超予算経営モデルとは
伝統的な予算管理制度の年度固定による精度低下、業績評価直結に伴う不毛なゲーミングといった問題を回避するための、フレキシブルな経営管理モデル。
予算管理制度は、限られた経営資源(キャッシュ)を社内に戦略的に配分し、その執行をPDCAする経営管理手法で、ほぼすべての企業に定着しています。この制度の硬直性と評価を巡る恣意性を緩和し、フレキシブルな経営管理を目指すのが超予算経営モデル(BBM)です。
伝統的予算管理制度のデメリット
昨今のように経営環境の変化の速度や度合いが激しい場合には、予算管理制度の弊害が無視できません。例えば期初に合意された年度予算は、環境変化によって年度開始早々に実態と乖離し、予算の存在自体が有効性を失ってしまいます。
このようにすぐ賞味期限が切れてしまう年度予算の立案にかける本社スタッフや事業部門スタッフの労力は膨大です。1部上場企業では平均で約4カ月もの時間を年度予算の検討・策定に費やします。この意味で予算の構築はROIの低い企業内活動といえるでしょう。
予算制度のもう1つのデメリットは予算達成度に直結した業績評価制度を巡る不毛なゲーミングにあります。すなわち、被評価者側には自己の評価をよくしたいがゆえに、期初の予算の値を低く抑え、評価者側は「部門はもっとできるはずだ」という不信感から予算を吊り上げるインセンティブを持つのです。
ローリングフォーキャスト
昨今のように、将来状況が予測不能な場合、無理に1年間を読みきり予算立てするのではなく、例えば半年ごとあるいは四半期ごとに予算をフレキシブルに見直すローリングフォーキャストという取り組みが有効です。これにより予算の賞味期限が切れる前にそれを刷新できます。
非財務指標で評価する
もう1つの方法は、業績評価基準を財務予算の達成度1本ではなく、バランス・スコアカードが提唱する非財務指標も含めるようにすることです。財務数値のみを巡る駆け引きが緩和され、戦略の遂行のほうに関心を向けることができます。
BBMは多くの北欧企業で実践されています。独自の社会経済システムの中で米国型資本市場主義のみに傾注しない経営モデルを模索してきた歴史があり、そのこととBBMは無縁ではないと考えます。