CONTENTS
- 2030年に向けた電動車市場の展望
- 電動車市場の拡大に伴う電池業界の展望
- 電動化が及ぼす周辺業界へのインパクト
要約
- 電動化をサポートする規制強化と自動車メーカーの電動化戦略強化が相まって、今後の電動車市場の成長はEV化を見据えて加速していく。欧州ではプラグインハイブリッド車(PHEV)をつなぎとして、電気自動車(EV)にシフトしていく。中国では新エネルギー車(EV、PHEV)市場が2020年まで急拡大し、20年の補助金終了後でも急速な市場縮小は考えにくい。米国ではトランプ政権発足により、電動化の二極化が加速する。日本では、ハイブリッド車(HEV)中心の市場構成が変わる可能性もある。
- 各地域の電動化に対する姿勢と自動車メーカーの電動化計画を考慮して、電動車市場(EV、PHEV、HEVの合計)を楽観的に試算した結果、電動車市場は2025年に約1800万台/年(乗用車市場全体の約17%)に達する可能性が示唆された。
- 急速な電動車市場の拡大は、リチウムイオン電池(LIB)の需給ひっ迫を引き起こす可能性がある。このため自動車メーカーは電池調達戦略を見直し、電池メーカーとの関係構築を強化しつつあり、水平分業に移行しつつあった業界は垂直統合に揺り戻す傾向が見られる。LIB材料業界もグローバル市場展開に備えて大手材料メーカーと既存材料メーカーとの協業・提携が行われながら、業界が再編されていく可能性がある。
- EV化による自動車部品業界へのインパクトとして、内燃機関・トランスミッションメーカーの事業機会喪失と業界の水平分業化の加速が挙げられる。エネルギー業界に対しては、系統安定に対する機会と脅威を併せ持っているため、系統安定に資する運用・ソリューションが求められる。通信業界では、電動車両や充電装置にIoTを絡めた新たな事業機会の創出が期待される。
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