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モダナイゼーション

Modernization

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モダナイゼーションとは

モダナイゼーションとは、老朽化したシステムや古いプロセスなどのIT資産を、ビジネス的な視点から、近代化もしくは最適化する考え方のことです。レガシーマイグレーション(既存資産の移行)もその中に含まれます。一方で、モダナイゼーションはそれにとどまらず、移行後のシステムをより効率的で柔軟なインフラストラクチャーに改善し、企業の競争力向上に寄与することを目指します。

モダナイゼーションが注目される背景

モダナイゼーションは、業界や地域によって差はあるものの、概ね国内外ともに2010年代から活況となってきました。その背景には主に3つの要因があります。
1つめは技術環境の変化です。近年、クラウドコンピューティングの台頭、マイクロサービスアーキテクチャーの登場、コンテナ技術の普及、そしてAIや機械学習の進展など、IT基盤技術が急速に発展しています。これらの技術革新により、システム開発と運用の在り方が大きく変わりつつあります。このような環境の変化に柔軟に対応していくためには、他のシステムやサービスとの接続を容易にし、新しい要件を取り込みやすくすることがシステムに求められてきます。 代表的な手法としては、API活用があげられます。しかしながら、他システムとの連携を前提とした設計になっていない既存システムでは対応が困難であり、システム改修を柔軟かつ効率的に行うためにも、新しい製品や設計に置き換えることが求められています。

2つめは事業環境の変化です。デジタル化により業務やビジネスの変革ニーズが高まりました。例えば個人向けデバイスの普及やFinTech、InsurTech、Eコマースなど、生活を支える様々なサービスのオンライン化が加速しています。IT・情報・通信業界に限らず、多くの業界で個人情報保護法におけるデータ利活用をめぐる制度・ルールの改正など、関連する法制度も急ピッチで整備されつつあります。
この変化に対応するため、システム改修を柔軟かつ効率的に行う必要があります。しかし、他システムとの連携を前提としていない既存システムでは、こうした要求に応えることが難しくなっています。

3つめはシステム維持運用の限界がきていることです。老朽化したシステムには、当時主流であった開発言語が用いられていますが、それらを扱い、開発・運用・保守を担うホスト技術者などの人材が不足しつつあります。また、過去の短期的な解決策や全体最適化の遅れが蓄積され、技術的負債としてデジタルやデータ活用の足かせになっています。ホストインフラの値上げや言語ライセンス費がかさむといった環境維持コストの上昇にも直面しています。さらに製品のサポートが終了してしまう場合においては、いくら費用をかける覚悟があっても、使い続けること自体が困難であり、セキュリティリスクが増加してしまいます。このような状況下のため、近代言語や技術を取り入れた開発や、クラウド活用による低コストインフラ化、さらには既存システムの移行や刷新を検討せざるを得なくなっています。

モダナイゼーションのアプローチ

モダナイゼーションを効果的に実施するためには、個別システムの再構築だけではなく、組織全体のアーキテクチャーを考慮したアプローチが必要です。

個別システム再構築におけるアプローチ

モダナイゼーションへのアプローチには大きく2つの段階に分けられます。
1段階目は現行調査・分析です。既存システムの中には、かつては有用であった機能が、ビジネス環境の変化により、今では不要になり、無用の長物と化するケースがよく見られます。そのため、要不要を整理する「資産仕分け」を行い、対象となる資産を見極めることが必要です。手法として、設計書の解析等を行う設計資産分析、開発言語の解析を行う開発資産分析が挙げられます。
2段階目はシステム移行です。主なアプロ―チ手法として、リホスト、リライト、リインターフェース、リプレイスなどがあります。

  • ①リホスト:

    開発言語はそのまま活用し、インフラやOSをアップデートすること

  • ②リライト:

    新たな開発言語を用いて既存システムを置き換えること

  • ③リインターフェース:

    既存システムをそのまま残し、新たな画面やインターフェイスのみを刷新すること

  • ④リプレイス:

    既存システムを、新たなパッケージやサービスを用いて置き換えること

どのアプローチ方法が最適かは、モダナイゼーションを推進する目的によって、異なります。例えば、システム維持コストの肥大化を防ぐために近代言語での開発を取り入れる場合は、リライトやリプレイスが筆頭候補としてあがります。そしてビジネス要求や現行分析結果を踏まえ決定します。

EA(エンタープライズアーキテクチャ)視点での全体的、中長期的なアプローチ

既存システムを抱え続け、問題対応を先送り、もしくは、表面的な対応を都度繰り返しているようであれば、中長期的には取り組むべき課題の肥大化は避けられず、その解決にかかる時間やコストがより増大してしまいます。そうならないうちに課題を切り分け、モダナイゼーションに早期に着手し、継続的・抜本的に取り組むことで、課題解決に要する時間やコストの低減が図られるとともに、システムの改善頻度を下げることができます。

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