CONTENTS
- 決済プラットフォームの棲み分け
- 加速する中国発Alipay型決済プラットフォームの海外展開
- 欧米発PayPal型決済プラットフォームの課題
- アフリカ発M-Pesa型決済プラットフォーム
- 日本企業への示唆
要約
- 中国発のAlipay型決済は、スマートフォンのQRコード読み込みで決済と送金を行うことができ、クレジットカードが普及していない中国において、銀行口座とスマートフォンのみで利用できるため、現在広く受け入れられている。
- Alipayを提供しているアリババは、決済サービスを含め、電子商取引やSNS、地図アプリなど、幅広いサービスを提供しているため、Alipayに基づく個人情報とすべての取引履歴のみならず、個人の位置情報やSNS情報など、何百というデータを収集することができ、ユーザーの趣味嗜好、行動パターン、信用力まで分析することが可能である。オンライン決済のために生まれたAlipayは独特な発展を経て、現在では信用プラットフォームになりつつある。
- Alipay型決済はクレジットカードの保有率が低く、携帯電話の保有率が高い地域で高い価値を発揮できるため、インドやタイなどのアジアでは既に広く浸透しており、中東やアフリカ地域にも拡大する可能性を有している。今後、新興国への展開を巡り、Alipay型決済はクレジットカードに基づく欧米発PayPal型決済と、携帯電話のショートメッセージによる送金を活用しているアフリカ発M-Pesa型決済との対立が予想される。
- 日本企業は中国と欧米の決済プラットフォームの争いに真正面から参加するのではなく、新興国のプラットフォームの支援者または利用者になるべきである。それには、①中国や欧米資本を敬遠し、独自の発展を目指すローカルの決済プレーヤーに初期から寄り添い、適切な資金や人材・ノウハウなどを提供することにより、プラットフォーム構築が可能となる。また、②新興国において高い競争力を有するAlipay型決済プラットフォームに早めに参入し、Alipay型決済を利用したサービスや事業を提供することである。
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