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コラム 木内登英のGlobal Economy & Policy Insight

ECB総裁にラガルド氏が就任へ

2019/07/03

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ECB総裁、欧州委員会委員長ともに女性が指名

7月2日に開かれた欧州連合(EU)首脳会議は、国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事を、今年10月末に8年間の任期を終えるドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁の後任ポストに指名した。女性初のECB総裁となる。

ECB総裁のポストを巡っては、バイトマン・ドイツ連銀総裁など、現職の各国中央銀行総裁やECB理事の候補者の間で調整が進められていた。しかし、議論の最終段階で女性の指名が検討され、最終的にラガルド氏の指名となった。ラガルド氏の指名に関する正式承認には一連の手続きが必要となるが、数カ月以内に承認される可能性が高い。

この指名は、政治色が強いものでもある。従来、ドイツ政府は、ECB総裁か欧州委員会委員長のいずれかのポストをドイツが得ることを目指し、フランスと調整、対立する構図であった。今回のEU首脳会議では、EUの最重要ポストである欧州委員会委員長にドイツ人女性のウルズラ・フォンデアライエン国防相が指名された。その結果、ドイツはECB総裁のポストをフランスに譲ることになったのである。

メルケル独首相は、選挙で最多議席を獲得した中道右派・欧州人民党(EPP)のドイツ人リーダー、マンフレート・ウェーバー議員を次期欧州委員候補として推薦していたことから、最終的にウルズラ・フォンデアライエン氏が指名されたことは驚きである。ウェーバー氏の指名については、フランスのマクロン大統領が強く反対していたことから、最終的にこのような人事に落ち着いたのだろう。

ラガルド氏の政治調整能力に期待

また、トゥスク氏の後任となるEU大統領にはベルギーのミシェル首相、EU外相に当たる外交安全保障上級代表候補にはスペインのボレル外相が指名された。この2人は男性であり、EUの重要4ポストを男女2人ずつで分ける形となった。全体としては、国のバランスと性別のバランスに配慮した人事となったのである。

ラガルド氏は、弁護士と元フランス財務相の経歴を持つ。同氏は、金融政策運営の手腕については未知数ながらも、IMF専務理事の職も含め、過去の経歴から職務の遂行能力の高さが広く認められている。特に、政治的な調整能力の高さが期待されるところだ。他の中央銀行総裁とは異なり、ECB総裁にはこうした政治能力が特に求められるだろう。また、知名度も高いことから、ラガルド氏の金融市場での評価も高いと見られる。

次期ECB総裁候補の最有力とされてきた、金融政策ではタカ派の代表格とされるバイトマン・ドイツブンデスバンク総裁と比べれば、ラガルド氏はよりハト派志向と見られ、その是非はともかく、ドラギ現総裁の政策姿勢との連続性がより保たれるだろう。この点から、ラガルド氏の指名によって、先行きのECBの金融政策に関する市場の不確実性は低下したと言える。

金融市場では、9月のドラギ総裁最後の理事会で、政策金利の引き下げが実施されるとの観測が有力となってきている。

執筆者情報

木内 登英

エグゼクティブ・エコノミスト

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