新型コロナウイルス感染拡大の影響でシフトが減り、収入が減少したパート・アルバイト女性は、2020年末からさらに増加していることや、パート・アルバイト男性の置かれている状況が明らかになりました。厚生労働省は、パート・アルバイト就業者も休業手当や休業支援金の対象であることを企業に対して積極的に発信していますが、必要としている人に支援の情報が届いていないことが判明しました。

「実質的失業者」の中に、休業支援金や転職支援などの支援を求めている人は少なくないにも関わらず、こうした層に「休業手当」や「休業支援金」などの経済的支援が行き届いていないという課題も依然として残っています。まず、第一に求められるのは支援を必要とする人々への確実なリーチです。具体的には、雇用主を通じた支援情報の提供、プッシュ通知で個人に直接情報を届けることができるメッセージアプリ・SNSや、「実質的失業者」が仕事探しに使っている民間のサイトなどの媒体を通じた情報提供を強化する必要があります。

新型コロナウイルス感染症の終息にはまだ時間を要すると考えられ、パート・アルバイト勤務の人が多く生じている業界・業種の雇用環境は、依然として厳しい状況が続くと思われます。それによって生活困窮に直面するパート・アルバイト就業者に対しては、各種支援策の認知・利用を促し、早急に経済支援を届けることが重要です。また、転職を希望する人に新たな場で就労収入を得て生計を再建・維持できるよう、労働移動つまり転職を促す支援策の拡充が急務と考えられます。このことは、当事者にとってはもちろん、経済・社会状況の悪化を未然に防ぐことにもつながります。

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株式会社野村総合研究所
コーポレートコミュニケーション部
E-mail: kouhou@nri.co.jp

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