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NRIのデジタルビジネス創出を牽引するイノベーター

NRIデジタル CIO(最高インキュベーション責任者)
DX企画 プロデューサー 新井 朗

「いつか自分のアイデアで、新しい事業を創りたい」その想いを胸に、培った多様な経験と人的ネットワークが、JALとNRIの共創によるイノベーション「どこかにマイル」の成功につながりました。NRIのデジタルビジネス創出の牽引役である新井朗のイノベーティブな活動を起こす原動力を探ります。

インターネット黎明期に過ごしたIT研究センター

私は、1992年に野村総合研究所に入社しました。「総合研究所」という名前の企業なら、知的かつクリエイティブな仕事ができそうだと思ったことが入社のきっかけでした。そして、いつか自分のアイデアで新しい事業を創る仕事がしたいと漠然と思っていました。

新人配属は保険システム部。損害保険会社のシステムの維持管理を行う仕事でしたが、私が入社前にイメージしていた仕事とは異なっていました。今思えば生意気な新人だったと思いますが、当時の部長に「もっと創造的な仕事をさせて下さい」とお願いしたところ、翌年、IT研究センターに異動し、研究開発に携われるように計らってくれました。当時は、NCSA Mosaicが登場したばかりのインターネットの黎明期。時代の最先端の仕事に携われる期待感で、ワクワクしたのを覚えています。IT研究センターでは約2年間、技術論文を読んだり、損害保険会社さんとAIを活用したシステムの共同研究を行ったり、特許を出願したり、毎日が学びの連続でした。ここで仕事ができたことは、自分にとって大きな転機となりました。まだ何者でもなかった入社2年目の自分にチャンスを与えてくれた当時の部長には今でも感謝しています。

8度の本部異動が幅広い社内人脈の形成につながる

その後は、教育分野での新事業を企画する部署(ABCI)に自分で手を挙げて異動しました。私が関わった企画は、残念ながら事業化に至らなかったのですが、事業仮説の立て方や、プロトタイプの開発方法など、このときに学んだことはとても良い経験になりました。以降、ナレッジソリューション事業本部、サービス・産業ソリューション事業本部、中部支社、システムコンサルティング本部、デジタル基盤イノベーション本部など、8つの本部を渡り歩きました。本部を異動するたびに、新しい人たちと新しい仕事をするのは大変でしたが、変化への対応力は養われたと思います。また様々なプロジェクトを通して、ソリューション部門、コンサルティング部門を跨いで社内人脈が拡がった事は、後の大きな財産になりました。

2019年4月からは、お客様のデジタルビジネスを支援するNRIグループの戦略子会社であるNRIデジタルに出向し、自ら生み出した「どこかにマイル」の事業推進や、次なるDX事業の創出に挑戦しています。

スキルとパッションがある仲間を自分で集める

「どこかにマイル」のプロジェクトで私がこだわったことが3つあります。

  • ① 

    アイデアは素早く形にする

  • ② 

    プロジェクトの実現のためのベストメンバーを自ら集める

  • ③ 

    NRIの新しいビジネスモデルに挑戦する

 

①の、新しいアイデアは、Paper(論文や企画書)、Patent(特許)、Prototype(デモシステム)など、素早く目に見える形にして、知財化する事を心がけました。これはまさにIT研究センター時代に上司から学んだ事です。

②のメンバーについては、スキルだけでなくパッションが必要だと思っていました。新事業開発は道なき道を行くプロジェクトであり、相当なパッションを各自の原動力にしなければ、案件にコミットし続けるのは難しいと考えていました。そこで私が社内を見渡してこれはと思う一人ひとりに声をかけ、新しい価値を生み出す意義を説明し、賛同してくれる仲間を集めました。結果、コンサルティング部門、システム部門を跨いで多彩な専門家が集まったコンソリューションチームが結成されました。これは多様な専門家を抱えるNRIにしかできない強みだと思います。

③のビジネスモデルについては、通常の受託SIモデルではなく、NRIがビジネスモデルを企画してお客様と共にリスクと成果を分かち合う、成果報酬型モデルにこだわりました。発注者と受注者の関係ではなく、真のビジネスパートナーの関係になりたいと思ったからです。

次なるDX事業への挑戦

「どこかにマイル」プロジェクトには、世の中にないデジタルサービスの創出、地域活性化といった社会課題の解決、NRIの既存事業とは異なるビジネスモデルなど、イノベーティブな要素がいくつも入っていました。

「どこかにマイル」の成功は、お客様とともに事業を創出する動きや、他社とのジョイントベンチャーへの機運をNRI社内で高めることになりました。その一つとして誕生したのが、JALデジタルエクスペリエンス株式会社です。私はこの会社で、新たな会員制サービス「CLASS EXPLORER」の立ち上げに関わっています。

「CLASS EXPLORER」は、JALマイレージバンクの会員の中から、AIが旅好きな人を推定して招待する新しい会員組織です。旅好きな人は、知的好奇心が旺盛で、新しい体験のための消費が活発な人が多い傾向があります。JALさんが所有する搭乗データやカード決済データなど多様なデータを分析し、AIを活用して、パーソナライズした体験をオファーします。例えば、会員限定の幻のワイナリー訪問やアスリートと交流できるゴルフツアーなど、一般に販売していない体験サービスをマイルなどで提供します。これを私たちは「コンシュルジュのデジタル化」と呼んでいます。

「CLASS EXPLORER」は2019年11月からサービスを開始しました。データ分析により、会員の対象となる旅好きな方には、すでにご招待メールをお送りしています。これからさらにデータを蓄積していくことで、個々の会員に合った「人生を豊かにする体験」を創り上げていく予定です。

今振り返れば、NRIに入社する前に「クリエイティブな仕事をしたい」と願っていた自分に、ようやく報告できるような仕事ができた気がします。沢山の異動を経験し、沢山の失敗もしたけれど、当時の自分には「自分が本当にやりたい仕事を探すことを諦めるな」とメッセージを送りたいですね。それは同時に、新事業に挑戦する後進の方たちへの、心からのメッセージでもあります。

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新井 朗

NRIデジタル CIO(最高インキュベーション責任者)
DX企画 プロデューサー

新井 朗

Profile

1992年に野村総合研究所入社。保険システム部、IT研究センター、企画部、ナレッジソリューション事業本部、サービス・産業ソリューション事業本部、中部支社、システムコンサルティング事業本部、デジタル基盤イノベーション本部にて、様々な企業のソリューション開発、研究開発、ITコンサルティングに従事。その後、デジタルビジネスデザイン部長を経て、2021年NRIデジタル プロデューサー就任。デジタル変革(DX)を目指す様々な企業とのデジタルビジネス創造、JV設立に携わる。日本航空との共創「どこかにマイル」で2017年日経優秀製品・サービス賞、2018年グッドデザイン賞を受賞。2019年日本航空とNRIの合弁会社JALデジタルエクスペリエンス社の設立に参画。JR東日本との共創「どこかにビューーン!」で2023年グッドデザイン賞を受賞。

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お問い合わせ

株式会社野村総合研究所
コーポレートコミュニケーション部
E-mail: kouhou@nri.co.jp


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