CONTENTS
- スイスの人材力と職業教育訓練制度
- 産業界と連携した講座内容の立案
- 非常勤講師としての立地企業の現役社員の登用
- 生涯教育の機会の提供
- 日本への示唆
要約
- スイスは高度人材の育成・誘致など、人材の「クオリティ戦略」に注力している。特に、国民の6割以上が利用する職業教育訓練制度が重要な役割を果たしている。教室での座学と徒弟契約を結んだ企業での実地研修の二重(デュアル)教育が特色である。
- スイスでは「一つのミッション、三つのパートナー」と表現されているように、連邦政府・州政府に加え、産業界が職業訓練に当たって密接に連携することで職業訓練の有用性を高めている。特に資金面やカリキュラム面では、産業界がイニチアチブを発揮してビジネスの最先端への対応、地域産業とのシナジー発揮という効果につなげている。
- スイスの職業訓練校では、当該地域に立地する企業の現役社員が非常勤講師として教鞭をとっており、ビジネスシーンの最前線の知見を授業内容に盛り込むことで、生徒に対して生きた学びを提供している。また職業訓練校の教員を養成する専門の大学(SFUVET)を設置するなど、教員の質の向上を図る仕組みを確立している。
- スイスでは、多くの国民が10代のうちに自らのファーストキャリアを選択するという背景から、社会人からの学び直し(リカレント教育、リスキリング)の需要が高い。その観点からも、P-VETや応用科学大学(UAS)の枠組みが有効活用されている。
- 終身雇用制度が崩壊し、転職も増えている日本企業にとって、職業人材の育成を個社に依存していたこれまでの仕組みには限界がある。これからは、就業経験がない若者への職業教育からキャリアアップを目指す社会人に対するリカレント教育まで、スイスのように産業界の強い関与の下、取り組んでいくべきではないか。
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