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APIエコノミー

Application Programing Interface Economy

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APIエコノミーとは

従来、API(Application Programing Interface)という言葉は、あるソフトウェアから別のソフトウェアの“機能”を呼び出す仕組みを指すもので、システム開発の現場で使われていました。Google mapは一番よく知られているAPIです。今回は、このAPIを公開することによって、企業にビジネス拡大をもたらす「APIエコノミー」をとりあげます。
(読み:エーピーアイエコノミー)

近年、APIはビジネスを広げるために活用されてきており、APIを公開する企業や政府もグローバルで増えつつあります。API公開によって自社だけでなく、他社のサービスも活用して広がっていく商圏(経済圏)をAPIエコノミーといいます。APIがビジネスとビジネスをつなぎ、企業同士がお互いの強みを利用して、新たな価値を創出する動きが海外では既に活発になってきています。

例えば、グローバルに配車サービスのビジネスを展開するUber社は、2014年8月に他社がモバイルアプリに配車リクエストボタンを追加できる「Uber API」を公開しました。それを受けて、Hyatt Hotels & Resortsなどが自社のアプリにUberボタンを追加しました。Hyattのホテルの滞在客は、外出時にHyattのアプリでUberボタンを押せば、別途Uberアプリを立ち上げる必要も、行き先を指定する必要もなく、ホテルまでのタクシー(ハイヤー)を呼び、利用できます。

このようにAPIを公開する側は、他社が利用してくれることで現在のサービス提供範囲の拡大や新しいお客様の獲得ができるなど、自社ビジネスの拡大につながります。APIを利用する側も、消費者や顧客の視点に立ったアイデアを一から自分たちで開発せずとも、他社のAPIを利用することでですばやくビジネスにつなげていくことができます。

金融業界におけるAPI公開の動き

昨今「FinTech」が話題になっていますが、金融分野でもベンチャー企業による革新的なサービスに注目が集まっています。金融機関も素早くビジネスを拡大していくべく、APIを活用してベンチャー企業と連携するようなケースが見え始めています。

事例:海外

  • Credit Agricole
    APIを公開し、銀行口座の入出金・残高照会、送金指示を外部のアプリが行なえるアプリストアを開設。開発者むけ開発キットを提供
  • バンクオブアメリカ BBVA mBankなど
    自社の金融機能の一部をAPIとして公開し、ベンチャー企業等の開発者に新たなサービスの開発を推進
  • シティバンク
    2014年に世界規模のオープンイノベーションの取り組みを立ち上げ、すべての参加者にAPIへのアクセスを許可(Citi Mobile Challenge)し、ウォルマート、ベストバイが公開するAPIと連携したアプリを提供
  • イギリス・韓国など
    FinTech(銀行API)について、国を挙げて支援することを発表 など

事例:日本

  • 三菱東京UFJ銀行
    2015年に行われたFintech Challenge2015で、仮想的なコンテスト用サンプルAPIを用いてオープンイノベーションのコンテストを実施(2015年2月19日~6月19日)
  • 住信SBIネット銀行
    マネーフォワード社と業務提携し、APIを活用して、家計簿サービスを提供開始(2015年11月27日)など

日本には、APIを公開している金融機関はまだありません(2016年1月現在)。というのも、APIの公開を実現することはそう簡単なことではないからです。セキュリティ、認証、トラフィック管理、利用制限、課金、性能管理、ポリシー管理、テスト環境の用意など検討すべき課題は多岐にわたります。しかし、自社だけでは生み出せない革新的なサービスを迅速に提供し、高い顧客満足を獲得するために、日本も来るべきAPIエコノミー時代にむけ、API公開に向けた取り組みを具体的に検討する時期に来ていると言えます。

2015年末に行われた金融審議会(※)では、海外の銀行API公開の動きを背景に、金融機関・IT関係企業・金融行政当局参加でセキュリティ等の観点からのオープンAPIのあり方を検討する作業部会を平成28年度中に設置することが報告されました。今後、日本でも「APIエコノミー」が拡大してくことが期待されます。

※2015年12月17日 金融審議会「決済業務等の高度化に関するワーキング・グループ」(第7回)議事次第
http://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/kessai_wg/siryou/20151217.html

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