CONTENTS
- 動き始めた世界の中銀デジタル通貨発行
- 現金利用には国ごとに大きなばらつき
- 現金利用に伴うさまざまなコスト
- 民間仮想通貨が金融政策にもたらす影響
- マイナス金利政策の有効性を高める狙いも
- 中銀デジタル通貨の課題
要約
- 2017年11月に、南米の小国ウルグアイの中央銀行が世界初となる中銀デジタル通貨の発行を正式に発表した。他方でFRBが中銀デジタル通貨の発行を検討しているとの報道もあり、中銀デジタル通貨発行への関心がにわかに高まっている。
- 北欧諸国で中銀デジタル通貨の発行が喫緊の課題として議論されている背景には、民間のデジタル通貨が小口決済手段として現金をかなり代替していることがある。そもそもこの現金利用の低下は、政府・中央銀行主導で進められたものであり、それには現金製造、輸送、警備、ATM設置などのコスト、現金がマネーロンダリングや税回避に用いられるなどの、社会的コストへの配慮がある。
- さらに、民間仮想通貨の拡大が、中央銀行の通貨発行益(シニョレッジ)を減少させ、金融政策の有効性を低下させるという問題への対応や、現金利用を減少させ、マイナス金利政策の有効性を高めるという利点も、中銀デジタル通貨発行の議論を促している。
- 他方、中銀デジタル通貨は、金融仲介機能を低下させてしまう可能性や、中央銀行に取引履歴の情報が集中してしまうなど、多くの課題もなお残されている。そうした課題に慎重に対応しつつも、中銀デジタル通貨の発行は今後広がっていくだろう。
- 現在日本では現金利用比率が主要国中で最も高いことなどから、中銀デジタル通貨発行の議論は盛り上がっていないが、今後、世界で中銀デジタル通貨の発行が広がっていく中で、現金利用に伴うさまざまなコストに関する国民の関心は高まっていくだろう。こうした状況の下で、日本においても、いずれは中銀デジタル通貨が発行される日がやってくるのではないか。
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