CONTENTS

1. 企業価値の評価に当たり重要視され始めた「人的資本経営」
2. 人的資本経営の要となる「経営戦略と連動した人材戦略」とは
3. 人的資本経営の実践に向けて
4. 日本企業の人的資本経営（実践および開示）についての将来観測

要約

1. グローバルでは企業価値を評価する際に無形資産を重視し始めているが、日本企業の無形資産に対する投資ボリュームは相対的に少なく、かつ、無形資産における「人」に対する投資構成割合は特に少ない。日本企業としても「資本としての人に対する投資」をどのように経営戦略に紐づけて行うかを社内外に開示する必要に迫られ始めており、「人的資本経営」の具体的な実践が求められている。
2. 「人的資本経営」の要は「経営戦略と連動した人材戦略」であると「人材版伊藤レポート」では提唱されているが、具体的にはどのようものなのか。人材マネジメント先進企業の統合報告書やサステナビリティレポートなどの公開情報の調査から、現在の日本企業における「経営戦略と連動した人材戦略」のパターンを整理し、具体企業の事例も交えながら説明する。
3. 実際に「経営戦略と連動した人材戦略」が策定されたとしても、多くの日本企業が直面する障壁として、「運営体制の構築」と「データ整備・活用の高度化」の2つがあるが、それらの障壁をクリアしていくうえでの解決の方向性ついて考察する。
4. 今後、経営戦略と人材戦略との連動をさらに高めた、レベルの高い人的資本経営の実践例も増える可能性がある。では、将来的に求められる「高度化された人的資本経営」に向けて何が必要なのか。「①人員アプローチと文化アプローチの両方の必須化」「②縦と横、2つの意味での人材ポートフォリオ管理の必須化」という観点から、野村総合研究所（NRI）としての将来展望について考察する。

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執筆者情報

• 

  山中 幸輝

  経営コンサルティング部

  グループマネジャー

• 

  松岡 佐知

  経営コンサルティング部

  エキスパートコンサルタント

• 

  岩田 紗季

  経営コンサルティング部

  アソシエイトコンサルタント

• 

  立山 宗径

  グローバル製造業コンサルティング部

  アソシエイトコンサルタント

※組織名、職名は現在と異なる場合があります。