CONTENTS
- インダストリー4.0に向けてドイツと足並みを揃える新興国
- 急速に進む新興国におけるインダストリー4.0対応
- インダストリー4.0を通じた『新興国』の位置づけの変化
- 生産技術領域における中国の新興国囲い込みとジャパンパッシングのリスク
要約
- ドイツとのパートナーシップの下、新興国において急速にインダストリー4.0対応が進んでいる。ドイツがインダストリー4.0を推進する背景として、当該技術の国際標準化を進めるとともに、オペレーションのノウハウをシステム化し、コア技術のブラックボックス化や新興国へのスムーズな展開を実現するという大きな目的がある。そのこともありドイツは中国・インド・チェコなどの新興国との連携を積極的に行っている。
- ドイツの思惑とともに、中国・インドなどの新興国もデジタル化を機会として、先進国企業の製造拠点としての位置づけを脱却し、付加価値の高い領域へのシフト、製造業の強化を着々と狙っている。特に日本にとって脅威となるのが中国である。
- 中国は製造業の付加価値向上を目指す「製造2025」を掲げ、生産技術領域で日本に代わるアジア・世界のリーダーになる戦略である。また、美的集団の独クーカ買収などドイツと連携しつつも、コア技術を取り込み主導権を握ろうとする動きが見られる。
- 日本は、ドイツとMOUを締結してはいるものの出遅れ感は否めない。インダストリー4.0の推進を通じた生産技術の標準化に日本のみが取り残されてしまうと、強みであった製造業の生産技術がかえって弱みとなり、「ガラパゴス化」するリスクがある。
- 日本は今まで、アジアを中心とした新興国に対する生産技術領域のリーダーとして一定のプレゼンスを有してきた。しかし今後は、ドイツとのパートナーシップの下で付加価値を高める中国がアジアにおける製造業への影響力を高める可能性が高い。日本としても早急なインダストリー4.0対応を行うとともに、新興国への働きかけが求められる。
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