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香港区議会議員選挙の結果と現在の香港情勢

2019/11/25

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筆者は23日から中国広東省の広州で開かれた国際金融コンファレンスに参加し、その後25日の午前には広州南駅から高速鉄道で香港に向かった。高速鉄道に乗るには非常に時間がかかると聞いていたため、出発予定の1時間以上前に広州南駅に着いたが、時間がかかるのはその場でチケットを購入する場合に限られるようで、自身は事前にチケットを購入していたため、香港まで高速鉄道に乗っている時間よりも長い間、駅で列車を待つことになった。

高速鉄道はかつて、上海と蘇州との間の路線で乗ったことがあるが、巨大な駅はほぼ空港のようだ。45分ほどで香港の九龍西駅に到着した。ここは、学生と警察が激しくぶつかった香港理工大から比較的近くにあるが、駅を出ても周辺は平静だ。

九龍島から香港島に車で移動し、さらに金融街にも行ったが、デモの傷跡は全く見られなかった。身構えて行ったがやや拍子抜けしてしまった。

自身が到着したのは、民主派の圧勝となった地区議会(地方議会)議員選挙の結果が発表され始めてからわずか数時間後、という歴史的タイミングだった。報道されている通り、民主派が過半数の議席を占める大躍進となった。民主派はデモに参加する若者などを積極的に候補者に擁立し、また区議選をデモの賛否を問う「住民投票」と位置づける戦略をとってきた。

一般市民は、通勤を妨げたりした民主派の過激な行動には憤りを感じていると思っていたが、実際の選挙結果を見る限りそうとも言えないようだ。多くの日本人が見ていたよりも、一般市民は民主化運動に好意的だったのだろう。

民主派の大勝利は過激なデモ活動を鎮静化させる可能性があるだろう。しかし逆に、デモを支持する民意が確認されたとして、さらなる過激なデモ活動を通じて普通選挙などの要求を強めていく可能性も考えられるところだ。香港情勢は依然として流動的である。

広州のホテルでNHK国際放送を見ていると、香港の選挙のニュースが流れるたびに、映像が数分間停止されていた。香港関連の日本語のニュースはネットで幾らでも見ることができることから、こうした措置に意味があるとは思えないが、香港情勢に中国当局が非常にセンシティブになっていることを裏づけているものだろう。

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