EDM(エンタープライズデータ管理)とは
企業内の全てまたは一部のデータを標準化し、部門横断的に一元管理するデータ管理方法をEDM(Enterprise Data Management)と言います。質の高いデータ管理の必要性は世界的にも高まっており、データ管理の質がその企業の競争力に直結していると言っても過言ではありません。特に金融業界では欧米を中心としてEDMを実施済または推進中の企業が多く、CDO(Chief Data Officer)というデータ管理担当の経営責任者が、部門横断的なデータ管理に責任を持つ企業もあります。
(読み:イーディーエム)
金融機関における従来型の部門毎データ管理の課題
金融規制強化、会計基準厳格化、投資対象資産の拡大等を受けて、金融機関の扱うべきデータの種類や数は増加の一途を辿っており、金融機関は海外も含めた複数の情報ベンダや格付期間のデータを使って業務を行う事が必要です。このような環境変化の中、従来型の部門毎データ管理を引き続き行っている金融機関は下図のような課題に直面しています。
従来型の部門毎データ管理
課題1:契約上のデータ重複
- 不十分なガバナンスによる業務部門の情報端末等の独自利用
- 金融機関合併後でシステム統合前の重複したデータ契約
課題2:データソース接続運用
- 複数データソース安定運用の為のモニタリング
- データソースの急な仕様変更への緊急対応
課題3:業務部門の非効率なデータ管理
- 同一データのダブル・トリプルメンテナンス(フロント速報、ミドルバック確報 等)
- 手入力によるデータ間違い等のオペレーショナルリスク
EDMのメリットと実現へのハードル
金融機関がEDMを実現する事が出来れば、前述「従来型の部門毎データ管理の課題」の課題1と課題3の解決による、長期的な視点でのコスト削減が期待出来ます。しかしながら金融機関が単独でEDMを実現するには、EDM実現に必要な初期コストの確保、EDM導入プロジェクト推進体制の不足、部門横断的な全社データの継続的なメンテナンスに必要な体制の不足(全業務部門のデータ標準化を常に意識したメンテナンス体制が必要)、等がハードルとなりEDMが実現出来ていない金融機関もまだ多くあります。
EDM関連のNRIの取り組み
NRIは、2013年度中を目途にマーケットデータに特化したクラウドサービスであるMDC(Market Data Could)を提供する予定です。サービス利用者はMDCを使う事によって、マーケットデータに関してはEDMによるメリットである、前述「従来型の部門毎データ管理の課題」の課題1と課題3の解決に加え、課題2も解決する事が期待出来ます。下図のように、MDCは①仮想端末へのリモートログイン、②システムからDBを直接利用、③現行IDSのファイル提供、という3種類の使い方が可能です。
Market Data Cloud