NRIでは、豊かな未来を目指し、人類と自然とが調和する地球環境保全のために、全役職員が環境負荷低減に向けた取り組みを行っていきます。
Green by NRI
NRIが提供するサービスや政策提言活動を通じて、顧客の事業や社会システムの効率化と生産性向上を図り、これにより環境負荷低減に貢献することを言います。
Green of NRI
NRIのデータセンターやオフィスビルの設備やIT機器の省エネルギー化、一人ひとりが行う省エネ活動などの環境対策により、NRIグループ自身の環境負荷低減を進める活動を言います。
人々の英知がつながり、環境にやさしい持続可能な社会の実現に向けて
NRIグループは長期経営ビジョン「NRI Group Vision 2030」において、2030年度末までに、経営とテクノロジーの融合で時代を先駆け、DXの先にある豊かさを洞察し、デジタル社会資本※1で世界をダイナミックに変革する存在を目指します。
さらにマテリアリティの一つとして「社会資源の有効活用を通じた最適社会の共創」を掲げています。2030年度末までに、ビジネスプラットフォームの共同利用、データによるリアル空間の可視化や予測等を通じて、社会資源 (人材・公共財・知的財産等を含む) の有効活用や自然資源の循環等、スマートな社会の実現を目指します。
NRIが提供するサービスのうち、金融や産業向け受託システムサービスなどを含む「開発・製品販売」、共同利用型サービスを含むデータセンターの最適運用による「運用サービス」は、特に顧客の事業や社会システムの効率化と生産性向上を図り、環境負荷低減に貢献するサービスです。
これらのサービスを通じて、環境にやさしい持続可能な社会の実現をめざします。
項目 | 単位 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 |
---|---|---|---|---|---|
クリーンテック関連レベニュー※2 | 百万円 | 442,656 | 468,903 | 504,386 | 539,004 |
売上高比率 | % | 80.4 | 76.7 | 72.9 | 73.2 |
- ※1
デジタル社会資本とは:デジタル技術で新たな価値を生み出し、社会や産業を支える共通のインフラやサービス
- ※2
NRIグループ連結売上における「開発・製品販売」及び「運用サービス」の合計値
共同利用型サービスの活用による温室効果ガス排出量の大幅削減
一人ひとりがマイカーを使わず電車やバスを利用するほうが、エネルギーの消費は少なく、温室効果ガス排出量も抑えられます。これと同じことが企業の情報システムにも当てはまります。 NRIはひとつの情報システムを複数の企業で利用する「共同利用型サービス」を、多様な分野で提供しています。
リテール証券会社向け総合バックオフィスシステムである「THE STAR」の場合、顧客が同等のシステムを個別に運用した場合に比べて、温室効果ガス排出量を大幅に削減できます。
- 運用時の電気使用量を対象にした算定
データセンター省エネルギー化への提言活動
NRIは日本発のデータセンター省エネ指標を国際標準とする活動で中心的な役割を果たしています。
データセンター省エネ指標の標準化を通した低炭素化への貢献
NRIは、日本発のデータセンター省エネ指標を国際標準とする交渉を、2009 年から日米欧3 極の官民の会議で、さらに2012
年からはより広範囲なISO(国際標準化機構)の場で、進めてきました。国内委員会では委員長、世界委員会ではタスクフォースリーダーを務めるなど、主体的に活動しています。
2015 年6月にフランス・パリで開催された年次総会で、日本が提案するデータセンターのエネルギー効率指標3
件(再生可能エネルギーの利用度“REF”、サーバー機器の省エネ性能“ITEEsv”、サーバー機器の稼働率“ITEUsv”)が、正式にこの秋からの国際標準(ISO/IEC-JTC1)の場で承認投票へ向けての活動が行われることとなりました。
一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)のグリーンIT委員会では、これらの指標の原点となったDPPE(※)の普及を目指し、検討委員として、その有効性を日本やECに広めました。
日本データセンター協会(JDCC)の活動においては、データセンターの省エネ度の認定を行う認定方式の策定作業を、調査の段階から主導しています。
NRIは、今後もデータセンターの低炭素化に貢献する活動を、関連団体の主導メンバーとして推進して行きます。
- Datacenter Performance Per Energyの略。データセンターエネルギー効率評価指標。
コンサルティング活動による環境負荷低減への貢献
NRIは政府や企業へのコンサルティング活動を通じて、環境負荷低減に貢献しています。
二国間クレジット制度(JCM)に関する取組み
日本は、地球温暖化を緩和する新たなメカニズムとして二国間クレジット制度(JCM)を世界に提案し、各署名国と協力して制度づくりを進めています。
NRIは、JCMに関わる政策提案のほか、インドネシアやベトナムでのJCM実現可能性調査を通した案件組成にも携わっています。
省エネルギー地域相談プラットフォーム構築支援事業
中小企業等に対して、省エネルギーに係る現状の把握と情報の整備、取組の計画(Plan)、実施(Do)、確認検証(Check)、計画の見直し(Action)の各段階においてきめ細かな対応が行える省エネルギー相談地域プラットフォームの構築を、NRIは委託を受け事務局として推進しています。
その他
他に以下のようなプロジェクトを行っています。
- 気候変動の影響に対応する適応分野で優れた日本企業の技術貢献可能性を検証する事業
- ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスの実証実験
- 建材トップランナー制度の構築支援事業
高度な環境性能を誇るデータセンター
NRIが保有・運営するデータセンターでは、使用する電力の再生可能エネルギー化と、消費電力の削減の両面からアプローチをして、地球環境の負荷低減に向けた取り組みを進めています。NRIはこれらのデータセンターにおいて、環境マネジメントシステムを構築し、環境マネジメントシステムに関する国際規格ISO14001の認証を取得しています。
データセンターの未来形「ダブルデッキシステム」
仮想化やクラウド化などの流れを受けてデータセンターに配置される機器は、年々高密度化・高性能化しています。それに伴って機器が発する熱も増大しており、安定運用のためには機器をいかに冷却するかが、これまで以上に大きな課題となっています。一方で過剰な冷却による電力消費量の増大など環境への悪影響も生じています。
ダブルデッキシステムは、サーバ機器を置くフロアと、空調や電源などの設備関連機器を置くフロアを完全分離する方式です。
熱の発生源と空調システムを分離することで効率的かつ柔軟性の高い空調を実現し、消費電力の大幅な削減を可能にします。
ダブルデッキシステム
また、高温度部分に対して局所冷却を行うタスク空調とコンピュータ室全体を平均的に冷却するアンビエント空調を組み合わせることにより、空調の効率化を図っています。加えて、冷水を蓄積して効率的な空調を実現する「冷水縦型蓄熱槽」など、様々な省エネルギー設備を導入しています。
設備面での取り組みに加えて、運用面では、機械学習を用いた空調設定の最適化等に取り組んでいます。従来は個別に制御を行っていた空調機について、気流シミュレーションのデータを活用し、空調設定の全体最適化を図っています。
自然エネルギーの使用
冬期及び中間期の冷外気を利用して、冷凍機を使用せずに冷水を作るフリークーリングや高温冷水※を導入し、空調にかかる消費電力を大幅な削減を実現しました。
また、太陽光発電システム、地熱を利用した熱源システムなど、自然エネルギーを最大限利用することにより環境負荷低減に努めています。
- 水温は14℃~15℃程度。通常使用される7℃程度の冷水よりも電力消費を抑えられます。
これらの取り組みに加えて、2023年度にデータセンターにおける再生可能エネルギー利用率100%を実現しました。
景観の確保・地域との共生
地域との共生を目指し、東京第一データセンターは建物全体を傾斜地に埋め込むことにより景観を確保しつつ、外壁緑化や屋上緑化を推進しています。
東京第一データセンターの環境性能に対する外部評価
2012年11月に開業した東京第一データセンターは、前述の「ダブルデッキシステム」を採用し、これをベースに複数の省エネルギー技術を組み合わせることにより、消費電力の大幅な削減を実現しました。その高度な環境性能が評価され、「グリーンITアワード2013」で経済産業大臣賞を受賞しました。
「グリーンITアワード」は、「IT自体の省エネ」と「ITによる社会の省エネ」を両輪とし、グリーンITの取り組みを加速させる活動の一環として、グリーンIT推進協議会が、低炭素社会実現に資する優れた製品・技術・活動等を表彰するものです。
また、2023年3月には、東京第一データセンターが東京都の「総量削減義務と排出量取引制度」のトップレベル事業所※に認定されました。
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「総量削減義務と排出量取引制度」のトップレベル事業所とは、東京都が「温室効果ガス排出総量削減義務と排出量取引制度(キャップ&トレード制度)」において、地球温暖化対策の取り組みが特に優れた事業所を、トップレベル事業所又は準トップレベル事業所に認定する制度です。
東京第一データセンターのPUE※:業界最高水準の1.28(設計値)
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PUE(Power Usage
Effectiveness)とは、データセンターの電力使用効率を表す指標で、データセンター全体の消費電力をIT機器の消費電力で割ったものを指します。
標準的なデータセンターのPUEは2.0程度といわれています。
2012年11月に開業した東京第一データセンターは、前述の「ダブルデッキシステム」を採用し、これをベースに複数の省エネルギー技術を組み合わせることにより、消費電力の大幅な削減を実現しました。その高度な環境性能が評価され、「グリーンITアワード2013」で経済産業大臣賞を受賞しました。
「グリーンITアワード」は、「IT自体の省エネ」と「ITによる社会の省エネ」を両輪とし、グリーンITの取り組みを加速させる活動の一環として、グリーンIT推進協議会が、低炭素社会実現に資する優れた製品・技術・活動等を表彰するものです。
また、2023年3月には、東京第一データセンターが東京都の「総量削減義務と排出量取引制度」のトップレベル事業所※に認定されました。
- 「総量削減義務と排出量取引制度」のトップレベル事業所とは、東京都が「温室効果ガス排出総量削減義務と排出量取引制度(キャップ&トレード制度)」において、地球温暖化対策の取り組みが特に優れた事業所を、トップレベル事業所又は準トップレベル事業所に認定する制度です。
東京第一データセンターのPUE※:業界最高水準の1.28(設計値)
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PUE(Power Usage
Effectiveness)とは、データセンターの電力使用効率を表す指標で、データセンター全体の消費電力をIT機器の消費電力で割ったものを指します。
標準的なデータセンターのPUEは2.0程度といわれています。
オフィスにおける省エネルギー、環境負荷低減活動
オフィスの空調温度や照度の適正化、パソコン・ディスプレイや複合機等のオフィス機器の省電力設定を実施しています。オフィス機器に関しては、エネルギー効率の高い製品を選択するグリーン調達も推進しています。
環境に配慮した製品の利用とともに、パソコンや紙のリユース・リサイクルにも努めています。事務用品についてもグリーン調達を進めています。 なお、会議や打ち合わせでは、紙を使わないワークスタイルが定着しています。