地域統括会社(RHQ)とは
欧州、米州、アジアなどの地域をマネジメントの対象とし、地域内の現地子会社の事業を統括、調整、支援を行う会社。
地域統括会社(RHQ)とは、多国籍企業が、世界をいくつかの地域に分け、地域単位で戦略の立案・遂行を行うために設置する地域本社のことです。
RHQ設立の背景と狙い
RHQは1960~70年代にかけて、米系企業が欧州での事業拡大に伴い、乱立する在欧子会社への経営統制を高める目的で設立が始まりました。
直接投資による海外進出が米系企業より遅れていた日系企業では、少し遅れて1980~90年代にRHQの設立が本格化しました。
RHQ設立の主な目的は、本社機能の一部を地域に委譲することで意思決定の迅速化を図ること、グローバル戦略の地域への適応を図ること、マーケティングなどの地域内業務の標準化・共通化を図ることなどがあげられます。
特に欧州においては、統一経済圏の形成がアジアなど他の地域に比べて進んだこともあり、各国単位ではなく地域としてのマネジメントの必要性が相対的に高いといえます。
地域の細分化とRHQ機能の強化
従来は、欧州、米州、アジアパシフィック(AP)の世界三極体制を敷く企業が大半でしたが、新興市場の台頭により、昨今、中国をAP管轄から独立させたり、ロシア・CIS(旧ソ連の国々で形成された緩やかな国家共同体)を欧州管轄から独立させたりする動きも見られます。
例えば、新興市場を重視する韓国のサムスン電子は、ロシアや中近東を欧州連結から独立させ、各々RHQを設置しています。また、米国IBMは、従来AP統括会社の傘下にあった日本IBMを市場の異質性から米国本社直轄に変更しました。このようにRHQの効果的運用においては、自社の戦略や環境変化に応じて管理単位を常に最適化することが重要です。
また、RHQの機能についても柔軟な検討が必要です。米系企業や一部の日系企業では、販売機能のみを現地子会社に残し、それ以外の宣伝広告、在庫管理、請求業務などのあらゆる機能をRHQに集約化しているケースも見られます。志向する戦略によってあるべきRHQの形は異なるといえます。