CONTENTS
- 中国における新型電力システムの見通し
- 新エネルギー車の普及が中国の電力システムにもたらす影響
- 中国のデジタル技術を活かした電力デジタルツインとその方向性
- 日本への示唆
要約
- 中国は2020年9月、30年にカーボンピークアウト、60年にカーボンニュートラルを目指すことを宣言した。この実現に向けて、風力・太陽光など変動性の再生可能エネルギーの大量供給が必須となるが、そのためには大規模集中型から小規模分散型の電力システム、すなわち中国政府の言及する「新型電力システム」への転換が求められる。
- 従来に比べて複雑な制御が求められる小規模分散型の電力システムの実現には、中国では分散型電源となり得る新エネルギー車(EVおよびFCV)の普及が一つのカギとなる。具体的には、商用EVのフリートマネジメントと電力インフラ管理の一体化、FCVをてこにした水素インフラと電力インフラの統合運用などが見込まれる。
- さらに、中国ではデジタル技術を活用した電力インフラの構築が進む。特に、現実世界で取得したデータからデジタルの写しをつくり、高度なシミュレーションを行うデジタルツインは有望な技術となる。中国の産業的な特徴を踏まえると、モビリティインフラと電力インフラとがデジタルツインなどのデジタル技術を介して統合していくことが中国の「新型電力システム」の特徴である。
- 将来的にはスマートシティにおける都市OSを介して分野を超えたデジタルインフラの統合が進む可能性がある。その際には、既存のITプラットフォーマーと電力ネットワークオペレーターの協業のあり方が今後の論点になる。そうした中で、日本企業が強みを有する配電・変電設備は、電力網に関するデータ取得のための重要なデバイスである。日本企業にとってはハードウエアの強みを起点とした電力デジタル化ソリューションを提供することが事業機会になると考えられる。
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