CONTENTS

1. 幅広い産業で強い企業が自律分散しているスイス
2. スイスネス企業／無国籍企業の両輪で成り立つスイス産業界
3. スイスネス企業／無国籍企業に共通するクオリティ戦略の実践
4. 日本企業への示唆

要約

1. スイスの産業革命は国家主導ではなく、民間資本主導によって自律的に進展した経緯がある。繊維工業、機械工業と時代に合った工業を成長させたほか、中立国ゆえに流入した資金から金融業も勃興した。その結果、さまざまな産業に強い企業が自律分散して存在することとなった。
2. スイス企業を俯瞰すると、「スイスネス（スイスらしい）企業」と「無国籍企業」の大きく2種類のグループで捉えられ、特にスイスネス企業は「プロフェッショナリズム（専門性）＋α」という特徴を有する。たとえば、ピクテやジュリアス・ベアなどが有名な金融業では「プライベートバンクでの専門性＋銀行の守秘義務による中立性」、ロレックスやパテックフィリップなどに代表される時計産業では「高級機械式時計での専門性＋ブランド価値」を特徴としている。
3. スイスネス企業／無国籍企業に共通する点として、効率的に収益を上げていることが挙げられる。その要因を理解するために重要なキーワードが「質＝クオリティ」の追求であり、スイス企業は高単価・ハイエンド領域をターゲットとする「クオリティ戦略」を実践している。
4. クオリティ戦略は日本企業にとっても自社戦略検討における選択肢となる。実践するには、①得意領域・コアコンピタンスの見極め、②価値起点での製品・サービス設計、③そこへの継続投資、の三要素が必要で、リソース創出のために既存業務をDXで効率化することが有効となる。

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執筆者情報

• 

  土橋 和成

  ヘルスケア・サービスコンサルティング部消費財グループ

  シニアコンサルタント

• 

  向井 暉

  ヘルスケア・サービスコンサルティング部消費財グループ

  アソシエイト

• 

  森 健

  未来創発センターグローバル産業・経営研究室長

※組織名、職名は現在と異なる場合があります。