CONTENTS
- 復活の狼煙
- 新競争ルール:顧客密着
- 海外での成功事例と日系電機メーカーの課題
要約
- 日系電機メーカーはITバブルの崩壊、リーマンショックの経営危機を経て、①企業買収とカーブアウトを活用した事業ポートフォリオの入れ替え、②競争優位を構築できる領域への特化、③顧客密着型ビジネスモデルへの転換を進めている。領域を絞り、収益が見込めるビジネスに特化したことによりキャッシュフローが安定した。さらに絞った領域で顧客への理解を深め、顧客ロイヤリティーを高めて他社の参入を防ぎ、より付加価値の高い事業を実現しようとしている。
- 事業のライフサイクルで見ると電機製品の多くは発明から長期間を経過しており、技術力・開発力が重要となる市場黎明期から生産力・コスト競争力が重要な市場拡大期に移った。新興国においても、既に製品が普及しており汎用品を展開する地域的な成長フロンティアも縮小している。日系電機メーカーが対象としている多くの市場は既に成熟市場となった。
- 成熟市場でコスト優位性を持つ韓国・中国勢との競争力を高めるためには、顧客にコスト以外の価値を認めてもらわなければならない。特定の業種やセグメントを慎重に分析することによって購買意思決定要因をコストと性能以外におく顧客を発見し、そのような顧客に訴求できる価値を掘り起こす必要がある。BtoBの分野ではGE(ゼネラルエレクトリック)、シーメンスがアカウントマネジメントの仕組みを整備して先行しているが、日系電機メーカーも仕組み・組織を整備して追撃を狙う。BtoCでも、欧州勢が感性価値を訴求したコミュニケーションで先行するが、ソニーやパナソニックがデザイン主導の付加価値開発プロセスを導入することでコスト競争からの脱却を狙っている。
- グローバルで顧客との関係を深化するにはM&Aや人材の採用などによるフロント部隊の能力補強が必要となる。外国人タレントにふさわしい雇用形態への変更などで日系電機メーカーの復活がより確かなものになる。
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