NRIが保有・運営するデータセンターでは、使用する電力の再生可能エネルギー化と、消費電力の削減の両面からアプローチをして、地球環境の負荷低減に向けた取り組みを進めています。NRIはこれらのデータセンターにおいて、環境マネジメントシステムを構築し、環境マネジメントシステムに関する国際規格ISO14001の認証を取得しています。
データセンターの未来形「ダブルデッキシステム」
仮想化やクラウド化などの流れを受けてデータセンターに配置される機器は、年々高密度化・高性能化しています。それに伴って機器が発する熱も増大しており、安定運用のためには機器をいかに冷却するかが、これまで以上に大きな課題となっています。一方で過剰な冷却による電力消費量の増大など環境への悪影響も生じています。
ダブルデッキシステムは、サーバ機器を置くフロアと、空調や電源などの設備関連機器を置くフロアを完全分離する方式です。
熱の発生源と空調システムを分離することで効率的かつ柔軟性の高い空調を実現し、消費電力の大幅な削減を可能にします。
ダブルデッキシステム
また、高温度部分に対して局所冷却を行うタスク空調とコンピュータ室全体を平均的に冷却するアンビエント空調を組み合わせることにより、空調の効率化を図っています。加えて、冷水を蓄積して効率的な空調を実現する「冷水縦型蓄熱槽」など、様々な省エネルギー設備を導入しています。
設備面での取り組みに加えて、運用面では、機械学習を用いた空調設定の最適化等に取り組んでいます。従来は個別に制御を行っていた空調機について、気流シミュレーションのデータを活用し、空調設定の全体最適化を図っています。
自然エネルギーの使用
冬期及び中間期の冷外気を利用して、冷凍機を使用せずに冷水を作るフリークーリングや高温冷水※を導入し、空調にかかる消費電力を大幅な削減を実現しました。
また、太陽光発電システム、地熱を利用した熱源システムなど、自然エネルギーを最大限利用することにより環境負荷低減に努めています。
- 水温は14℃~15℃程度。通常使用される7℃程度の冷水よりも電力消費を抑えられます。
これらの取り組みに加えて、2023年度にデータセンターにおける再生可能エネルギー利用率100%を実現しました。
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景観の確保・地域との共生
地域との共生を目指し、東京第一データセンターは建物全体を傾斜地に埋め込むことにより景観を確保しつつ、外壁緑化や屋上緑化を推進しています。
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東京第一データセンターの環境性能に対する外部評価
2012年11月に開業した東京第一データセンターは、前述の「ダブルデッキシステム」を採用し、これをベースに複数の省エネルギー技術を組み合わせることにより、消費電力の大幅な削減を実現しました。その高度な環境性能が評価され、「グリーンITアワード2013」で経済産業大臣賞を受賞しました。
「グリーンITアワード」は、「IT自体の省エネ」と「ITによる社会の省エネ」を両輪とし、グリーンITの取り組みを加速させる活動の一環として、グリーンIT推進協議会が、低炭素社会実現に資する優れた製品・技術・活動等を表彰するものです。
また、2023年3月には、東京第一データセンターが東京都の「総量削減義務と排出量取引制度」のトップレベル事業所※に認定されました。
- 「総量削減義務と排出量取引制度」のトップレベル事業所とは、東京都が「温室効果ガス排出総量削減義務と排出量取引制度(キャップ&トレード制度)」において、地球温暖化対策の取り組みが特に優れた事業所を、トップレベル事業所又は準トップレベル事業所に認定する制度です。
東京第一データセンターのPUE※:業界最高水準の1.28(設計値)
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PUE(Power Usage Effectiveness)とは、データセンターの電力使用効率を表す指標で、データセンター全体の消費電力をIT機器の消費電力で割ったものを指します。
標準的なデータセンターのPUEは2.0程度といわれています。
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