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シティ・エコシステム

City Ecosystem

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シティ・エコシステムとは

都市・地域のリソース(人・モノ・金・情報等)をデジタル技術を活用してマネジメントする連携基盤、または地域リソース相互の役割分担や連携といった仕組みのこと。

都市・地域には、住民をはじめ、地方公共団体、企業、商工会議所等の公共性のある団体、NPOや自治会など多様な主体が存在し、それぞれが独自のリソース(人・モノ・金・情報等)を有しています。

これらの主体がそれぞれのリソース(シーズ)を生かして有機的に連携し、ニーズ(社会・地域課題)を効率的に解決することができれば、バランスがとれ、活力にあふれた、持続可能な地域社会が実現できます。

特に、デジタル技術を用いることで、多様な主体・リソース間のマッチングや連携を効率的・効果的に行えるようになり、従来よりも高度・強固なシティ・エコシステムを構築することが期待されています。

縮小する地域のリソース:なぜシティ・エコシステムが必要になるのか?

我が国で進む少子・高齢化の流れは、特に地方都市・地域で顕著であり、首都圏への一極集中がこの流れに拍車をかけています。総務省が2018年に発表した「自治体戦略2040構想研究会 第二次報告」では、2040年には公務員が現在の半分となる状況も想定しつつ、「新たな公共私の協力関係の構築」の必要性が説かれ、地方公共団体は新しい関係を構築するためのプラットフォームビルダーとなるべきであるという提案がなされています。
また、第32次地方制度調査会の答申(令和2年6月26日)においても、「(前略)(限られた資源を巡る過度な競争により分断を生じさせるのではなく、)新たな技術を基盤として、各主体の持つ情報を共有し、資源を融通し合うこと等により、組織や地域の枠を越えて多様な主体が連携し合うネットワーク型社会を構築していくことが重要になる。」という方向性が謳われています。

放っておくと縮小する地域のリソースについて、より効果的・効率的に活用することが求められるとともに、リソースを有する地域の主体の新たな役割分担・連携関係の構築が急がれています。

デジタルを活用したシティ・エコシステムの実現

当然ながら、従来も地域社会における主体・リソース間、もしくは各種地域情報間の連携や相互関係は存在しました。

しかし、その関係は、首長や地方公共団体の強いリーダーシップ、地域に精通した企業や個人の力により維持される、属人的なものであることも少なくありませんでした。

結果として、有効活用されていない主体・リソースや地域の情報も少なからず存在しており、必ずしも最適なエコシステムではない場合もありました。これからは、リソースの減少を前提とするので、「使われない主体・リソース」をできるだけ少なくすることがより一層求められます。

そこで、デジタル技術に期待が寄せられています。地域の主体・リソースや各種地域情報を効率的に収集し、ある程度自動的に最適なマッチングや共有・連携を行うことで、よりシステマチックかつ持続可能な形でエコシステムが新たに構築・強化されます。

また、デジタルの特徴の1つである時間・空間を超える点を活かせば、地域内のエコシステムに地域外のリソースを取り込むこともできるようになりますし、別の特徴であるリアルタイム性を活かせば、地域の最新の情報(例:新規企業の創業、新たなNPOの活動開始等)を活用することも可能になります。

これらは、従来の属人的でアナログな地域主体の連携では実現が難しかったことです。

地域経済の活性化に向けて:シティ・エコシステムの形成には“資金循環の流れづくり”が鍵

デジタルを活用したシティ・エコシステムの形成には、何が重要でしょうか。

地域特性や地域主体のニーズ等により目指す仕組みは様々です。都市・地域には、例えば「労働力不足・ミスマッチ解消」「地域企業のライフサイクルの維持・活性化」「カーボンニュートラルの実現」「地域経済の活性化」など様々な解きたい社会・地域課題があります。

これらの課題解決に向けて、人・モノ・情報等のリソースを連携・融通することはとても重要ですが、持続的なエコシステムを育んでいく観点からは、「カネ」すなわち資金が自律的に循環することにこそ留意していくべきと考えられます。

昨今では、SDGsをはじめとする社会・地域課題解決が新たな企業のミッションとなりつつあります。社会・地域課題と企業のシーズをマッチングして、例えば質の良い起業や事業承継等につながるリソース連携・融通の仕組みを構築しつつ、この仕組みに持続的な推進力もたらすような資金の流れを担保する。このような着想が持続的なシティ・エコシステムの構築に有益であると考えられます。

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