ローコードとは
ローコード(Low-Code)とは、必要最小限のソースコード開発でソフトウエア・アプリ開発を行う手法です。ローコードツールでは多くの機能が提供されており、それらを組み合わせることで「高速」かつ「簡単」にアプリを構築できます。
ローコード開発が注目される理由
DX時代の到来
DX (デジタルトランスフォーメーション)とは、「企業がAIやIoTを始めとするデジタル技術で、製品やサービス・ビジネスモデルそのものを変革すること」を指します。
従来のシステム開発(事務処理やバックヤード業務の効率化等)とは違い、急激に変化する社会環境やビジネス要件に高速かつ柔軟に対応する必要があります。このような背景から、ローコードが注目されています。
要件変更に強い高速かつ柔軟な開発
ローコードでは多くの機能が提供されており、画面上でそれらを組み合わせることで開発ができます。フルスクラッチ開発とは違い、ソースコードを0から構築する必要はないため、高速に開発を行うことができます。
また、ローコードツールによっては提供部品をカスタマイズし、独自の機能を作成することができます。そのため、顧客の細かい要望にも柔軟に対応することが可能です。
慢性的な人材不足
システム開発の需要が増加し、IT人材が不足しています。また、DXの影響を受けて、「ビジネス理解」と「システム開発技術」の両方を持つ高度なIT人材が求められています。
ローコードを活用すれば、システム開発者以外でも開発に参加することができるため、人材不足が解消される可能性があります。
参考:ローコードとノーコードの違い
ローコードと比較される開発手法に「ノーコード」があります。ノーコードとは、ソースコードを一切書かずに画面上の操作のみで画面を作成することができます。開発コストはローコードよりさらに小さくなることが期待されますが、実現できるサービスが限定的になる傾向があります。
ローコード開発のメリット
ローコードを活用することで得られるメリットは大きく3つあります。
1.開発コストの削減
ローコードを活用することで開発工程の簡略化・開発期間の短縮が見込まれます。従来のスクラッチ開発では、数千行のソースコードを記載する必要がありましたが、ローコードでは少ないソースコードでアプリ開発ができるため、短期間・低コストの開発が可能になります。
また、提供された機能を利用することを前提としているため、システム開発者ごとの差異が小さく、高品質なサービスが提供可能です。
2. スクラッチ開発と同様の拡張性
大きく分けて2つの拡張方法が提供されています。1つ目は既存システムと連携する方法です。既にシステムやAPI(Application Programming Interface)が存在する場合、それらと連携した開発を行うことができます。画面をローコードで作成し、業務処理は既存のAPIを利用することも可能です。
2つ目は既存部品を拡張する方法で、細かな業務要件に対応することも可能です。しかし、拡張範囲はツールに依存するため、あらゆる要件に対応できるわけではないので注意が必要です。
3.人材調達の容易化
前述の通り、IT人材の調達は非常に大きな課題です。ローコードは導入時の学習コストが低いため、システム開発者以外の方でも開発を実施することができます。
提供される部品・機能を組み合わせる作業をシステム開発者以外の方が担当し、カスタマイズが必要な部分をシステム開発者が担当する等、アサインの幅が広がります。
ローコード開発のデメリット
ローコード開発は、「低コスト」「高速」といったメリットもある一方で、デメリットも存在します。ここでは3つのデメリットを紹介します。
1. ツール習熟に必要な学習コスト
ローコードで試作品や限定的な一部の機能を作成するだけであれば、最低限の学習でシステム開発が可能です。しかし、顧客の詳細なビジネス要件を実現するためには、ツールの習熟が必要になります。
ツールごとに覚えることも多く、それなりの学習コストがかかるケースはありますので、ドキュメントが豊富なツールを選定することも大事な要素になります。
2. 高度なUI/UXの実現
一般的にローコードツールで詳細なUI/UXの設定をすることは困難で、スクラッチ開発には及びません。一方、ローコードで実現できるUI/UXも多く存在しますので、アプリ特性やビジネス要件に合わせて開発ツールを選定することが重要になります。
3.ツールコストの肥大化
ローコードはユーザー数課金であることが多く、ビジネス拡大時にツールコストが肥大化するリスクがあります。課金体系はツールごとに違うため、ツール選定時には注意が必要です。