コンピテンシーとは
優れた成果を創出する個人の能力・行動特性のこと。成果主義人事制度と同時に、多くの企業で導入されたが、運用面で試行錯誤が行われつつある。
1990年代半ばから高業績者の行動特性を分析し、それを言語化することによって「コンピテンシーモデル」を構築し、人事評価や人材育成に活用する企業が増えてきました。
「能力」や「職能」との違い
コンピテンシーの概念は諸説様々ですが、基本的には人材の「能力」や「職務遂行能力(職能)」にほかなりません。1970年代に欧米で盛んにコンピテンシー研究が行われましたが、これは日本企業が人材マネジメント上活用してきた「能力」「職能」の概念をベースに研究が行われたものであり、日本発製品が欧米で仕様を変えられて、逆輸入された概念ということになります。
日本風に仕様変更された点としては、(1)高業績者の行動を科学的に分析、(2)成果を創出する行動にフォーカス、(3)より具体的な行動レベルで言語化などがあげられます。
このように抽出されたコンピテンシーは、人事評価、ローテーション、給与・賞与、育成などに活用されてきました。特に目標管理制度による人事評価において成果評価以外にプロセス(行動)を評価するための基準として活用するケースが目立っています。
コンピテンシーの限界と課題
一方で、コンピテンシーは、導入後の運用面で様々な課題が指摘されています。(1)高業績者の行動特性を基準にする人事評価の困難さ、(2)多様化が進む社員の意識、価値観に対する概念的な逆行性、(3)導入後のメンテナンスが困難などです。
これらの原因にはコンピテンシーによる評価そのものが「目的化」していることがあるようです。
むしろ、人材育成のゴール設定や、成果創出に向けて身につける必要のある能力の指標として活用することで、その効果を最大化できると思われます。