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第三者割当増資

Allocation of New Shares to a Third Party

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第三者割当増資とは

特定の第三者に株式を有償で引き受けてもらうことで資金を調達する手法。上場企業が実施する場合には、既存株主の利益保護に配慮することが重要。

第三者割当増資は、新たに株式を発行することを通じて資金を調達する「新株発行増資」と呼ばれる手法の1つです。特定の第三者を対象に有償で新株を発行することを指し、「公募増資」や「株主割当」と区別されます。上場企業の場合、経営再建や割当先との関係強化などを目的に行われ、通常、取締役会の議決によって実施できるため、海外に比べて、日本企業の利用機会が多くなっています。

持ち株比率の変化や希薄化を伴う

第三者割当増資は、株式数が増加し、株主構成の変化を伴うため、支配権を持つ既存株主には、持ち株比率の低下という不利益が生じます。

最近では、敵対的買収への対抗策として、買収会社の持株比率を意図的に低下させるために利用される例も見られます。法的に問題はありませんが、買収会社以外の既存株主も影響を受けることになります。

また、発行価格が時価を大きく下回って第三者に有利に設定されると、増資後の1株当たり時価総額が目減りします。これを株主価値の「希薄化」といい、既存株主の利益が損なわれることから、日本証券業協会の見解では、直近の株価に対して90%以上の価格設定を目安としています。また、新株を「特に有利な価格」で発行する場合は、株主総会の特別決議を必要とするなど、発行手続きは会社法よる制限を受けます。

株主保護のための情報開示が重要

第三者割当増資は、持ち株比率の低下や希薄化を伴うものの、増資によって業績が向上し、企業価値が高まることで既存株主にもメリットが生じます。最近、こうした好循環を促す増資とはかけ離れた事例も現出し、問題視されています。

商法の規定の上限である発行済み株式の4倍にも及ぶ大規模な増資や時価の20%未満の価格での割当といった極端なケース、割当先の主体の実態が不明瞭なケースなどがこれに該当します。特に、発行株式の極端な増加は、事実上、少数株主の排除につながります。

上場企業が第三者割当増資を実施する場合には、増資の目的や割当先に関して十分な情報開示を行うなど、既存株主の権利保護に配慮することが重要です。

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