ナレッジ・マネジメントとは
知識を共有して活用することで、新たな知識を創造しながら経営を実践すること。日本発の経営理論。
ナレッジ・マネジメントという考え方は、1990年代初頭に野中郁次郎が「知識経営」の観点から、組織的知識創造理論とSECI(セキ)モデルを発表したことに端を発しています。
暗黙知と形式知の相互交換
知識経営では、個々人が持つ暗黙知(言葉や数字で表現しにくい技能やノウハウ)を形式知(言葉や数式で表現できる知識)に変換し、それを相互交換しあうことで新たな創造を行うことが重要です。それを理論的に体系づけたのがSECIモデルで、共通体験をもとに暗黙知を共感しあう「共同化(Socialization)」、その暗黙知を言葉や図表などに形式知化する「表出化(Externalization)」、 創造された形式知と既存の形式知を結合する「連結化(Combination)」、 新たに連結された形式知を活用することで暗黙知を生み出す「内面化(Internalization)」の4つのプロセスからなります。
ナレッジ・マネジメントの実践
ナレッジ・マネジメントは、欧米を中心に情報システムの導入による「知識管理」という側面で進展しましたが、それは本来の意味での知識経営とはいえません。グローバリゼーションの流れの中で、日本企業も暗黙知の形式知化を進めることが求められますが、暗黙知に近い情報をそのまま共有しようとする試みも見られます。例えば、(1)動画や音声などの五感に近い情報(形態知)の相互交換、(2)ビジネスプロセスの中で蓄積された情報を探索するテキスト・マイニング、(3)暗黙知を保有する人脈を分析するソーシャル・ネットワーク・アナリシスとKnow─Whoなどが関連領域としてあげられます。
また、イントラネット上にSNSを構築する方法でナレッジを共有する仕組みも増加しており、今後の発展がさらに期待されます。
SECIモデル
(出所)野中郁次郎、紺野 登『知識経営のすすめ』