読者の皆様は「自由エネルギー原理」をご存知だろうか。自由エネルギーとはもともと熱力学の概念だが、化学の分野でも使用される。一定の条件下では化学反応は自由エネルギーが減少する方向にしか進まず、やがて自由エネルギーが最小の状態すなわち平衡状態に達し安定する。この概念を脳科学に適用したのが脳神経科学者のカール・フリストン氏で、2005年に「自由エネルギー原理」を提唱した。氏は「いかなる自己組織化されたシステムでも環境内で平衡状態であり続けるためには、そのシステムの自由エネルギーを最小化しなければならない」と述べている。脳の情報処理を、知識に基づいた推論(仮説)と知覚により得られた情報(現実)を突き合わせるプロセスと捉えることにより、「脳は常に仮説と現実の予測誤差を最小化(情報論的には自由エネルギー最小化と同じ意味になる)することを目指している」ことを導き出した。
PDFファイルでは全文お読みいただけます。
執筆者情報
※組織名、職名は現在と異なる場合があります。
購読に関するお問い合わせ先
年間購読をご希望される方は、下記問い合わせ先へお願いします。
NRIフィナンシャル・グラフィックス
戦略マーケティング部
Mail : chiteki-dokusha@nri.co.jp
Tel:03-5789-8251(平日9:30~17:00) Fax:03-5789-8254
※FAXでのお問い合わせは下記お申し込み用紙をご使用ください。