CONTENTS
- 障がい者雇用の概況(増え続ける障がい者雇用数)
- 障がい者雇用分析の二つの視点(定点調査を通じて)
- 障がい者雇用に関する特例子会社と上場会社の比較分析
- コロナ禍における障がい者雇用の萌芽(変化への対応に向けて)
- これからの障がい者雇用マネジメントに向けて
要約
- 野村総合研究所(NRI)とNRIみらいでは、障がい者雇用について2015年から上場企業と特例子会社を対象に定点調査を行っている。開始以来、法定雇用率引き上げやコロナ禍対応など障がい者雇用に及ぼす事象があり、回答にも変化が見られる。
- 筆者らは、定点調査で得られた情報のうち、特例子会社形式の障がい者雇用と上場企業のみで進める障がい者雇用について比較分析した。ここでは障がい者雇用の重要性、事業領域、業務、人事・人材育成という四点から行った。障がい者雇用の重要性については特例子会社、上場企業ともに認識されているものの、事業領域、業務、人事・人材育成については両者の間に取り組み方や考え方に違いが見られた。しかし、どちらも変化する雇用環境を見据えて、新たな活動の場を模索し開拓する努力が窺える。
- 本稿ではさらにコロナ禍前と現在という短期間での変化も分析した。特例子会社と上場企業の間で、障がい者雇用に関する関心の持ち方、事業領域への考え方、人事・人材育成上の考え方、などについて同じく違いが見られた。大きな影響を及ぼしたコロナ禍を契機に、今の時代にふさわしい障がい者雇用が生み出される萌芽でもあり、新しい付加価値を生み出す機会を模索している様子が分かる。
- 以上を踏まえると、特例子会社と上場企業の間に考え方や活動の相違があるとしても、障がい者を人的資源と捉え、グループ内で価値創造パートナーとして活躍し、価値向上に貢献していく姿勢は同じである。本稿では、アンケートやインタビュー結果を踏まえながら障がい者雇用の変化動向とそこから見えてくる傾向について明らかにする。
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