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コンビニで障がい者が活躍する時代へ

新たな働き手とIT活用が、労働力不足を解決

NRIリテールネクスト株式会社

2018/05/31

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最近、コンビニ業界を含むサービス業界全体は深刻な労働力不足に直面しています。NRIリテールネクストは、潜在的な労働力として障がい者に着目し、NRIグループの特例子会社 NRIみらいと協業しながら、サービス業における障がい者雇用に関する共同研究を進めています。その一環として、NRIの横浜野村ビル各フロアでサテライト販売の検証を実施しており、運営には障がい者が携わっています。業務支援アプリの活用によって障がい者が迷うことなく業務を遂行できる、働きやすい環境づくりを進めながら、障がい者の活躍の場を広げようとしています。

労働力不足に悩むコンビニ

私たちの生活に欠かせないコンビニエンスストア。おにぎりやお弁当、日用品がいつでもどこでも買えるだけでなく、共働き世帯や単身高齢者の増加といったライフスタイルの変化に合わせて商品・サービスを提供してくれるなど、いまや地域の暮らしを支えるかけがえのない存在となっています。ところが人口減少と少子高齢化によって、コンビニは深刻な労働力不足に直面しています。各店舗を運営するオーナーの高齢化や、有効求人倍率の上昇によりパート・アルバイトが簡単に集まらない状況があるからです。

こうした問題を受けて、近年、大手コンビニチェーン各社は店舗業務の省人化を目的に、さまざまな施策を打っています。ファミリーマートは24時間営業の見直しに着手しました。ローソンでは一部店舗で、IT活用によるレジ自動化や深夜時間帯の無人レジを試みています。セブン-イレブンは「働きやすさの向上」をテーマに店舗設備の改良に着手し、各店舗の負担軽減を図っています。

障がい者が働くサテライト売場

NRIは、1979年以来、セブン-イレブンの基幹システムの構築・運用を通じて、同社の業務を長らく支えてきました。2016年には、NRIリテールネクスト株式会社を設立し、コンビニ業界を取り巻く環境変化に対応できる店舗フォーマットの研究開発を進めています。現在、同社は、労働力不足への対応策として、AIなどの先端技術を取り入れることで、潜在的な労働力として期待される障がい者が活躍できる店舗フォーマットの研究を進めています。

NRIリテールネクストは、NRIの横浜野村ビルにて、オフィス内の置き菓子サービスの実現性検証(以下、サテライト販売)を進めています。14階のステアラウンジ(内階段で繋がった社員の憩いとコミュニケーション用スペース)では十数種類のお菓子やドリンクが、また、各フロアの執務スペースでも、小規模ながらパントリーで数種類のお菓子とドリンクが販売されています。これらの売場づくりを支えているのが、NRIみらい株式会社の社員である障がい者です。週に2回、2人1組で売場を訪れ、商品補充や清掃、フェースアップ(商品パッケージが正面を向くよう配置する)などの業務を行っています。

週に2回、お菓子やドリンクを補充

サテライト販売の検証が始まったのは2017年8月。この検証を立ち上げたNRIリテールネクストの事業企画部長・伊原大起は、NRIみらいの社員たちが社内便を運ぶ丁寧な仕事ぶりを見たことが、障がい者起用のきっかけと語ります。

NRIリテールネクスト(株) 事業企画部長 伊原 大起
NRIリテールネクスト(株)
事業企画部長 伊原 大起

「コンビニ業界の飛躍的な成長はITシステムが支えてきました。一方で、お店づくりや人材活用に対するIT投資はまだまだこれからです。昨今、AIは飛躍的に発展しており、コンビニ業界にも広がってきています。ITやAIを活用すれば、潜在的な労働力である障がい者が活躍できるフィールドを、コンビニにも広げることができ、結果的に労働力不足解消にも一役買えるのではないかと考えました」

現在のおおまかな業務フローは次の通り。NRIみらいの社員たちは、お菓子やドリンクが入った商品カゴを台車に載せ、倉庫からサテライト売場へ移動。売場に到着したら、品出し指示書に従い商品を陳列します。陳列時には、お菓子やドリンクをフェースアップ。POPが乱れていないか、商品カゴの位置がずれていないかなども丁寧にチェックし、売場をきれいに整えます。
この一連の業務の流れをNRIみらい社員たちが、指導員の補助なく自立してできるよう、業務支援システムのプロトタイプを開発して検証を進めています。今後は検証フィールドを自社運営店舗にも広げて、この取り組みを推進していく考えです。

細かな手順とiPadの業務アプリ

NRIみらい(株) 社長 足立 興治
NRIみらい(株)
社長 足立 興治

NRIみらいは、障がい者の自立に向けた実践的な取り組みを続けている会社です。「障がい者の能力を最大限に引き出し、社会に価値を提供する仕事につなげていくこと」を使命とする同社において、サテライト販売に関わることは「障がい者の職域拡大に向けて実績を積む」大きなチャンスでした。とはいえ、そのチャンスを生かすには努力が必要でした。

「作業品質を担保するために、社員には業務手順を細かく確実に踏んでもらうことを心掛けた」と、NRIみらい社長の足立興治は話します。例えば「丁寧に」という指示ではなく「5回拭く」と具体的な作業を伝える。さらに、同じ作業でも、それぞれの社員の特性をよく見ることで、伝え方を変えていると言います。健常者なら見ればすぐわかることでも、知的障がい者や精神障がい者に理解してもらうには、作業を具体的な手順に落とす必要がありました。
NRIみらいとNRIリテールネクストは、障がい者向けに、具体的に手順が表示された、わかりやすいインターフェースを、共同ワークショップを通じ企画。2018年2月からiPadの業務アプリとして導入しています。画面も操作性も極めてシンプルで、障がい者だけでなく、販売業務が初めての、外国人や高齢者など誰もが迷わずに使えるものになっています。

障がい者が地域を支える社会へ

NRIみらいの社員たちは「サテライト売場で商品を並べる仕事をとても楽しみにしている」と足立は言います。「自分に馴染みのある商品を扱っていることが嬉しいし、それぞれ手順をなぞりながら自分の目標に到達していくことが、彼らの自信につながっているのです」。

人口減少と高齢化が進むなかで、コンビニはいま以上の役割が期待されていくでしょう。「潜在的な労働力として障がい者を登用する場はもっと広がっていき、障がい者が障がい者をサポートしたり、地域のコミュニティを支えたりすることが当たり前の時代がくる」と足立は見ています。

障がい者や、高齢者など、これまで働き手と思われていなかった人たちがともに加わり、ITを活用しながら社会を支えていく。NRIリテールネクストは、その一歩として、コンビニで障がい者がいきいきと活躍できる環境づくりに取り組んでいます。

さらに詳しいことを知りたい方のための情報として、以下をご紹介します。

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株式会社野村総合研究所
コーポレートコミュニケーション部
E-mail: kouhou@nri.co.jp

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