オフバランスとは
資産や取引などが事業主体の財務諸表に記載されない状態のこと。資産効率の改善などが期待できるため、近年オフバランス化を図る企業が増加している。
オフバランスとは、資産または取引について、企業会計原則に基づき作成された貸借対照表に計上されない状態を指します。
効率的な企業運営を実現する
資産を取得するためには、資金調達コストが発生します。必要最小限の資産で効率的に事業を運営することは、資金調達コストの抑制につながります。オフバランス化により資産規模を縮小することで、収益性を高めることが期待できます。さらに、収益性向上によって企業価値が高まるため、一層有利な資金調達も可能となります。このため、近年、資産のオフバランス化を積極的に推進する企業が増加しています。
オフバランス化は、資産規模圧縮のみならず、資産価格の変動リスクから解放されるというメリットもあります。また、資金調達の観点から、優良な資産をオフバランス化した場合、有利な条件で資金調達を実現できる可能性もあります。資産を活用した資金調達という意味で、資金調達の多様化のメリットもあります。
オフバランス化の手段は、単純売却から証券化を含む流動化まで多様な方法があります。証券化によるオフバランス化は、多様な投資ニーズを満たすことができるため、近年増加傾向にあります。
オフバランスの要件は厳格化傾向
しかし、オフバランス化を図るためには実態として権利・義務が第三者に移転することが前提となります。この点、エンロン事件やライブドア事件などでは、オフバランス化を悪用して実態とは異なる取引関係をつくり出し、好業績を演出しました。かねてより、金融派生商品については、貸借対照表への厳格な計上を求められる傾向にありましたが、これらの事態を受けてより一層、厳格化が図られています。
例えば、SPCに関する会計処理では、連結対象に含める際の判断基準が議論となっていますが、支配の実態に合わせた取り扱いをする方向で検討されています。
また、平成20年4月1日以後開始する連結会計年度および事業年度からは、ファイナンスリースの取り扱いについて、旧来認められていた例外処理規定が削除され、資産計上されることになりました。